第88話 上白根さんへの相談
地下50階層でドラゴンソルジャーたちとワイバーン相手に、戦闘を続ける剛志のゴーレムは今も順調にダンジョン探索を進めている。
前回探索する際に必要な数をある程度見極めた剛志は、十分すぎる数を投入し、全部で3部隊を別々に探索させている。そして、数時間たったころには剛志のレベルはかなり上がっていた。
名前:岩井剛志
職業:ゴーレムマスター
パーティメンバー:臼杵健司・宮本万葉
スキル:所持制限無視・多重思考・二重詠唱・自動記録・高速展開・自動防御補助・全属性耐性
職業スキル:ゴーレム作成・ゴーレム再作成・支援魔法【ゴーレム】・ゴーレム強化・ゴーレム異空庫・ゴーレム償還・ゴーレムカスタマイズ・特殊ゴーレムコア作成・ゴーレムアップデート
レベル:115(15up)
HP:395/395(113up)
MP:1,385/1,385(315up)
攻撃力:298(61up)
防御力:423(128up)
器用:1,229(165up)(+121%)
速さ:488(135up)
魔法攻撃力:832(188up)
魔法防御力:935(224up)
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所持ゴーレム数 (省略)
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流石は地下50階層。50階層から55階層に下がるだけで推奨レベルが100から200に上がると言われているだけある。
普通レベルというものは大きくなればなるほど上がりずらくなるものというのが常識だと思うが、ダンジョンではその上がりづらさよりも魔物強さの上がり方の方が早く、結果レベル上昇はここから加速する。
その分本来は命の危険が極端に上がるのだが、そこは安全マージンの塊剛志だ。ゴーレムたちの消耗は早くなるが、剛志本体の危険度はそんなに上がらない。
そしてほとんどを50階層の入り口付近でレベル上げを行っていた剛志は、ドロップアイテムを回収してきたゴーレムたちを回収し、その日は切り上げることにした。
地下0階層に戻ってきて、そのままダンジョン組合に顔を出す剛志たち一行。昨日は0階層に戻るところを待ち伏せされていたということもあり、警戒していたのだが剛志のサテライトゴーレムも何も反応しないし、臼杵・万葉両名のセンサーにも何も引っかからなかった。
そんな警戒態勢の剛志たちは、ダンジョン組合に入るや否や、剛志の専属の職員上白根さんにアポを取り、今日の分のアイテムを売却する。
「お疲れさまでした。本日は何事もなかったようで何よりです。」
「ああ、ありがとう。じゃあ、今回も買取お願い」
いつものやり取りに少しの心配さを混ぜた上白根さんの言葉に剛志も軽いお礼を言い、そのままドロップアイテムの買取をお願いする剛志。
今や壁作成で日に3千万ほどの稼ぎを得ている剛志だが、それでも本来の報酬に比べるとかなり安い額しかもらえていない。だからというわけではないが、こういった普通の収入も大事なのだ。
そして、少しの審査ののちに、上白根さんが買取金額を教えてくれる。
「では今回の買取結果を報告させていただきます。ドラゴンソルジャーのドロップアイテムがそれぞれ龍兵の鱗片×30、龍兵の牙×23、龍兵の血晶×5、龍兵の爪×12、龍兵の尾骨×10。ワイバーンのドロップアイテムがそれぞれ飛竜の翼膜×10、飛竜の毒腺×3、飛竜の裂爪×7、飛竜の軽骨×8、飛竜の双角×4。そしてレアドロップのドラゴンファイバーが2個となり、合計で667,200円になります。ここから税金分を差し引いた533,760円を振り込みさせていただきます。」
そういって、もろもろの手続きを済ませてくれた。
初めて買取金額が100万円を超えたときの感激は忘れない剛志だが、今日給で3000万の収入があることを考えると少なく感じてしまう。人間慣れというのは怖いなと思う剛志だった。
それに、今回はレベルはかなり上げることができたが、それに比べて戦った魔物の総量はそこまで多くなかった。それでも一般的に探索者よりは魔物を倒しているのだが、まだ広域展開できるほど戦力に余裕があるわけではなく、その上探索時間もそんなに長くなかったためこんなものかというのが正直なところだ。
剛志のスタイルでこの程度なら上位の探索者はそんなに稼げない様に思うのだが、実はそうではない。
勿論剛志の方が圧倒的に稼ぐことができるのだが、一般の上位探索者もそれなりに稼いでいる。
その稼ぎ方というのは、基本ドロップアイテムよりも素材採取がメインだ。
上位の階層にしか存在しない薬草などは素材の段階でかなりの値段になり、それを回収するのが一般的なのだ。
これはポーションというものが探索者以外の一般の人にも効き目があることが原因で、ダンジョン外だとその効力は著しく落ちるのだが、それでもただの風邪菌などは一発で治ってしまう。それに狂犬病などの死に至る病にもポーションの効き目は効果を発揮するので、その原材料というものはかなりの高額で取引されるのだ。
そういったこともあり、一般的な地下50階以降を探索する探索者の年収は最低でも1億を超えるといわれており、皆そこを目指しているのだ。
そして、買取を終えた剛志は、上白根さんにあることを聞いてみることにした。先ほどダンジョンで考えていた人工知能型ゴーレムの件だ。
「上白根さん、ちょっと聞いてもよろしいでしょうか?」
「はい。どうされましたか?」
そんなやり取りの後、剛志は自分のスキルでこういったことができ、それを使って人工知能的なものを作れないかと思うんだけど、そういったことの専門家とかいないかと聞いた。
勿論スキルの全貌は教えていないものの、それでも剛志のスキルのとてつもない可能性は伝わったので、かなり緊張した様子の上白根さんだったが、所長に確認してみますと言い奥に引っ込んだ。
そのあと数分したところで、奥の方から上白根さんが戻ってきた。
「先ほど町田に確認を取ったところ、知り合いにそういったことの先駆者がいるそうで、今度アポを取ってくれるとのことでした。あとこういった話はもっと機密の高いところで相談するようにとのご指摘も伝えるようにとも…」
と言って少し申し訳なさそうに教えてくれた。
たしかに、今の場所はただの買取カウンターで、近くには人はいないがフロアに誰もいないわけではない。こんな場所で話す内容ではなかったのかもしれない。
そうして確かにと思った剛志は、「あ~すみません。次からは気を付けます」と何ともだらしのない返事をして、その場を去るのだった。
そのあと、近くで聞いていた臼杵と万葉にも同様のことで怒られた剛志は、少し落ち込みながらその日は眠りにつくのだった。
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