第7話 初レベルアップ
初めてダンジョンの魔物を倒した剛志一行はその後も順調にスライム狩りを進めた。
スライム狩りは人気がないためか、その間ほかの探索者と鉢合わせることもなく、ゴーレムの動きもだんだんとスムーズになっていき、初めに比べるとかなり早くスライムを倒せるようになってきたころで、剛志のMPがゴーレムをもう一体作ることができるまでに回復した。
「お、MPが10まで回復している。もう一体作成しようかな『ゴーレム作成:【ミニサンドゴーレム】』」
そういって再度スキルを唱えると、そこにはもう一体のゴーレムが現れた。
見た目は先ほどまでいた先輩ゴーレムとほぼ一緒で見分けがつかない。なんとなく感覚的なものでどちらがどっちかをわかってはいるものの、簡単に間違えてしまうだろう。
「ま、取り敢えず名前を決めないとな。いつまでもゴーレムって呼んでたら全部ゴーレムでややこしいからな。でもこれから数が増えていくことを考えてシンプルに番号みたいな方が良いし、よし分かった。お前らはそれぞれ一郎と二郎だ。その次は三郎に四郎という感じで行こう。一郎、先輩として二郎にいろいろ教えてやるんだぞ」
そういって、ゴーレムに名前を付けた剛志だったが、ゴーレムは基本個体差はなく、コアに蓄積された経験だけしか違わない。
そのため、ステータスを見てみるとこのように全く同じだ。
名前:一郎
種類:ミニサンドゴーレム
スキル:
職業スキル:
レベル:0
HP:12/12
MP:0/0
攻撃力:20
防御力:20
器用:3
速さ:3
魔法攻撃力:0
魔法防御力:0
名前:二郎
種類:ミニサンドゴーレム
スキル:
職業スキル:
レベル:0
HP:12/12
MP:0/0
攻撃力:20
防御力:20
器用:3
速さ:3
魔法攻撃力:0
魔法防御力:0
また、一郎が二郎にいろいろ教えようとしているが、これも基本的には無理だ。
剛志のイメージをもとに作成されているゴーレムなので、剛志の考えを読み取り意味もなく身振り手振りしている一郎とそれを聞いている二郎がいるが、基本的には剛志からの指示と、実際に経験したことからしか成長しないし、言葉を話せないので、情報の共有は現状不可能だ。
そのことを剛志が知るのは少し先のことだが、本人がそれでいいなら意味がなくても問題ないのも事実なので詮無き事だろう。
そんなこんなで、ゴーレムが二体になってもやることは変わらず、スライムを探して倒し、ドロップアイテムを回収し、次に進む。
そんな事をずーとやり続けていると段々と飽きてきた剛志は、少し休憩することにした。
「一郎、俺は二郎を護衛に着けながらちょっと休憩しているから、スライムを探してきてくれないか、見つけたらその場で倒してもいいんだが、それだと経験値がどうなるのかわからないし、今はスライムを俺の見えるところまで持ってきてくれ。」
そういって、一郎に任務をあたえ、二郎を護衛にしながら待つこと数分。
少し先の方から、定期的に「パンッ」といったような何かが当たる音が聞こえてきた。
その音が段々と近づいてきたと思ったら、少し先の方から、スライムの体当たりを受けながら一切反撃せずに歩いてくる一郎が見えた。全くダメージを受けていないようだ。
「おお、しっかりと見つけてきてくれたか。ありがとう一郎。よし二郎も手伝ってスライムを倒してくれ」
そう二郎に指示を出し、高みの見物を行う剛志。その前を二郎が進んでいき、一郎と合流するや否や、スライムに攻撃をかます。
それに連動するように一郎も攻撃を行い、あっという間に、スライムを倒すことに成功する。
スライムが倒れドロップアイテムが出たのを確認した剛志は、近づいていってドロップアイテムを回収する。
「よし、この方法だと楽でいいな。二郎もさっきの一郎の動きを見てやり方が分かっただろう。今度は一郎が護衛で残って、二郎が探しに行ってくれ」
そういうと、二郎が歩き出し、一郎は剛志のそばで待機した。
この方法でスライムを狩りつづけ、定期的に場所を変えながらも順調にスライムの経験値を稼いでいった剛志は、スライム討伐数が丁度100体になったタイミングで、レベルが0から1に上がった。
「『レベルが上がりました』」
そのような言葉が、頭の中で聞こえた気がして、一瞬びっくりした剛志だが、その言葉通りステータスを確認してみると確かにレベルが上がっていた。
ステータスボード
名前:岩井剛志
職業:ゴーレム使い
スキル:所持制限無視
職業スキル:ゴーレム作成・ゴーレム再作成
レベル:1(1up)
HP:13/13(4up)
MP:20/20(7up)
攻撃力:11(3up)
防御力:14(3up)
器用:13(2up)
速さ:10(2up)
魔法攻撃力:10(2up)
魔法防御力:14(3up)




