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ゴーレムの可能性は無限大 〜副業で探索者になったら職業とスキルの組み合わせが良過ぎたみたいです〜  作者: 伝説の孫の手
A.B.Y.S.S

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第47話 事件はまだ終わらない

今日一日で本章のA.B.Y.S.S.編最終話まで更新しちゃいます!

更新時間は12時から一時間おきになります。

ストックはまだありますが、そのうち尽きるため、今日と明日の一斉投降を終えるとしばらくは通常の更新ペースに戻ると思いますのでご了承ください。

剛志は、目の前で繰り広げられる戦いを見て、そのレベルの高さに圧倒されていた。


剛志の強みは、圧倒的な数で押しつぶす質量戦法なのだが、今回のような少数での戦闘は苦手とするところだ。


戦いとは、自身の強みを押し付けることが最も重要だと思うのだが、だからといって弱みをそのまま残しておいていいわけではない。


そんなことを考えさせられながらも、目の前の光景をしっかりと目に焼き付けていた剛志だったが、その戦いも権蔵たちの転移によってあっさりと終わってしまった。


とにかく、よかった。これから被害者の治療などがあるはずだ。そんなことを考えている剛志の耳に、ある男の声が聞こえてきた。


その男は、あの内木守三。町田所長のストーカーであり、横浜第一ダンジョンの所長だ。


「皆さん、奴らの目的は終わっていません! 奴ら、どうやったのか方法は不明ですが、日本中のダンジョンでスタンピードを起こしやがりました!」


その言葉に、剛志は耳を疑った。


スタンピードとは、ダンジョンを探索者が放置していると、内側にいる魔物が一定数を超えて外に出てくるといわれる現象だ。


その際に起こることは、次のうち二つだ。


一つは、先ほども言ったように、ダンジョン内の魔物が外に出てくるということ。


そしてもう一つが、ダンジョンの領域が地上に広がるというものだ。


ダンジョンの特性として、ダンジョン外に出るとステータスなどが100分の1に減るというものがある。それを回避するためなのか、スタンピードが発生するとダンジョンの入り口を中心に地上の半径500mがダンジョンの領域になるのだ。


その際、今まで地上と呼ばれていた支部やお店があった場所が、ダンジョンの「地下0階」という扱いになり、入り口を中心に半径500mがダンジョン内部と同じ扱いになる。


そして、この変化は現状不可逆。一度そうなってしまうと元には戻らないとされている。


戻す方法も研究されてはいるが、まだ元に戻った例がないのだ。


そんな変化が、日本中のダンジョンで起こった!? これはとてつもない事件である。


「はあ!? 日本中のダンジョンでスタンピードだぁ!? そんなことあり得るのかよ!!」


そう叫ぶのは嵐山。その言葉に対し、冷静に返す守三。


「はい。先ほど通信が可能になった段階で、すべての支部から連絡が入りました。正確にはこの新宿ダンジョンを除いてになりますが、日本中のダンジョンでスタンピードが発生しているようです。皆さんには、ひとまずスタンピードの鎮静化をお願いしたい。おそらく、ここに日本の最高戦力が集まる瞬間を狙った犯行だと思われます」


そういう守三の言葉に、剛志はハッとした。


確かに今この場所には、各地のダンジョンで優秀だと認定された者ばかりが集められている。もちろん、ここにいない優秀な探索者も大勢いるが、少なくとも日本最強と呼ばれるような強者たちは集まってしまっている。


ということは、各地の戦力は現状手薄になってしまっているということだ。


守三の言葉を聞いて、この場に残っていた探索者たちは一斉に走り出した。自身のホームダンジョンに向かって。


ただ、帰るためにはダンジョン間転移を行わなければならないのだが、ダンジョン間転移は基本的にスタンピード中は使えない。そのため、皆一斉に職員の指示に従いダンジョンの外に出た。


剛志もその流れに沿ってダンジョンの外に出たところで、町田所長が待っていた。


「剛志君、こっちに来てくれ。状況は伝わっていると思うが、とんでもないことになった。こっちにヘリが用意してある。私たちはこれに乗るぞ」


そう言って剛志を案内する町田所長。それについていき、ヘリに乗り込む剛志。ヘリには他にも数名の探索者と職員が乗っており、やがて離陸した。


「とんでもないことになったな、マジでふざけてやがる」


「私たちはまだ近いので被害は少なく済みますが、北海道や沖縄といった距離のあるところは、どうしても被害が出てしまいそうですね」


「いや、そうかもしれんが、探索者はここにいるのがすべてではない。現地にいるやつらが何とかしてくれるさ」


そう会話しているのは、町田所長と守三だった。お互い横浜のダンジョンの所長ということもあり、相乗りしているのだ。


そうしていると、一緒に乗っていた遠藤が話しかけてきた。


「とんでもないことになったな。さっきの戦いもとんでもなかった。俺じゃまともに入っていけないレベルだったぜ」


「そうですね。あの中に入っていくのは、ただ死にに行くようなものでした。それほど高レベルな戦いでした」


「でもお前のゴーレム見たぜ。あんな状況でしっかりと誰かを守っていた。シンプルにすげーよ。俺なんか自分の身を守るので精いっぱいだったぜ」


そう言われた剛志は、少し照れくさそうにしながら、


「いえ、あれは私の実力というよりも町田所長の指示のおかげでした。私も最初はあたふたして、状況を理解するのに精一杯でしたので」


と、そう答えた。そんな、若干お通夜のような空気のまま、ヘリは空を進んでいく。


そして初めに見えたのは、横浜第一ダンジョンだった。そうするとおもむろにパラシュートを装着した守三と遠藤が飛び降りた。


「え!? これってパラシュートで向かうんですか?」


突然の出来事に少し驚いた剛志がそう聞くと、町田所長は「何を当たり前のことを」といったような感じで、「そうだぞ?」と返してきた。


確かに緊急事態で、それが一番効率がよくても、できることとできないことがあると思い、少し戸惑った剛志。しかし、ダンジョンでいろいろ経験していくうちに、その辺の危機感が少し麻痺しているのか、なぜか納得してしまった。


そんなこんなで、剛志がいつも通っている横浜第三ダンジョンが見えてきた。


ぱっと見た感じ、まだ被害は広がっていないようだ。入口の裂け目に対して多くの人がバリケードを組んでいるのは見えるが、外から見る限り、戦闘は始まっていない。


「よかった、うちは間に合ったみたいだな。では剛志君、行こう」


そう言って剛志を引っ張り、一緒にヘリから飛び降りる町田所長。


剛志と町田所長の二人は、どんどんとダンジョンに向かい落下していくのだった。


本作品を楽しんで頂きありがとうございます。

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