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ゴーレムの可能性は無限大 〜副業で探索者になったら職業とスキルの組み合わせが良過ぎたみたいです〜  作者: 伝説の孫の手
A.B.Y.S.S

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第44話 パーティー

今日一日で本章のA.B.Y.S.S.編最終話まで更新しちゃいます!

更新時間は12時から一時間おきになります。

ストックはまだありますが、そのうち尽きるため、今日と明日の一斉投降を終えるとしばらくは通常の更新ペースに戻ると思いますのでご了承ください。

蝶野さんのダンジョン内転移によって転移した剛志たちは、転移前と同じような一室に現れた。風景はほとんど同じだが、ところどころ若干物の位置などが違う。無事転移できたのだろう。


「じゃあ、私の仕事はここまでだ。次の転移先もあるし、あまり長居せずにどいてくれ」


そう剛志たちに言いながら、近くにあったポーションを飲み始める蝶野さん。おそらくMP回復用のポーションだろう。


この場に長くいる必要性もない剛志たちは、すぐに部屋を出るとそこは明らかに横浜第三ダンジョンではない空間が広がっていた。


ダンジョン支部の建物自体がそもそも大きい。ダンジョンの一階層の中で一際高く、そして敷地面積の広い巨大なビルがそこにはあった。


剛志が見ているのは中からの光景なので、全容は正確にはつかめていないのだが、廊下の長さとエレベーターがあり、その回数が高層ビル並みにあることからそのように感じ取っていた。


「ここに来るのは初めてかい?無駄に大きいだろ。まあこの国のダンジョン支部の総本山というわけで色々な役割もあるからここまで大きいんだよね。ダンジョンの外にあるダンジョン支部の建物もそれなりに大きいけど、スキルが使えるということもあってもっぱらこっちの建物が使われるようになっているね」


そんな町田所長の説明を受けながら、案内されるがまま建物を進んでいく剛志。そうして到着した階には、すでにドレスアップした面々がぞろぞろといる。ここがパーティー会場の様だ。


「そういえば今回のパーティーの趣旨をちゃんと説明していなかったね。ダンジョン協会としても君みたいな優秀な探索者は大事だから、そういった探索者たちをねぎらうというのが目的ではある。しかし何のトピックもなくこういった会を開くこともないから今回も主目的はある。今回のは日本のダンジョン踏破階数が塗り替えられたことを祝う会になっている。」


「ダンジョン踏破階数ですか?」


そう聞く剛志。それに対し、町田所長はパーティー会場の奥の方にいる四人組を指してつづけた。


「あそこにいるパーティーが今回の主賓だね。一応この国のトップパーティーになるんじゃないかな。四人中3人が1級の探索者で、リーダーの西園寺は特級というパーティーだ。彼らが、北海道にある札幌ダンジョンで、地下89階層のボスを倒し地下90階層に到達したようだ。」


町田所長が教えてくれた探索者たちは男女2人ずつの4人組で、年齢も剛志と同じくらいでかなり若い。


探索者はその特性上年齢を重ねても老いにより動きが鈍くなるということが少ない。そのためダンジョン探索者は年齢が高い人ほど強いということが往々にしてある。


しかしダンジョン探索は常に命の危険と隣り合わせだ。肉体は強くても精神は衰えていくため、探索者を引退するというものもいる。そう考えると彼らは今一番油の乗った年齢なのかもしれない。


「リーダーの西園寺は、君と同じ☆5のスキルホルダーだよ。それに彼のは有名だが物語の主人公みたいなスキルだ。それを生かしてどんどん探索者として頭角を現していて今では名実ともに日本最強と名前が上がる存在だね。日本最強で言われるので言うとあっちにいる今にも死にそうな年齢の爺さんと、奥の方にいるボディビルダーのようなマッチョ。そしてあそこに座っている刀を持った女。この四人がよく名前が上がるね。」


そうやって探索者事情に疎い剛志に、町田所長が有名どころを教えてくれた。


先ほど上がった四人を軽く説明すると。


今回の主賓の西園寺正義さいおんじせいぎは☆5の経験値取得率増加というスキルを持っており、文字通りダンジョンで魔物を倒すと得られる経験値が増大するらしい。そして後天的に手に入れた☆4スキルの共有で仲間たちもその恩恵を受けれるらしい。


次におじいさんの名前は藤原権蔵ふじわらごんぞうは、☆5スキルのバーサーカーを持っており、職業はなんと剛志と同じゴーレム使いの上位職ゴーレムマスターの様だ。自らの使役するゴーレムをバーサーカーで捨て身の超強化を行い敵をなぎ倒すのが戦い方の様だ。


そしてマッチョが田畑敏則たばたとしのりという名前で、スキルは☆5の肉体強化らしい。なんとも見た目そのもののようなスキルだが、そのスキルを活かして己の拳で戦うという脳筋な戦闘方法で一部からかなりの人気を誇っているらしい。


最後に紅一点の女性が宮本万葉みやもとかずはで、名前と戦闘方法から宮本武蔵の末裔かと噂されているが、本人曰く全く関係ないらしい。そんな彼女のスキルは☆5の一刀両断というスキルで、刀しか使えない代わりに刀での戦闘の際に攻撃力と切れ味が増大するというシンプルイズベストのようなスキルだ。


こうして聞くと、剛志の持っている☆5の所持制限無視はかなり地味なスキルに思える。それにここにいる人はほとんどが☆5のスキルを持っているようで、あまり珍しいものでもないように思えてきた。


そんな感想をつぶやくと町田所長は笑いながら剛志の肩をたたいてつづけた。


「馬鹿だな。☆5スキルが珍しくないわけないだろ。もちろん上位の探索者になれば自力で☆5スキルを手に入れることもある。そういうアイテムがあるからな。でもそれでも持っているものは1万人に一人ほどの確率だぞ。ここにそういった連中が集まっているだけだ。」


なんだか励まされているようで、どこかむずがゆい剛志だったが、そこまで自分には関係のないことかと思い、それからは単純にこのパーティを楽しむことにした。


そうやって切り替えると、いつもはなかなか食べることのできないようなおいしそうなご飯がたくさんあり、果物もすごくおいしそうだ。


とにかく食に楽しみを見出し、町田所長に連れられながらパーティ会場を歩き色々な人に挨拶をしながらパーティを楽しんでいるとそれは起こった。


何人かとたわいもない雑談をこなし、このパーティにも慣れてきた剛志だったが、前方から小太りの男が近づいてくるのが見えたとたんに隣にいた町田所長から「チッ」と舌打ちが聞こえてきたのだ。


「最悪だ。あいつまだ私のこと狙っているのか。剛志君、前から来るあの気持ち悪い視線の男は相手しなくていいぞ。別のところに行こう」


そういい踵を返そうとする町田所長に待ったをかけるかのように前方の男性が話しかけてきた。


「おやおや、桃花さんじゃないですか!こんなところで奇遇ですね」


そういい満面の笑みで近づいてくる男性。一瞬町田から剛志に視線を移した際に、とんでもない形相で睨むものだからかなりぎょっととしてしまった剛志だった。


「下の名前で呼ぶな、気持ち悪い。それに奇遇も何もあるか、ここには全支部長が集まるんだから居て当たり前だろう。」


そういってかなり嫌悪感をあらわにする町田所長。そんなあけすけに嫌ってもいいのかとびっくりする剛志だが、相手は全く気にした様子がない。なんだか怖い人だ。


「そんな強気な桃花さんがたまらない。いつも素直じゃないですね。今度お食事でもどうですか?」


「今の流れでなぜデートに誘える?行くわけがないだろう。お前のことは心底気持ちが悪いと思っているんだ。できれば話しかけないでくれないか?」


そんなどこかコントのようなやり取りが始まり、いやそうな町田所長と相手の男性とのやり取りに周りの人間はなんだか慣れた様子だ。


そんな状況について行けずにあたふたする剛志のもとに、先ほどの男性と一緒にいた男が話しかけてきた。


「あんた、見ない顔だな。新人か?あのやり取りはいつものことだから気にしないでくれ。町田さんには気の毒だがあの男はおそらく治らない。発作みたいなものだ。」


いきなり話しかけられたのでびっくりはしたがやっと状況が分かりそうだと話に乗る剛志。


「はい、つい半年前に探索になったので新人ですね。あなたは?」


「俺は、もう探索者になって8年9年ってところか。そう考えるとそこそこベテランって感じかもな。でもお前結構老け顔だな」


そんな事言われたことはなかったのでびっくりした剛志。


「え、そうですか?あまり老け顔って言われることはなかったので…」


「新人ってことはまだ未成年だろ、十分老け顔じゃねえか」


そういい笑う男性。そこで話が食い違っているということに気づいた剛志は説明をした。


「ああ、そういうことですか。私はサラリーマンをしながら最近始めただけで、年齢はそれなりに行っています。今ちょうど28歳の年ですね。」


「28!?そういうことかよ。なんだ同い年じゃねえか。脱サラ組ってことだな。まあそういうやつもいるか。まあ、なんかの縁だよろしくな。俺は遠藤攻えんどうこうそれなりに名前は知れてると思うが、一応横浜第一ダンジョンが主な活動場所だ。あそこにいるバカはそこの所長の内木守三うちきもりぞうってやつだ。あだ名はきもぞう、あんま面と向かって呼ぶ奴はいないけどな」


「そりゃそうでしょうよ、ただの悪口じゃないですか。初めまして私の名前は岩井剛志です。ちなみに脱サラではなく現役のサラリーマンです。ダンジョンは副業感覚で始めたら楽しくなってきてしまってという感じですかね」


そう剛志が説明すると、遠藤はかなり驚いた様子で、


「なんでまだサラリーマンやってるんだ?ここに来れるってことはその支部で一番優秀かそれに近いってことだろう。そうしたらもうサラリーマンの収入なんか意味ないじゃないか。むしろ時間拘束されるだけマイナスだぜ!?」


「そうですね。最近では平日ダンジョンに潜れないのがうずうずしますね。でも今のところはやめるつもりはないですね。ダンジョンって怪我したら終わりじゃないですか。それが怖くて」


そういう剛志に、遠藤は白けた様子で、


「なんだ、あんたはその程度か。じゃああんまり仲良くしても無駄かもな。ダンジョンは安全マージンばかりを気にしている奴はそれなりで終わる。そういう世界だ。ダンジョン内でマージンを取るならわかるが、それ以外の部分で攻めれない奴はダンジョンでも攻めれない。下層でちまちま小遣い稼ぎする分には問題ないが、深層に行くのは無理だな」


そういって、遠藤は離れていってしまった。


しばらくすると内木をほかの男性たちがはがしてくれたため解放された町田がやってきた。


「早くここから逃げるぞ。いつあいつが戻ってくるかわかったもんじゃない。きもぞうの野郎、仕事だけは優秀だからあの暴挙が許されちまってる。私じゃなきゃとっくにセクハラで訴えて終わりだぞ。なんで私が我慢しなきゃならんのだ。」


そういっていつにもなく不機嫌な町田所長に連れられ、その場を後にした剛志。


パーティはそろそろ終盤に近付いていっていた。


本作品を楽しんで頂きありがとうございます。

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