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ゴーレムの可能性は無限大 〜副業で探索者になったら職業とスキルの組み合わせが良過ぎたみたいです〜  作者: 伝説の孫の手
復興と本業

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第53話 ウッドカーペンターゴーレム

今日一日で本章の復興と本業編最終話まで更新しちゃいます!

更新時間は12時から一時間おきになります。

ストックはまだありますが、そのうち尽きるため、今日の一斉投降を終えるとしばらくは通常の更新ペースに戻ると思いますのでご了承ください。

町田所長と固い握手を交わし、気持ちを新たにした剛志に対し、町田所長が話し出す。


「初めて君に会った時に、私は必ずこうなると確信していたよ。まあ、専業になってくれるタイミングがこんな状況だとは想像もできていなかったけどね。」


「そうですね。自分も最近の稼ぎから段々とそうなるような気はしていたのですが、安定を捨てることがなかなかできず、今になってしまいました。」


そう言う剛志。彼の根っこは普通の一般市民なのだ。ダンジョンに入るきっかけも副業の広告だし、目的もただお金が稼げればよかっただけだ。


そんな彼がたまたま手にしたスキルと職業の組み合わせが良すぎたあまり、あれよあれよという間にこのようなところに来てしまっているだけだ。


唯一、人より優れているのは、底抜けなやさしさだろう。彼の善意の行動はすべてただの本心なのだ。それだけは人に誇ってもよいかもしれない。そのやさしさに付け込まれないように注意する必要はあるが。


少し話がそれたが、剛志はダンジョン探索に本腰を入れることになった。そしてそんな剛志に、ダンジョン組合から大型依頼が舞い込む。


「剛志君、さっそくで悪いのだが、君に仕事を頼みたい。護衛の件は、まだ誰にするか決められていないため、あと少しだけ待ってくれ。しかし、その間でも君の力を遊ばせておく余裕は我々にはないのだ。」


そう言って、剛志に対し依頼を説明しだす町田所長。


「君に依頼したいのは、広がってしまったダンジョン空間の円周に壁を建築してほしいというものだ。材料やその他の必要な物はこちらから出すし、もちろん報酬も出す。しかし、本来の工事依頼に比べてあまり予算は出せない。そこを君のゴーレムたちで補填しつつ、報酬の一部をアイテムの現物支給で何とかお願いできないかという依頼なのだ。それも場所はここだけではなく、工事のスピードにもよるが、他のダンジョンもお願いすることになるかもしれない。厳しいことをお願いしているのだが、引き受けてもらえないだろうか?」


そういう町田所長。彼女が提示してくれた金額は、一つのダンジョンに対し壁を立てるごとに1000万円という依頼だ。これは剛志個人で考えるとかなりもらえるように思えるが、工事範囲もかなり大きく、そのうえでこの金額はかなり足元を見られているといっても過言ではない。


その辺の正当価格について知見のない剛志でも、町田所長の言い方と規模から考えると、かなり安いことは想像できた。


しかし、この災害真っただ中で必要な措置だし、アイテムを現物支給してくれるということなので、ここを承諾するのに嫌な気持ちはなかった。


「まだその辺の金額感はわかっていませんが、問題ないです。お受けします。ただ、アイテムとして以下の三種類を現物支給してほしいです。一つは大量の魔石、もう一つはMP回復のアイテムで、最後は木材です。私への報酬は先ほどの金額だけで構いませんので、それ以外の報酬も併せて、必要経費としてこれらを頂きたい。あればあるほど工事が早く終わるはずです。」


「わかった。こちらとしても大変助かる。本部に行って用意させよう。一通りの復興が終わり次第、それ相応の対応はさせてもらう。ありがとう。」


そう言って、再度剛志と町田所長は握手を交わした。


その後、用意されていた契約用紙に先ほどの内容を書き込み、サインとスキルでの契約を交わし、剛志は組合からの仕事を請け負うことになった。


そのあと、剛志は一度町田所長に連れられ、ダンジョン間転移を使って本部に移動し、今まさに各ダンジョンに壁を立てる計画を立てている部署に案内された。


そこには、見るからに親方といった風貌の男性と、事務方の男性が白熱した議論を交わしており、その周りでは、おそらく部下であろう職員や職人たちが机に突っ伏して眠っていた。


「こちらは、今までダンジョン内の施工の70%を引き受けていただいていた建設会社社長の鏑木武六かぶらぎぶろくさんだ。そして、こっちがダンジョン組合の職員、金田守かねだまもる。この二人が今回の壁建設チームのツートップだ。よろしく頼む。」


そう町田所長に紹介された剛志は、「どうも、よろしくお願いいたします」と挨拶をした。


そこで職人のような見た目の鏑木さんが話しかけてきた。


「おお、あんたが剛志君かい! 話は聞いているよ。君が参加してくれるとなると、こちらもかなり助かる。早速だが、君のゴーレムはどのようなことができるか教えてくれるかい?」


そう気さくに話しかけてくれたので、さっきまでの剣幕との落差にびっくりした剛志だったが、自分のゴーレムの性能について説明を始めた。


今回説明するゴーレムはウッドカーペンターゴーレムだ。このゴーレムのステータスは以下の通りである。


名前:ウッドカーペンターゴーレム

スキル:木工・木造建築

レベル:0

HP:120/120

MP:120/120

攻撃力:30

防御力:30

器用:500

速さ:30

魔法攻撃力:30

魔法防御力:30


器用特化型のゴーレムで、器用さだけなら剛志よりも高い。また、木工のスキルのレベルもかなり上がっており、木材の加工に関しては基本的に何でもこなせる。


さらに、木造建築スキルは木造の建築物を作成するためのものであり、このスキルを用いて剛志はこれまで活動階層内に自身の陣地や建物を作ってきた。


そういったことを説明すると、鏑木さんは一度黙り、その後考えをまとめて案を出してきた。


「そういうことなら、大量のウッドカーペンターゴーレムを使って、こういった形の壁を建築してくれ。正確な設計図はこの後出す。そうすれば、そのあと俺らがその壁を軸に外装や必要な内部構造を建築していく。それに、ここまで大きな壁だと耐久度も考えないと自重で崩れてしまう。そういったことは俺たちに任せてくれ。一つ設計図ができたら、あとは同じものを作っていくだけでいい。それでどうだ?」


そう言われ、剛志が了承しようと頷きかけたところで、横にいた金田さんが割って入った。


「いや、ちょっと待ってください。最終的に鏑木さんたちで完成させるというのは良いのですが、これは緊急を要します。一先ず、木造の壁だけでも成立するような構造にしてください。」


そう言うと、今度は鏑木さんが反論する。


「馬鹿野郎、素人の作ったものだけで成立なんかするわけないだろう! ここは簡単な軸部分だけを作ってもらうってだけでも、かなり譲歩しているんだぞ! ここで作った壁がすぐ壊れましたじゃ話にならないだろうが!」


この時点で、二人の意見は平行線。目の前で繰り広げられる攻防に目をぱちくりしていた剛志を見て、呆れたように町田所長は彼をその場から連れ出した。


「あいつら、今が非常時だってことはわかっているだろうに、無駄な言い争いに時間を使うんじゃないよ。まあ、あいつらもプロだ。剛志君が作業を始める頃には、作戦をまとめているだろうさ。ひとまず、剛志君には必要な材料を渡しておくね。」


そう言って連れてこられたのは、建物の一階にある厳重な扉の前だった。


「ここには、多くのアイテムがあるはずだ。さっき事務方には連絡してあるから、ここからアイテムを受け取ってくれ。受け取りが完了したらロビーで待っててくれ。私はあいつらを急かしてくる。」


そう言い残して、町田所長は去っていった。


その後、剛志は倉庫内のアイテムを受け取り、アイテムバッグに収めたのち、ロビーで待つことにした。


待つこと数十分。町田所長が鏑木さんと金田さんを連れて現れた。


「おお、待たせたな剛志君。なんとか案をまとめてきたぞ。」


そうして知らされたプランは以下の通りだった。


案は2つ。


1つ目の案は、剛志のゴーレムで運用可能なレベルの壁を作成し、それがすべてのダンジョンで完成した後に、鏑木の建設会社で細部を仕上げるというもの。この案は、剛志のゴーレムが作る建造物が問題ないことを確認できた場合のみ採用される。


2つ目の案は、剛志のゴーレムで作成するのは作業を進めるための骨組み部分だけであり、そのほかは鏑木の会社が仕上げるというもの。この案は運用可能になるまでに時間がかかるが、安全性の高い完成物が保証される。


この2つの案を比較し、まず剛志のゴーレムが実際に建築する様子を確認したうえで、どちらの案を採用するか決定するというのが折衷案となった。


方針が決まってしまえば、やることはシンプル。そのため、説明を受けた剛志を連れ、一行は剛志のホームダンジョンである横浜第三ダンジョンへと帰るのだった。


本作品を楽しんで頂きありがとうございます。

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