第9話 初買取
ゴーレムたちをマジックバックにしまい、ダンジョンの地上に出た剛志はそのままの足でダンジョン組合の買取受付に向かった。
ダンジョンで手に入れたアイテムはその中身を登録しなくてはならず、そのついでに初ドロップアイテムのスライムゼリーを売ってしまおうというのが目的だ。
「次の方どうぞ」
そう呼ばれて、受付に行った剛志は持っているダンジョンカードを提示し、その際に上白根さんという専属がいることを伝えると慌てて上白根さんに連絡を取ってくれることになった。
そうすると、4、5分ほどで奥の方から上白根さんが小走りでやってきた。
「普通の列にならばれたら困りますよ剛志様。専属がいる方は隣にあるダンジョンカード読み取り機器のDCMにカードを読み込ませて、呼び出しをしていただかないと。」
と、小言を頂いた剛志だったが、そんな事聞いたかなと思い。
「あれ、そんな事聞きましたっけ。すみません。次回からはそうしますね」
と答えた。
そうすると、上白根さんも言い忘れてたかもしれないと思ったのか。
「いえ、もしかしたら伝え忘れていたかもしれません。次回からはそちらでお願いいたします。しかし依頼の時間にはまだ時間がありますがいかがいたしました?」
と聞いてきた。
そこから、ダンジョンで魔物を倒して、きりのいいタイミングで戻ってきたことを伝え、この後はアイテムなどをぶらぶらとみて時間をつぶすつもりだと教えたところ。おすすめの店を紹介してもらった。
そして、剛志は紹介されたお店へと足を運ぶことした。
因みにドロップアイテムの買取では、入手したすべてのスライムゼリーを買い取ってもらったのだが、その際に数が全部で516個で、重さとしては約130kgだ。
それでも値段としては約2万5000円にしかならず、これだけの量を集めてそんだけにしかならないなんて誰もやりたがらないなと再認識した。
あまりの多さに上白根さんが絶句していたが、実質無限にバックに入るチートなスキルを持つ剛志にとってはこれが普通であり、日給2万5000円は結構もらえるなとホクホクな剛志にとっては小さな事柄の様だ。
実際上白根さんが驚いていたのはその多さだが、剛志のスキルを知っている身からこれほどの量を持ってくることは想定の範囲内だ。しかし上白根さんにとって一番の衝撃だったのは、この量を集めるのにかかった時間の速さだった。
普通は索敵にもそれなりに時間がかかるので、何日かの分をためてこの量ならわかるが、この数時間でこの量は本当に戦闘面でも剛志の力はすさまじいかもしれないと、認識をアップデートさせる必要があったのだ。
そんなことが上白根さんの頭の中で起こっているなど露知らず、剛志はおすすめされたお店に到着した。
そこは、いわゆるマジックアイテムから、特に効果はないただの武器、そして回復ポーションなども取りそろえられた大きなショッピングモールのようなところだった。
入口の自動ドアをくぐると、おおきなガラスの小ケースの中に、何千万もする武器などのマジックアイテムが展示されており、横にある階段には武器や防具が立てかけられている。
おそらく一階がマジックアイテムで、二階に武器防具があるのだろう。ポーションなんかはどこにあるだろうと思い、店内図を確認したところ、三階がポーションなどの雑貨が売っているようだ。
一部高級な使い捨てアイテムなんかは一階で取り扱っているらしいが、それらを買えるようになるにはどれだけ資金力が必要になるんだろうと思った剛志だが、今回の目的とは関係ないのですぐ忘れるのだった。
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ダンジョン情報
ダンジョンの入り口は大きな裂け目になっており、今ではどこの裂け目も建物に覆われ外から見えなくなっている。
その裂け目から入ったところがダンジョン一階層であり、かなり広大な空間に、スキルの石像と職業の石像、そして地下一階への階段があるだけの殺風景な空間である。
現在はそこにいろいろな建物が存在する。ダンジョン支部、ダンジョン関連のデパートやお店。普通の食事処など様々だ。
これが田舎の方にあるダンジョンだと支部だけしか無かったりとまちまちだが、剛志が通っている横浜第3ダンジョンは、立地もよくかなり栄えているほうに属する。
基本的にダンジョンの外と中では電波は通らないが、現在ではほとんどのダンジョンで電波をつなぐための魔道具が設置されているので電波がつながっていることが多い、それを利用してダンジョン内を配信する配信者などが最近では人気になってきているらしい。
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