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ゴーレムの可能性は無限大 〜副業で探索者になったら職業とスキルの組み合わせが良過ぎたみたいです〜  作者: 伝説の孫の手
復興と本業

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第57話 vs輪島

今日一日で本章の復興と本業編最終話まで更新しちゃいます!

更新時間は12時から一時間おきになります。

ストックはまだありますが、そのうち尽きるため、今日の一斉投降を終えるとしばらくは通常の更新ペースに戻ると思いますのでご了承ください。

「へっ、これであいつも終わりだ。こっちにはこのアイテムもあるんだしな」


声を潜めながら物陰でつぶやく輪島。彼の手には二つのアイテムが握られていた。


それは、今回の計画に伴って謎の男から支給されたアイテム。転移玉とバーサーカーソウルだ。


このアイテムはどちらも、使用者のスキルを写し込むアイテムを元に生成されるもので、それぞれダンジョン間転移とバーサーカーが写されている。


転移玉は脱出用。バーサーカーソウルは剛志の暗殺用に支給されたのだ。


輪島の妙な自信の根拠はこの二つのアイテムにある。そして今、そのうちの一つが使用されようとしていた。


剛志のテント近くにたどり着いた輪島は、辺りに見張りがいないことを確認し、テントの中に入った。


テントの中はあまり広くなく、目の前に剛志が気持ちよさそうに眠っている。


「これが最後の睡眠になるとも知らないで、すやすや寝てやがるぜ。お前のせいで俺がどれだけ苦労したか。思い知らせてやる。」


そう言うと輪島はバーサーカーソウルを拳の中で砕いた。すると輪島の体の周りをバーサーカーソウルのかけらが砕けながら回転していき、輪島のステータスが一気に10倍になり、全能感がみなぎってくる。


「はは、今だったら正面からこいつと戦っても勝てそうだぜ!!」


全能感に任せて叫ぶ輪島。その声に反応し、剛志が目を覚ました。


「うん?なんだ…え⁉だれ?」


そう言い飛び起きる剛志。輪島はもともと暗殺が目的だったので、ここで剛志を起こしてしまうのは致命的なミスだ。そして剛志にとっては起死回生のチャンスになる。


致命的なミスを犯した輪島だが、本人は気にしていないようで、全能感に酔いしれていた。


「マジですごいぞ!今だったらあの男にも勝てそうだ!」


そう言って自身の体の動きを確認している輪島。そんな急な訪問客に対し、驚いた剛志だったが、段々と状況がつかめてきた。


「あれ、もしかして輪島さんでしたっけ?何の要件でしょうか?いきなりはさすがに驚いたのですが...」


輪島を思い出した剛志は、一気に警戒心を強めたが、それを悟られないように冷静に対応した。


その剛志の態度が気に食わなかったのか、輪島が語気を荒げながら話してくる。


「あ?今の状況が分からねえの?お前は馬鹿か!?」


「いや、馬鹿かと聞かれましても。正直寝起きですし、何が何だか…」


そう困ったように返事をする剛志に対し、自分が有利だと感じた輪島は上から目線で話を続ける。


「そんなんだから、死ぬことになるんだよ。そう、お前はこれから死ぬの!俺の手によってね!傑作だよな、あんなに調子に乗ってて、結果殺されちまうんだからさ!」


そう言って楽しそうに笑う輪島。


完全に狂っていると感じた剛志だが、何とかこの状況を打開しないといけない。そのために会話を続ける。


「なんで殺されなくちゃならないんですか?それに調子に乗ってなんかいないですよ」


「あ!?そういうところが調子に乗ってるって言うんだよ。お前のせいで俺がどんだけ苦労したか。それに自分の身の丈に合わないことをするから狙われるんだ。要するに自業自得ってこと」


そう言い、馬鹿にしたように話す輪島。


自分が話すことで輪島が返事を返すことが分かった剛志は、時間を稼ぐために会話を続ける。


「あなたが俺のせいで苦労した?何も身に覚えないですよ。それに身の丈に合わないって何のことですか?」


「お前がチクったせいで、俺が目をつけられたんだろ。完全にお前のせいだろうが!」


そう言い怒る輪島。身の丈のくだりはもう頭になく、今にも飛びかかってきそうだ。


「あれはお前が俺のドロップアイテムを横取りしたのが原因だろ。それこそそっちの自業自得じゃないか!それを俺のせいにするなんて、他責思考も甚だしいな!」


「ああ!?ごちゃごちゃとうるさいな。お前が俺の思い通りにいかなかったことが原因なんだから、お前が原因だろうが!」


「マジで話にならないな。よくその年までそんな頭で生きてこられたな」


「てめぇ、なめてんじゃねーぞ!今すぐぶっ殺してやる!」


「もともとそのつもりだったんだろう。じゃあ、会話なんかせず最初に殺しとくんだったな!」


剛志がそう言い放つと、それを合図に剛志の仮設テントに無数の矢が飛び込んできて、それらすべてが輪島に直撃した。


輪島はとっさに急所を守り、増加したステータスのおかげもあり致命傷は免れたが、それでも全身から血を流しながら吹っ飛ばされる結果となった。


そう、この矢は剛志のウッドハンターゴーレムの放った矢だ。剛志は輪島との会話で時間を稼ぎながら、このダンジョンを警備させていたゴーレムたちに命令をして集めていたのだ。


そして十分集まった段階で逆に奇襲をかけたのだ。


咄嗟にかばった顔と胸以外のほぼすべてに矢が刺さった輪島が、奥の土煙の中で起き上がってくるのが見える。


まだ生きているようだ。


それを感じ取った剛志はすぐさま次の命令を下す。


「アイアンゴーレム、俺を守れ!ナイトゴーレムも警護だ!メイジゴーレム、魔法をお見舞いしてやれ!」


そう叫びながら、自身も後ろに跳び、集まってきていたゴーレムたちの中に隠れる剛志。


その周りをゴーレムたちが取り囲み、即席の防御壁を築き上げる。


その間に魔法の準備を終えていた各メイジゴーレムたちが、一斉にそれぞれの魔法を輪島めがけて打ち込んだ。


魔法による一斉掃射を受け、とっさに瓦礫の後ろに隠れた輪島は、自身の体の痛みにイラついていた。


「くそが!なんであいつの攻撃を受けてんだよ。マジでむかつくぜ、ぶっ殺してやる!」


そう言い、息を整えた輪島は、瓦礫の後ろから一気に駆け出した。


もともと格闘を用いて戦う中級探索者の輪島が、バーサーカーソウルのおかげで時間限定ではあるが上級探索者と同等のステータスを持っている。ということは、この程度の魔法の弾幕を抜けることは造作もないということだ。


一気に駆け出した輪島は、多少の被弾をものともせず、そのまま剛志めがけて突っ込んでくる。


さすがに長期戦は分が悪いことを理解しているのか、短期決戦に持ち込もうとする輪島。それに対して、長期戦の方が有利だと考える剛志は守りを固める。


ゴーレム異空庫から次々とストックのゴーレムを出しながら、周辺に散らばっているゴーレムたちを呼び寄せている剛志。


そして剛志の周りには、短時間ながらもかなりの数のゴーレムが集まってきていた。


その包囲網を抜けようと、ステップを使い侵入を試みる輪島だが、剛志が先回りしてアイアンゴーレムの壁を設置しているため、抜けるための隙間がない。


「くそが、【剛体】!」


そこで力業だとばかりに、スキルを使用しながら強行突破を図る輪島。


スキルの効果で自身の肉体を固く強化した輪島が正面からアイアンゴーレムに突っ込んでくる。


物理に対しては得意分野のアイアンゴーレムでも、ここまで強化された中級探索者の攻撃を受けてはひとたまりもない。そのことを理解している剛志は、ゴーレムを捨て駒にすることで輪島の戦力を削る。


剛志の命令によって、輪島と当たる際に自身の重心を低くして、さらに体当たりのスキルを使用したアイアンゴーレムだが、一瞬の均衡の後、輪島のパワーによって破壊される。


しかし、剛志にはまだまだ無数のゴーレムがいる。破壊されたアイアンゴーレムの後ろから、別のアイアンゴーレムが現れて同様の手順で輪島を削る。


一気に5体のアイアンゴーレムを破壊した輪島だが、その体は代償でボロボロだ。


そこに控えていたウッドハンターゴーレムの矢が再度襲いかかり、ハチの巣にされ輪島は息を引き取った。





咄嗟に命を狙われたことと、それに対処する際に初めて人の命を奪ったことで、冷静さを失った剛志はその場で腰が抜けてしまい、動けなくなった。


そこに聞いたことのない声が聞こえてきた。


「あーあ、死んじまいやがった。せっかく渡した転移玉が本当はただの眠り玉なのを知らずに使って、自滅するさまを見たかったってのによ〜、しょうもな。それにゴーレム使い相手に、時間与えて守り固められちゃダメでしょ。ほんとに使えねぇ、ゴーレム使いはこうやって一気に本体に近づいて倒すのがセオリーだってのに」


その声に反応して後ろを振り向くと、いつの間にかナイフを振り下ろしている見知らぬ男がいた。


咄嗟にウッドナイトゴーレムに守るよう指示を出すがスピードが遅く、間に合わない。


徐々に近づくナイフの刃物に写る反射で、自分がどんなに驚いた顔をしているのかが分かるほどに引き伸ばされた一瞬の時間の中、これが走馬灯なのかとくだらないことを考えながらもどうすることもできず、ただ固まる剛志。


しかし、そんな剛志に対し、謎の男のナイフが当たることはなかった。


その代わりに、これまたいきなり現れた刀がナイフから剛志を守るように差し込まれており、新たな人物が剛志の真横に立っていた。


「やっぱり本命は別だったわけね。私、最近すごく機嫌が悪いの。前回は簡単にあしらわれたし、私はおまけ扱い。なぜ私じゃなくて、あんな勘違い馬鹿男に毒を盛ったのか、理由をまずは聞かせてほしいわね」


「おいおい、日本最強の侍が護衛かよ。こりゃハズレだな。てか聞きたいのはそれなのかよ。あんたも大概頭おかしいな」


そう言って剛志から距離を取る謎の男。対照的に剛志の横に現れたのは、日本最強の一人、刀を使う侍ガール、宮本万葉みやもとかずはだった。

本作品を楽しんで頂きありがとうございます。

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