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ゴーレムの可能性は無限大 〜副業で探索者になったら職業とスキルの組み合わせが良過ぎたみたいです〜  作者: 伝説の孫の手
A.B.Y.S.S

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第49話 スタンピード

今日一日で本章のA.B.Y.S.S.編最終話まで更新しちゃいます!

更新時間は12時から一時間おきになります。

ストックはまだありますが、そのうち尽きるため、今日と明日の一斉投降を終えるとしばらくは通常の更新ペースに戻ると思いますのでご了承ください。

スタンピードで暴れている魔物たちとの戦闘を引き受けた剛志のゴーレムたちは、疲れを知らないその性質上、淡々と魔物を倒していっている。


暴れている魔物の多くはゴブリンやフォレストウルフといった、地下10階層よりも浅い階層で出てくる魔物たちなので、剛志のゴーレムたちの敵ではない。


たまにホブゴブリンやゴブリンソルジャー、フォレストウルフリーダーといった、少し強い個体もいるようだが、普段戦っている魔物たちと比べると、まだ余裕がある。


そのため、一度剛志のゴーレムが戦線を引き受けた後は、基本的にはただ作業のような状態になっていた。


剛志のゴーレムたちは、今までの戦闘経験を経て、多少は融通の利くものもいるが、そのほとんどは単純な判断しかできない。そのため、たまに撃ち漏らしがあったり、魔物が建物を破壊しようとしていても、それを止めに入ることはせず、ただ目の前の魔物を倒していく。


この点は、ゴーレムたちの弱点の一つだろう。そんなゴーレムでは対応できない場面は、近くにいる探索者がフォローを入れつつ、時間にして1時間ほど続いたスタンピードも、段々と勢いが弱くなってきた。


今までのスタンピードでは、一体の超強力な魔物が現れ、それを倒すまでスタンピードが続くというものだったため、そのいわゆるボスモンスターに対して警戒していた剛志たち探索者は、段々と勢いを失っていく魔物たちを見て、肩透かしを食らったような表情になっていく。


そして、そのまま徐々に勢いのなくなったスタンピードは、ダンジョンの入り口近くにいた探索者がいきなりスキルを使えなくなったことを合図に、鎮静化した。


「え、スタンピードの終息ってこんな感じなんですかね? 俺、初めてなのでわからないですが……」


そう言う剛志に対し、剛志の横で探索者たちへの指示を行っていた鴨井も、困惑顔で返事を返す。


「いや、俺もスタンピード自体は初めてだが、聞いていた話と違うな。今回のスタンピードが、何らかの人為的なものらしいというのも理由の一つなのか?」


と言い、不思議そうにしている。


不思議に思ったところで、結果としてスタンピードは終息しており、目に見えた人的被害もそこまで深くない。横浜第三ダンジョンは何とか危機を乗り切ったのだ。


そうこうしているうちに、剛志のもとに町田所長がやってきた。


「剛志君に鴨井さん。お疲れ様です。どうやらスタンピードは収まったようだ。今回の経緯も含め、不可解なことが多いが、ひとまずは無事を喜ぼう。剛志君、悪いのだが、もう少しゴーレムを貸してくれないか? 皆が避難する間に、この階層を見張ってくれないか? おそらくもう魔物は出てこないと思うのだが、念のためだ」


そう言われた剛志は、「わかりました」と返事をし、ゴーレムたちにこの階層を見張れと新たに指示を出した。


そうして、続々と新たに地下0階になったであろうダンジョンから探索者たちが外へと出ていくのを見送りながら、剛志はゴーレムたちの動向を確認している。


何体かのウッドカーペンターゴーレムにカメラを持たせ、いつものように配信サイトで生放送をさせつつ、その動向を確認する剛志。


そこに映っているゴーレムたちは、いつものようにダンジョン内を歩きつつ、倒し残しの魔物を見つけては、それをドロップアイテムに変えていく。


また、今までの魔物のドロップアイテムを拾わせておく剛志。これはみんなで倒した魔物だからといって、そのドロップアイテムを自分のものにしようとは思っていないが、後で拾うのも大変だろうし、ドロップアイテムは誰も拾わないと30分ほどで消えてしまうという特性がある。


現に今も、いくつかのアイテムは消えた後だが、この後の復興や、先ほどの参加者たちへの報酬なども考えると、あって困るものではないと考え、善意で拾っているのだった。


そんなことをしていると、数分が経ったところで町田所長が何人かの職員と探索者を連れてやってきた。


「剛志君、本当に助かった。このダンジョン支部を代表してお礼を言わせてくれ。どうもありがとう」


そう言う町田所長に対し、剛志は少しふざけながらも答えた。


「いえ、ここは自分にとってもホームなので。当然のことをしたまでです。ただ、いきなり説明もなくスカイダイビングさせられた件に関しては、貸し一ですからね」


そう言うと、町田所長も笑いながら「そうだな。その件は済まなかった」と謝罪した。


それから、いろいろと現在の状況や、今わかっているほかのダンジョンの状況などを共有してもらった剛志は、改めて振り返ると、すさまじい一日になったなと思った。


慣れないスーツを着てのパーティー、その後発生した権蔵たちの反乱と大混乱、上位の探索者たちのすさまじい戦闘、いきなりのスカイダイビング、スタンピード──どれを取っても、剛志の今までの人生において関わることのなかったものだ。


それが今、ひょんなことからダンジョン探索者になって、気づけばその大事件の割と中心に自分も関わることになるなど、去年の剛志には想像もつかなかったはずだ。


その後、剛志はいつでも手伝えるようにと、急遽作成されたダンジョンの外に発生しているスキル使用可能エリア内に設置された簡易テント内で、その日はほかの探索者たちと休息を取ることにした。


明日以降もしばらくは会社を休まなくてはいけないため、連絡を取った剛志だったが、日本全土で発生したこの未曾有の災害に対し、会社もしばらくは休業するらしく、問題はなかった。


この災害自体は、ダンジョンに関係のある探索者やダンジョン支部の者だけの問題ではなく、ダンジョンがあることが当たり前となった現代社会にとって、誰にとっても身近な大問題となっていたのだ。

本作品を楽しんで頂きありがとうございます。

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