第71話 ステータスと上位職
剛志が言うように、レベルが100になることで、上級職に職業が変わる。
なので剛志も早く100レベルになりたいと思っていたのだ。
そんな剛志だが、自分の命を守ってくれている二人に対して隠し事をするつもりはなく、すべてのスキルを公開する設定のままパーティ申請を送った。
そして臼杵と万葉も同じく公開設定のまま承諾したので、三人で即席のパーティになった。
臼杵は剛志に対して心を許してくれているからだとは思うのだが、万葉が公開設定なのは少し驚いた剛志。しかし、圧倒的自信を持っている彼女は、ここで隠すなんて真似はしないのかもなと自分を納得させた剛志は、さっそくパーティ申請された結果がどのように映っているのかを自身のステータスボードで確認した。
変わっていたこととしては、自分のステータスにパーティメンバーの記載があり、臼杵と万葉のステータスが確認できた点だ。
名前:岩井剛志
パーティメンバー:臼杵健司・宮本万葉
職業:ゴーレム使い
スキル:所持制限無視・多重思考・二重詠唱・自動記録・高速展開・自動防御補助・全属性耐性
職業スキル:ゴーレム作成・ゴーレム再作成・支援魔法【ゴーレム】・ゴーレム強化・ゴーレム異空庫・ゴーレム償還・ゴーレムカスタマイズ
レベル:89
HP:242/242
MP:928/928
攻撃力:204
防御力:254
器用:895(+121%)
速さ:301
魔法攻撃力:555
魔法防御力:613
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所持ゴーレム数
(略)
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臼杵健司
パーティメンバー:岩井剛志・宮本万葉
職業:魔導士
スキル:雪魔法・怜耐性・視界良好・気配遮断
職業スキル:全属性魔法・支援魔法・MPバリア・MP自動回復・魔力暴走
レベル:910
HP:4,754/4,754
MP:17,153/17,153
攻撃力:1945
防御力:1992
器用:3212
速さ:2011
魔法攻撃力:21,100
魔法防御力:19,967
宮本万葉
パーティメンバー:岩井剛志・臼杵健司
職業:刀聖
スキル:一刀両断・肉体制御・気配察知・空間把握
職業スキル:刀聖術・抜刀術・歩行術・HP自動回復・絶対領域
レベル:1321
HP:26,813/26,813
MP:4,099/4,099
攻撃力:27,420
防御力:18,925
器用:18,264
速さ:25,147
魔法攻撃力:2,846
魔法防御力:2,841
二人のレベルやステータスは、剛志と比べ物にならないほど高く、剛志はこれが本物の高レベル探索者なのかと改めて感心した。
剛志はそのスキルの組みあわせにより異常なまでの戦力を有してはいるが、もしこのレベルの探索者と戦うとなると、いくらゴーレムたちを出したところで現状焼け石に水状態だろう。やれるとして時間稼ぎをしてもらい逃げるのが関の山だ。
剛志も横浜第三ダンジョンでは最も深く潜っていた探索者であるのにも関わらず、ここまでレベルの差があるのにはもちろん理由がある。
ダンジョンには各階層に対し推奨レベルというものが存在する。これは決まったレベルというわけではないのだが、今までの経験則から出てくる魔物に対抗で生きるレベルが大体このくらいだという参考値だ。それは次のようになっている。
| 階層 | 推奨Lv |
| 10 | 20 |
| 20 | 40 |
| 30 | 60 |
| 40 | 80 |
| 50 | 100 |
| 55 | 200 |
| 60 | 350 |
| 65 | 550 |
| 70 | 750 |
| 75 | 900 |
| 80 | 1000 |
| 85 | 1250 |
| 90 | 1500 |
| 95 | 1750 |
| 100 | 2000 |
そして剛志は今のところ主に主戦場としているのが50階層以下で、これを見てもらうとわかるように50階層を境に推奨レベルの上がり方が一気に加速するのだ。
あくまで一般的な参考値なので、すべての人に当てはまるかというとそういうわけではないのだが、大体の目安としてかなりの正確性がある。
そして50階層で加速したレベルの上がり方はまた80階層でさらに加速する。つまり何が言いたいのかというと、ダンジョンは奥に潜れば潜るほど加速度的に魔物の強さや脅威度が増加していくということだ。
剛志が一度53階層で引き返したのもこれが主な理由になる。
そして一線で戦う高レベル探索者たちのレベルもおのずと高くなっていくのだ。
「いや~さすがに二人のステータスを見ると、自分がまだまだひよっこだと再認識しますね。こんな二人に守ってもらえているなら安心だ」
剛志がそうこぼすと臼杵があきれたように答える。
「俺としてはこのステータスで、あのバカみたいなゴーレム軍団を率いているのが末恐ろしいよ。てかあれだけの戦力があるなら早くレベル上げちまって上位職になればいいのに」
と剛志に言う臼杵。そこまで上位職にこだわることに違和感を覚えた剛志は臼杵に聞いてみることにした。
「上位職かどうかをすごく気にしていますが、そこまで重要なんですか?」
それを聞いた臼杵は驚いたように一瞬固まったが答えてくれた。
「お前…まさか職業のランクアップの利点を知らないのか?誰か教えてくれる人とかいなかったのかよ。今ではネットにも出回っているぞ」
「いや~、元々あまりダンジョンに詳しくなかったですし、初めてからずっとソロだったので。それに今までは副業でやっていただけなので、週末の息抜きといった感じでした。最近はただゴーレムを増やすことだけ考えていたので、そういった事を調べられていないんですよね…お恥ずかしい」
そういい、頭をかく剛志。本当にただの息抜き感覚でやっていた剛志は、そういう情報収集をしてこなかったのだ。
今自分が知りたいことしか調べず、いつもソロで周りからの情報もない。そんな剛志が探索者たちの常識を知らないのは必然なのかもしれないが、そんな剛志が強くなれている現状は、普段頑張っている探索者たちにとって侮辱的なのかもしれない。ぜひ彼には今後より意識を切り替えてほしいものだ。
少し話がそれたが、剛志の回答にあきれてため息を漏らす万葉。そしてこの剛志の発言にはさすがに臼杵もあきれてものも言えないようだったが、一度深く息を吐いて気持ちを切り替え、剛志に説明してくれた。
「お前な、その考え方は変えた方が良いぞ。これは一友人としてマジで言っているからな…。情報は大事だ。これからはほかの探索者なんかとも積極的にかかわっていけよ。で、上位職の件だな。職業が上位の物に代わると、既存の職業スキルが強化されるし、その後のレベルアップでの増加値も一気に変わる。これは実際になってみたらわかるが、かなり大きな違いだ。剛志なら無理すればすぐにでもレベル100になれると思うし、なれるんだったら早くなった方が良いぜってことだ」
剛志のゴーレム使いの上位職は藤原権蔵のゴーレムマスターだ。もしかしたらあの時見た炎でできたゴーレムなんかも、ゴーレムマスターになると作れるようになるということなのかもしれない。臼杵の熱弁もあって剛志は早く上位職に上がろうと気持ちを切り替え、大いに反省するのだった。
「しかし、さすが万葉ちゃんだな。人のステータスのことをどうこう言うのはマナー違反だが、最上位職は初めて見たよ。存在は噂で聞いていたけど、人数が少ないからね」
万葉にそういう臼杵。それを聞いて最上位職?と頭の中に?マークが浮かんだ剛志だが、名前の響きから上位職のさらに上の職業だろうことは予想がついた。
「別に、あんたももうすぐじゃない」
そう臼杵に返答する万葉。そこで臼杵は剛志にもわかるように説明してくれた。
「ああ、剛志は知らないだろうな。レベル100になると上位職になれるがその上。レベル1000になると最上位職ってのになれるんだよ。これは今までなった人の数が少ないのもあってあまり情報が出回っていないけどな。」
と教えてくれた。そこで一つ疑問が生まれた剛志。なのでその疑問を聞いてみた。
「え?てことは、この前あの事件を起こした藤原権蔵は、まだレベル1000未満ってことですか?ゴーレムマスターって聞いたのですが…」
「ああ、それはたぶん違うと思うぜ。あのじじいならもうすでに最上位職になっているんじゃないか?おそらくゴーレムマスターって教えたやつは知らなかったのか、知ってたけど名前がわからなくてゴーレムマスターって教えたんじゃないのかな。組合側にその辺を明かしていない可能性もあるしな。」
と教えてくれた。
なるほどと納得した剛志だったが、ではゴーレム使いの最上位職はどんなものなのだろうと気になって仕方がなくなるのだった。
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