第74話 ゴーレムマスター
今日も今日とて、ゴーレムを各ダンジョンに派遣し、空き時間を使ってダンジョン探索を行う剛志。最近では一からダンジョンを潜るのが億劫に感じたため、臼杵と万葉の両名に横浜第三ダンジョンを進んでもらい、現在では一緒に地下40階層以降を探検できるようになっていた。
各ダンジョンに移動する際に、いつもダンジョン間転移のスキルホルダーに送ってもらっている剛志たちだが、今の状態でそんなことができている人は一握りだ。
そもそもダンジョン間転移も剛志の所持制限無視の☆5のスキルには及ばないがレアスキルだ。☆で数えるとダンジョン間転移は☆4に当たる。そうするとおのずとスキルホルダーの人数もそこまで多くない。
今のような緊急事態で、迅速な対応が求められる現状、ダンジョン間転移のスキルはとても貴重であり、現在は組合所属のダンジョン間転移の一般開放は一時ストップしている状況だ。
一部の野良のスキルホルダーのは高額で依頼を受けているようだが、組合所属のスキルホルダーは今組合関連の人しか使用できない状態だ。剛志は、そこで送ってもらう際に特別に許可をもらって追加で行きたいダンジョンへの転移をしてもらっている状況だ。
そんな剛志たちもここのところやることが決まってきている。朝起きて横浜第三ダンジョンでレベル上げ、夕方には各ダンジョンに派遣しているゴーレムを回収し次のダンジョンへ移動・作業開始、横浜第三ダンジョンに戻ってくる。このルーティンを繰り返している。
そして今日も今日とて横浜第三ダンジョンの地下40~49階層で戦い続けていると、ついにその時が来た。剛志のレベルが100になったのだ。
「お!臼杵ついにレベル100になったぞ!」
「ん?おお、おめでとう。でも時間かかりすぎだろ。お前別のことに集中してたからな」
そういわれた剛志は、思ったより反応が薄く残念に思ったが、それでもレベル100は嬉しかった。
臼杵が言っていることも間違いではない。剛志はここ数日、レベル上げよりもゴーレムカスタマイズでどんなゴーレムが作れるのかということに熱心になっており、レベル上げは基本的に安全な階層でゴーレムたちに任せっ切りだたのだ。そうなると護衛の臼杵と万葉は剛志についていないといけないので、とにかくここ数日暇だったのだ。
「まあ、暇なのはいいことだけどさ。それにしてもレベル上げは大事だぞ、もっと本腰やればすぐにでもレベル100は行けただろ」
「そうだな、確かに。一度はまると集中しちゃうのは悪い癖だな。気を付けるよ。でもこれでついに上級職だ!」
そういって興奮冷めやらぬ剛志。いてもたってもいられなくなりレベル100になった自身のステータスを確認してみる。
名前:岩井剛志
職業:ゴーレムマスター
パーティメンバー:臼杵健司・宮本万葉
スキル:所持制限無視・多重思考・二重詠唱・自動記録・高速展開・自動防御補助・全属性耐性
職業スキル:ゴーレム作成・ゴーレム再作成・支援魔法【ゴーレム】・ゴーレム強化・ゴーレム異空庫・ゴーレム償還・ゴーレムカスタマイズ・特殊ゴーレムコア作成・ゴーレムアップデート
レベル:100(11up)
HP:282/282(40up)
MP:1,070/1,070(142up)
攻撃力:237(33up)
防御力:295(41up)
器用:1,029(61up)(+121%)
速さ:353(52up)
魔法攻撃力:644(89up)
魔法防御力:711(98up)
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所持ゴーレム数 (省略)
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新しく覚えたスキルは特殊ゴーレムコア作成・ゴーレムアップデートの二つだ。元々持っていたゴーレム作成で作れるゴーレムが増えたということは今のところないため、純粋にこの二つのスキルが追加されるのがゴーレムマスターになることの利点なのだろう。
特殊ゴーレムコアとは何なのか、ゴーレムアップデートとゴーレムカスタマイズの違いは何なのか。気になった剛志はさっそくスキルの中身を確認してみる。
特殊ゴーレムコア作成
効果:MPを消費して特殊ゴーレムコアを作成することができる。特殊ゴーレムコアはゴーレムコアを取り込むことにより、ゴーレムの構造や中身を変異させる。
現在作成可能コア
成長コア:1000MP
増加コア:1000MP
身代わりコア:1000MP
現在の特殊ゴーレムコアの上限数1。
ゴーレムアップデート
効果:ゴーレムに対し、素材や追加MPを消費しゴーレムのアップデートをすることができる。
と書いてあった。この文章だけでは理解しきれなかったので、より何ができるかを確認していく剛志。
色々と試したことで、以下のことが分かった。
特殊ゴーレムコア作成とは、説明の通りでMPのみを消費しコアを作成するスキルだった。この特殊コア自体にも上限があるため、本来であれば現状は一つまでしか作成できないがこれも剛志のスキルのお陰で無限に作れる。そこで確認してみたのだが、成長コアを取り込んだゴーレムに増加コアも取り込むことができるようだ。その場合は両方のコアの性質を併せ持つゴーレムができた。同じ成長コアを二つ取り組んだ際は、取り組めたが変化が起きなかったので重複は意味がないのだろう。
次にゴーレムアップデートだ。これは今の剛志の戦力を大幅にアップさせるスキルだった。なぜかというと、今まで木のアイテムでしか作れなかったウッドゴーレム系列に対し、トレントウッドに材料をアップデートできたりするようになった。
今まで上位に上がる際にはストーン系列のゴーレムは材料も上位の者に変化していたが、これによってウッド系列もトレントウッドゴーレムみたいに、さらに上位のゴーレムにすることが可能になった。もちろんレベルによってアップデート限界みたいなものは存在するようなので、そこは要成長ってところだ。
「すごいや、いろいろできるぜ。ウッドゴーレム系列はどうしても耐久で劣ってしまうところがあったし、それが補えるのはかなりいいぞ。もしかしたらこのスキルであの時の炎のゴーレムみたいなのが作れるようになるのかな」
そういって大きな独り言を言いながら、スキル検証を始める剛志。それを横目で確認しながらまた当分暇が続くなと感じた臼杵は、大きなため息をついた。
そうしていくつか検証を進め、ウッドゴーレム系列の何体かを持っていた上位素材のトレントウッドにアップデートさせていた剛志は、ひと段落がついて今度は特殊ゴーレムコアの検証をスタートさせた。その時だ、とんでもないことに気が付いたのは。
あまりのことに、呆然とした剛志。その間も頭の中は今の考えに穴が無いか高速で回転している。そんな急に固まった剛志に驚いた臼杵が駆け寄ってきた。
「おい、どうしたんだ!?なんかあったか?」
臼杵が驚いているのに対し、横にいた万葉は冷静だった。
「どうせなんかスキルのことで思いつたりしただけでしょう?近くに敵の気配もないし、前も似たようなことがあったから」
そういって、一応視線を剛志に向け心配はする万葉。
そんな二人のアクションを受けて、正気に戻った剛志は今気が付いたことを二人に説明する。
剛志の話を聞いて、「いや」「マジで」「そんなわけ」のような文章になっていない言葉を発する臼杵と、沈黙して考え込む万葉。対照的な二人だが、その二人をもってしても剛志の考えを飲み込むのに時間がかかった。
しばらくして万葉が口を開いた。
「もしかすると、もしかするかもね。そうなったら私も実質あなたを倒すことができなくなるかもね。方法はあるかもだけど…」
「ええ!?なんで俺と宮本さんが戦う想定何ですか。いやですよそんな勝ち目のない戦い。」
いきなりの戦闘想定に驚く剛志がツッコみを入れるが、気にしない万葉。
そして臼杵もしばらくして剛志に対し「お前、さすがにチートが過ぎるって…」とだけぼやいたのだった。
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