第90話 地下59階層
今、剛志たちがいるのは横浜第三ダンジョン地下59階層だ。
そして剛志が見ているタブレットの画面内で、ゴーレムたちがワイバーンの群れと交戦中の様だ。
剛志のゴーレムたちは、両手両足にターボゴーレム(ターボエンジンそのもののようなゴーレム)を、背中にはハイマジックウイングゴーレムを付けたトレントウッドランサーゴーレムが総勢100体ほど空中を縦横無人に飛び回り、約10体のワイバーンを翻弄している。
速度はさすがにワイバーンの方が早いが、剛志のゴーレムは手足についたターボゴーレムによって小回りが利くので、何度も旋回をしながらワイバーンにすれ違いざまに槍をお見舞いしている。
段々と体に傷が増えてきたことでしびれを切らした数体のワイバーンが、喉の奥に炎をため、ブレスを吐き出し範囲攻撃を行う。
その予兆を感じ取ったゴーレムたちはいっせいに散り散りになり、攻撃を避ける。数体のゴーレムがその攻撃がかすってしまう、ダメージを負うがまだ許容範囲内の様だ。
そして、空中でワイバーンたちの周りにランサーゴーレムがいなくなったタイミングを見計らい、地上から魔法部隊の魔法が発射される。
剛志のゴーレムたちは今まで一斉に魔法を掃射するという弾幕戦法をよく好んでいたのだが、それによって最近あるスキルが使用できるようになった。それが集団魔法のスキルだ。
これによって今まではただバラバラに魔法をぶつけていただけのメイジゴーレムたちの魔法が、集団で放つ一つの集団魔法として扱われるようになり、その威力が段違いに上がった。
まだまだ無駄が多いようだが、それでも総勢200体ほどのメイジゴーレムたち集団魔法は、この階層の魔物でも当たってしまえばひとたまりもない。
今ではこのようにまず近接タイプのゴーレムたちが攻撃に当たり、動きを鈍らせたところに集団魔法で一撃する。この戦法がはまり、快進撃を続けているといっても過言ではない。
そんな十八番の集団魔法がワイバーンの群れを襲い、魔法の通り道にはドロップアイテムのみが残されていた。
そんな光景が、剛志が確認しているタブレットで複数確認されている。
今、剛志は先ほどの分隊を全部で16分隊作成しており、その内訳は一つの隊にターボゴーレムとマジックウイングゴーレムを付けたランサーゴーレムが100体。メイジゴーレムが200体(属性は分隊ごとに分けている)メイジを守るためのビックシールドゴーレムが100体、ジェネラルとホースが10体ずつ、リペアゴーレムが50体の約500体で動いている。
それが16分隊なので合計で約8000体もの大所帯だ。
これも今までウッドカーペンターゴーレムを作成していた時間がそのまま別のゴーレム作成に当てれていることが大きいが、それでもすさまじい戦力だ。
壁の方も順調に作成が進んでおり、つい先日100個目の壁作成が終わったところだ。
そんな剛志の今のステータスはこうなっている。
名前:岩井剛志
職業:ゴーレムマスター
パーティメンバー:臼杵健司・宮本万葉
スキル:所持制限無視・多重思考・二重詠唱・自動記録・高速展開・自動防御補助・全属性耐性
職業スキル:ゴーレム作成・ゴーレム再作成・支援魔法【ゴーレム】・ゴーレム強化・ゴーレム異空庫・ゴーレム償還・ゴーレムカスタマイズ・特殊ゴーレムコア作成・ゴーレムアップデート
レベル:333(170up)
HP:2,034/2,034(1,278up)
MP:5,963/5,963(3,570up)
攻撃力:1,183(690up)
防御力:2,280(1,448up)
器用:3,146(1,870up)(+121%)
速さ:2,450(1,530up)
魔法攻撃力:3,561(2,128up)
魔法防御力:4,192(2,540up)
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所持ゴーレム数 (省略)
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レベルが上がるごとにどんどんMPや器用の値が増えていき、やれることも増えている。最近のもっぱらの問題は魔石不足だ。せっかくMPが約6000もあるのに、今の魔石のストックだと全然足りないのだ。
今はドロップアイテムの売却益などから直接魔石を購入しているが、どんどん馬鹿にならない金額になってきている。このままだと破産してしまうので、早く地下60階層に行きスケルトン狩りを始めたい剛志であった。
そんな剛志の思惑を大いに受けて、ダンジョン探索はどんどん進んでおり、ついには地下59階層のボス部屋の入り口を発見した剛志。タブレットで確認したところに向かい、あれからさらに強化して馬力の上がっているウッドホースゴーレムにまたがり剛志、臼杵、万葉の三名はボス部屋に向かい移動中だ。
「いやあ、早かったような、時間がかかったような、不思議な感じだけどついに地下59階層のボス部屋だね。」
そういう剛志に対し、臼杵がこともなげに答える。
「まあ、一般的に見たらとんでもないペースではあるわな。でも俺と万葉ちゃんがいるんだし、本来ならこんな階層は余裕だろ、そこを最後まで自分の力で進み切ったことはすごいことなんじゃないか?俺が地下60階層まで到達するにはもっと時間かかってたし。」
その臼杵の発言を聞いて自信のついた剛志は、これからのボス戦に向けて気持ちを切り替えたのだった。
そうしてしばらくすると、視線の先に大きなボス部屋の扉が見えてきて、その周辺にはすでに集まっている剛志のゴーレムたちが集まっていた。
ボス部屋も迫力があるが、それよりもこの数のゴーレムが集まっているこちらの方が迫力あるだろう。そう臼杵があきれている横で剛志は気合十分だ。
「ついに、地下59階層のボス部屋だ。ここを超えたらスケルトンたちが出る地下60階層だ。最近はお金の減りが早いし、いち早くいきたいから強行軍をやったけど、いざ来てみるとさすがに緊張するね。」
そういう剛志にたいし、万葉が答える。
「普通はそうでしょうけど、今は私と臼杵がいるんだからそもそも負ける確率は考える必要ないじゃない。さすがに命の危険があったら出張るわよ」
その万葉の発言を聞き、もっともだと納得する剛志。ここまでも自分一人でやってきていたので、どこかで自分一人でやらないといけないと考えていたようだ。
勿論二人の力は借りないつもりだが、いざというときの保険としていてくれるのなら危険はゼロだ。思う存分戦って、早く地下60階層に行ってしまおう。
そう思った剛志は、先ほどまでの緊張がなくなった様子だ。
「それもそっか、じゃあ気楽にいくよ。でも今回も危なくならないと手を出さないでよ、たぶん俺一人でもやれるから」
剛志のその発言の後、剛志と臼杵、万葉の三人にプラスして、大量のゴーレムが地下59階層のボス部屋へと入っていくのだった。
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