第72話 強化版ウッドホースゴーレム
臼杵、万葉と即席のパーティを組んだ剛志は、上位職などの貴重な情報を臼杵からレクチャーされ、より一層これからは情報収集は気にしないといけないなと反省した。
しかし、今回の目的はそれではなく、単純な息抜きだ。
そこでダンジョン探索を行うのが目的なのだが、いまだ地下一階層から進んでいない。今回は帰りの時間もあるためそれなりに早く奥に潜る必要がありそうだ。
「では、そろそろ先に進みましょうか。今回も目的はダンジョンを潜ることですけど、息抜きなので気楽に行きましょう。お二人は基本的に手出し無用でお願いします」
そういって二人には手を出さないようにお願いする剛志。臼杵、万葉の両名のレベルが横から手を出してしまうと、それだけで剛志の出番はなくなってしまう。そう考えお願いした剛志だが、二人はもとよりそのつもりの様で、うなずいた。
「剛志、そうしたらパーティは解除しておくか。じゃないと俺たちにも経験値が分配されちまうぜ」
そう聞く臼杵に剛志は、
「いえ、そのままでいいですよ。経験値獲得が今回の目的ではないので。今回の目的は初めて入るダンジョンを探索することもそうですが、せっかくなので木のアイテムを回収していきましょう。浅い階層は初心者たちの食い扶持を奪ってしまうので、少し奥には潜りたいですが。なので移動を急ぎましょう」
そういい剛志はおもむろにゴーレム異空庫からゴーレムを出した。
そのゴーレムは木でできた大きな馬で、背中に人が乗れるようにすでに鞍がついている。
「おお、この前見せてくれたウッドホースゴーレムか。こいつに乗って移動するんだな。でも前よりも大きくないか?」
そう聞く臼杵。それに対し待ってましたとばかりに自身気に答える剛志。
「そうなんですよ。よく聞いてくれました。昨日購入したアイテムでステータスを強化した状態で、このウッドホースゴーレムの強化版を作成したんですよ。性能も前回からかなりアップグレードされてますよ!」
そういい、召喚したウッドホースゴーレムをなでる剛志。その剛志の手を、気持ちよさそうに反応するウッドホースゴーレムは、鳴き声を上げることはできないので代わりに頭で剛志に甘えるような動きを見せる。
それを横目で見てうらやましそうにしている万葉。どうやら彼女は動物が好きらしい。
そんな事は置いておいて、強化されたウッドホースゴーレムはこれだ。
【ゴーレム名】:ウッドホースゴーレム
【説明】:木でできた馬型ゴーレム。背中に人などを載せて運ぶのが得意。足での攻撃も馬鹿にならない。
【ステータス】
名前:
種類:ウッドホースゴーレム
スキル:乗馬
レベル: 0
HP:350/350 (+150)
MP:0/0
攻撃力:250 (+100)
防御力:150 (+100)
器用:450 (+150)
速さ:700 (+300)
魔法攻撃力:0
魔法防御力:0
【必要器用値:800】 (+400)
【消費MP:1500】 (+300)
【消費材料:木材×6】 (+2(木材))
アイテムによる器用の増加に伴い、ゴーレムカスタマイズで作れるゴーレムの強さが一気に変わった剛志は、さっそくウッドホースゴーレムの強化を済ましていたのだが、その強化量はかなりの物だった。
「では、皆さん。ウッドホースゴーレムたちに乗ってください。護衛と戦闘用にもゴーレムを出します。」
そういって追加のゴーレムを出す剛志。そして今目の前には全部で6体のウッドホースゴーレムと3体のウッドジェネラルゴーレムが出ている。ウッドジェネラルゴーレムも追加で作っていたのだ。
そして、いつも大群を出して戦う剛志には珍しく、少数精鋭のゴーレムたちを出した剛志は、この面々で一気にダンジョンを進んでいくことにする。
剛志を囲むように万葉と臼杵が乗ったウッドホースゴーレムが並走し、その前をジェネラルが乗ったホースたちが爆走する。
足場は舗装された道路とはいかないが、木の根などの障害物も問題なく走り抜けるウッドホースゴーレムたち。その背中に乗っている三人は一番ステータスの低い剛志でさえ、それなりのステータスがあるので鞍から落ちることもない。
それにウッドホースゴーレムたちはあくまでゴーレムなので、背中に乗せた人をうまく運ぶように微調整しながら走ってくれるので、乗馬経験なかった剛志も問題なく乗れる。
そうして、すさまじいスピードでダンジョンを潜ること一時間。途中出くわした魔物は時にはジェネラルが切り裂き、時にはホースが刎ね飛ばしながら進んでいたが、とうとう9階層置くのボス部屋までたどり着いた。
ボス部屋の前に到着し、一度下りる剛志たち。
「いや~さすがに楽でいいな。ありがとな!」
そういい乗っていたホースゴーレムをなでる臼杵、その横で万葉も自身が乗っていたホースゴーレムをなでていた。
「一気に来ましたが、ここで少し休憩しましょう。次はボス部屋ですし。まあ、ここでも彼らに戦ってもらうだけで何とかなりそうですけどね。」
そういい3組のホースゴーレムに乗ったジェネラルを見る剛志。来る途中の暴れっぷりを見ると、全く問題がないように思える。
そうこうしながら、剛志が取り出した飲み物などで喉を潤した剛志一行は、少しの休憩ののちボス部屋に入っていった。
ボス部屋に入ると、奥の方に魔法陣が浮かび上がり、そこからサルの魔物が10体ほど現れた。
「いや~そんなに時間はたっていないはずなのに、最近はいろいろな出来事があったのでボス部屋が妙に懐かしく感じますね。あいつらは来る途中も来ていたフォレストモンキーと、フォレストモンキーリーダーですね。このまま任せてください。」
そう力強く言い、ジェネラルたちに殲滅を命令する剛志。
ウッドホースゴーレムに乗ったジェネラルたちは一様に剣を振り上げ、それに反応するかのようにホースゴーレムも前足を上げ答える。
そして、その号令のまま一気にフォレストモンキーの群れに突っ込む3組のゴーレムたち。迎え入れるフォレストモンキーたちだが、全く相手になっていない。
どこから取り出したのかわからない石を投げつけるフォレストモンキーたが、その位置はジェネラルの盾で簡単にはじかれ、むしろそのまま盾を構えたジェネラルを乗せたホースゴーレムの突進によって、漫画みたいに空を舞う。
そしてあらかた強引に吹き飛ばされたフォレストモンキーたちだが、息のあるものはその後淡々と剣でとどめを刺され、あっけなくボス戦は終結した。
「ま、こんなもんだろ。次行こうぜ」
そういい先に進む臼杵。それに対し特に気にした様子のない剛志と万葉も後に続く。
彼らにとってこの階層はただの通り道でしかないのだ。
その後同じような工程を組み、結果的に地下33階層に来た剛志たち。
この辺になると、さすがに剛志のゴーレムたちといえども、初めのころのような無茶はできなくなってきたので、そろそろ時間も厳しいため木のアイテム回収を行おうということなのだ。
辺りは初めのころと比べ、木々で生い茂っており、アイテム回収にはもってこいだ。
それにそこそこ潜ったおかげもあり、今剛志たちの居る階層には人はいなさそうだ。
「よし、この辺でアイテム回収をしようかな。もしかしたはほかの探索者もいるかもだから、その場合は邪魔しないように」
そういいながら、次々とゴーレムたちを召喚し、木の回収をさせる。
ウッドカーペンターゴーレムたちはそのほとんどが、壁の建設に従事しているが、数が数なので数体は今も手元にいる。そいつらを中心に、ウッドソードゴーレムたちに木を伐採してもらい、それをアイアンゴーレムたちが運んでくる。
そうしてあたり一帯の木々を狩りまくった剛志は、夕方近くになり戻ることにした。
こうして、久しぶりのダンジョン探索は通常運転で終了したのだった。




