第48話 本領発揮
今日一日で本章のA.B.Y.S.S.編最終話まで更新しちゃいます!
更新時間は12時から一時間おきになります。
ストックはまだありますが、そのうち尽きるため、今日と明日の一斉投降を終えるとしばらくは通常の更新ペースに戻ると思いますのでご了承ください。
「ああああぁぁぁぁ!!!」
そう叫びながら落ちていく剛志。いきなり町田所長に引っ張られる形で落下しているため、心の準備ができていなかったのだ。
「何を大げさに! 男だろ!」
空中でほとんど声が聞こえない中でも大声で伝えてくる町田所長に対し、剛志は涙目になりながらも言い返す。
「男とか女とか関係ないでしょ! 怖いものは怖いし、いきなり引っ張るのはそっちが悪い!」
そんなやり取りをしながら落ちていく二人。そうして段々と地面が近づくにつれて、どうやってパラシュートが開くのか聞いていなかったことに気づいた剛志。
「え!? これってどうやって@&%$#」
剛志の言葉の最後の方は、いきなり開いたパラシュートによって衝撃が加わり、言葉として成立しなくなった。
今回剛志がつけているパラシュートは、地上との高さを計算して自動で開いてくれるものだったため、剛志が気にする必要はなかったのだが、それも説明しないのは向こうの落ち度だろう。
そんなこんなで、何とか地上に降り立った剛志と町田所長。
開ききったパラシュートの残骸をその場に放置し、急いでダンジョンの入り口に向かう。
ダンジョンがスタンピードを起こしている影響で、落下の途中からステータスが適用されるようになった剛志と町田所長は、一気にダンジョンの入り口に到着した。
町田所長に遅れる形で到着した剛志に、町田所長が現場の職員と話しているのが聞こえてきた。
「状況はどうなっている!」
「現状、ダンジョン外への被害はありません。中ではベテランの探索者たちがなんとか魔物を止めております。ただ、その数が多すぎるため、だんだんと皆に疲れが見え始めている状態です!」
「わかった! こちらはうちのダンジョンの最高戦力を連れてきた! 剛志君、やれるね?」
そう聞いてくる町田所長。最高戦力と言われて嬉しさもあった剛志だが、ここまで来てやることは一つだったので、勢いよく「はい!」と答える。
その剛志の返事を聞いた町田所長は、「ついてこい」というジェスチャーの後に、そのまま自身もダンジョンの裂け目に入っていった。それに遅れないように剛志も中に入る。
ダンジョンの中はすごいことになっていた。
いつも剛志が通っているダンジョン支部や、デパートといったダンジョン内に建てられている建物の多くから煙が立ち上り、崩れているところもある。
それに至るところで戦闘が行われており、ダンジョンの入口近くには傷ついた探索者がいて、入口を死守するためにバリケードが築かれている。
「皆、よく頑張った。もうひと踏ん張りしてくれ! 剛志君、あとは任せてもいいかい?」
そう聞く町田所長に対して、自信満々にうなずく剛志。
そう、今回のような状況は剛志にとって最も得意とする状況なのだ。圧倒的物量に対抗するには、それを上回る物量だ。
「さっきの戦闘には入って行けそうにないですが、今回のケースは自信しかないですね。大船に乗ったつもりでいてください」
いつもの剛志に似つかないビッグマウスな発言だが、先ほどの戦闘や、ヘリからのスカイダイビングでアドレナリンが出っぱなしの剛志は、少しテンションがおかしくなっているのだろう。
しかし、実際剛志には、現状この状況をひっくり返すだけの力があるのだ。
そんな剛志の現在のステータスがこれだ。
名前:岩井剛志
職業:ゴーレム使い
スキル:所持制限無視・並列思考
職業スキル:ゴーレム作成・ゴーレム再作成・支援魔法【ゴーレム】・ゴーレム強化・ゴーレム異空庫・ゴーレム償還
レベル:89(43up)
HP:242/242(134up)
MP:928/928(510up)
攻撃力:204(110up)
防御力:254(138up)
器用:405(193up)
速さ:301(179up)
魔法攻撃力:555(322up)
魔法防御力:613(345up)
所持ゴーレム数:
アイアンゴーレム×1000(new)
ウッドナイトゴーレム×250(new)
ウッドハンターゴーレム×250(new)
ウッドカーペンターゴーレム×250(new)
ウッドメイジゴーレム(火)×250(new)
ウッドメイジゴーレム(水)×250(new)
ウッドメイジゴーレム(風)×250(new)
ウッドメイジゴーレム(土)×250(new)
ハイマジックハンドゴーレム×2
ハイマジックレッグゴーレム×2
ハイマジックウイングゴーレム×1
マジックウェポンゴーレム×713
「皆、出てきてくれ!」
そう言い、剛志は腕を前に構えた。そして剛志の目の前の空間に三つのゴーレム異空庫が出現し、続々とゴーレムたちが出てくる。
ゴーレムたちはゴーレム異空庫から出ると、すぐさま剛志の指示のもと各戦闘場所に向かって走っていく。
ゴーレム異空庫からゴーレムを出しながら、剛志は町田所長に叫んだ。
「今戦っている人たちに一度下がってもらってください。長丁場になると思うので休息を取ってもらいましょう。また、もし遠距離攻撃が可能な人で動ける方がいれば、ゴーレムたちの後ろから敵を削ってもらえると助かります。お願いできますか?」
そういう剛志の言葉に町田所長はうなずき、周囲に指示を出し始めた。
そうして数分後には、この場所で戦ってくれていた人たちの戦闘をすべてゴーレムが引き受け、交代することができた。
剛志のゴーレムたちは、以前同業者に会い勘違いさせた経験から両肩にペイントがしてあったが、どんどん巨大になったり、見た目がいかつくなっていた。なので、それに加え現在はウッドカーペンターゴーレム作成の工事現場のヘルメットのような防具を頭にかぶっている。
そのため、遠目に見ても剛志のゴーレムたちが普通の魔物とは異なることが一目瞭然だ。
そんな自分のゴーレムたちを確認しながら、剛志は先ほどまで戦闘を行っていた探索者に話を聞いた。
「おお、ゴーレム使いさんか。助かったぜ。で、どうしたんだ?」
そう腰を下ろしながら対応してくれたのは、先ほどまでこのスタンピード戦線を指揮していた古参のベテラン探索者、鴨井修一郎だ。
剛志も何度か会話をしており、顔見知りの男性だ。まだ新参者なのに支部から贔屓にされている剛志に対し、嫉妬の感情を持つ者も多い中、気さくに話しかけてくれる人格者だ。
「鴨井さん、お疲れ様です。ご無事で何よりです。ここからは私が対応するので、今回のスタンピードで何か気になる点など教えてもらえると助かります」
そういう剛志に対し、鴨井は
「そうだな。今回の感想としては、とにかく数が多いな。あいつらどこから湧いてきたってくらい、とんでもねぇ数だ。いくら倒してもきりがねぇ。それに不可解なのが、ウルフ系と呼ばれる魔物が混じっていることだ。ほとんどがゴブリンだが、3分の1くらいはフォレストウルフみたいなウルフ系の魔物がいる。このダンジョンでは出てこないはずなんだがな……」
そう言い、不思議そうにする鴨井。その言葉を聞いて剛志も戦っているゴーレムたちの方をよく見ると、確かにウルフ系の魔物がかなりの数いる。
これはいったいどういうことなのだろう。
そんなことを思いながら、剛志はゴーレムたちの戦闘を遠くから確認するのであった。
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