第6話 初戦闘
ゴーレムの性能を確かめた剛志は、今度は戦闘でどのように使えるのかを確かめるべく、ダンジョンの中を歩いていくことにした。
事前の情報では、このダンジョンに出てくるスライムは、岩場の裏などから飛び出してきて、酸性の体液で体の表面を溶かしてくるようだ。
しかし酸性はそこまで強くなく、どちらかというと体当たりによる打撃が主な攻撃方法で、注意するべきはそちらになる。
その事前知識があったため、まずはゴーレムに先に進んでもらい、奇襲を受けても自分は大丈夫なように少し距離を開けて進むことにした。
ゴーレムを避けて自分に攻撃されることもあると思うので、周囲の警戒は怠らない。
そんな中、ふと思い立って自らのステータスボードを確認してみると、下の方に使役ゴーレムのステータスが記載してあった。
その内容がこんな感じだ。
名前:
種類:ミニサンドゴーレム
スキル:
レベル:0
HP:12/12
MP:0/0
攻撃力:20
防御力:20
器用:3
速さ:3
魔法攻撃力:0
魔法防御力:0
物理に全振りの清々しいまでの脳筋ステータスだ。ここで出てくる敵が物理で倒せるスライムだからよかったものの、物理無効のゴースト系統の魔物だったら何もできずに負けてしまうな。
そんな事を考え、ちょっと意識がそれたタイミングで前を歩いていたゴーレムに岩陰からスライムが飛び出してきた。
真横からの体当たりに、全く防御することなく直撃を食らったゴーレムだったが、さすが脳筋だ、特にダメージを負った様子もなくそのままスライムに攻撃を繰り出した。
ゴーレムの大ぶりの右ストレートが、スライムを襲うが、スライムの方がスピードが速い。
簡単に避けられてしまい、ゴーレムの攻撃は空振りに終わった。
その間も何度もゴーレムはスライムに体当たりをされているが、いまいちダメージを負った様子はない。
スライムの攻撃は当たるがゴーレムにダメージはなく、ゴーレムの攻撃はスライムに避けられてしまう。
そんな攻防が1分近く繰り広げられており、剛志はどうしたものかと悩んだ。
このままでは一生決着がつかないのではないか?
そう思い、ゴーレムに向かってアドバイスを出すことにした。
「ゴーレム、このままじゃお前の攻撃が当たらない。攻撃が当たるように工夫するんだ!相手の攻撃に合わせるようにカウンターを打つか、相手が攻撃してきたところをつかんで、身動きを封じるか。できるか?」
そう叫んだところ、ゴーレムはわかったというように今までと少し異なる動きをし始めた。
まずはスライムを捕まえようと思ったようで、先ほどまでグーで殴っていたのがパーに代わり、手のひらを広げながらスライムを追うようになった。
しかし、スライムの方が早いためなかなか捕まらない、そのため今度はカウンターを目指すようになり、スライムの攻撃をしっかりと見るようになった。
そうして、何度かタイミングを調整したのちに見事にスライムの体当たりとゴーレムの攻撃のタイミングが合わさり、スライムの体にゴーレムの攻撃が命中した。
「ぐぎゃ!」
スライムは潰されたかのような悲鳴を上げ、岩場に吹き飛ばされた。
まだ息があるようで、のろのろと動いていたが、そこへ無慈悲にも振り下ろされたゴーレムの腕が直撃し、スライムは形を保てなくなり煙に代わり消えた。
スライムがいた場所には水色のゼリーみたいなものが落ちている。これがスライムのドロップアイテム、スライムゼリーだ。
食べることはできず、使い道としてはアイテム作成の材料にするか、掃除に使用することできれいに汚れを落とせるらしい。
しかし、価値としてはほとんどなく、1kgで200円くらいが相場らしい。
持ってみると大体300g程度なので、3匹で200円みたいだ。スライムで金儲けはできそうにないな。
そんな事を思いながらも、先ほど上白根さんから借りたポシェット型のマジックバックにスライムゼリーを入れていると、ゴーレムが近づいてきたので、その頭に手を置き、「ありがとうな、でも次はもっと早く倒せるように頑張ろう」と告げると、了解したというように、ジェスチャーで返事をするゴーレム。
こいつなんだかかわいいなと思い始める剛志だった。




