第43話 順調なダンジョン探索
今日一日で本章のA.B.Y.S.S.編最終話まで更新しちゃいます!
更新時間は12時から一時間おきになります。
ストックはまだありますが、そのうち尽きるため、今日と明日の一斉投降を終えるとしばらくは通常の更新ペースに戻ると思いますのでご了承ください。
魔石変換機を手に入れダンジョンを蹂躙していた剛志だが、翌日もダンジョンに来ていた。
前日にダンジョン内に残して魔石の回収を命じていたゴーレムたちから魔石を回収する剛志。ウッドクラフトゴーレムが木工で作った箱に大量の魔石を積めており、それを二人係で運んできてくれている。
「ありがとう。俺がここを出てからざっと15時間くらいかな、結構集めたね」
そういいながら魔石をマジックバックに収納する剛志。箱はひと箱大体60kgほどの重さなので、約300個入っている。その箱が大体10箱なので3000個の魔石を回収してくれたようだ。
「時間で考えるとあまり多くないかもだけど、一つの階層だと出現する魔物の上限を狩りつくしちゃうから、リポップを待たなくちゃいけないことを考えるとこんなものなのかもね。でもこれだけもらえたらひとまず十分か。昨日の残りと合わせて何とか今日の一回ぶんは持ちそうだしね。よし、今日もいっぱい働こう!」
剛志は今日も気合十分だった。どんどん強くなる自分の戦力に楽しくて仕方がないのと、昨日の最後に危険を感じたためより強くなりたいと言う気持ちが強まってしまっているのだ。
そうして剛志は魔石変換機を使用しながら新しいゴーレムを作ろうと思ったのだが、数は大体そろってきているためここらで最大レベルまで上げることで新しいゴーレムを作れないかという部分を確認したいと考え、取り敢えず全種類MAXレベルまでレベルを上げることにした。
そうして判明した新ゴーレムたちがこれだ。
ストーンゴーレムをレベルMAX(Lv10)
・アイアンゴーレム
ウッドソードゴーレムをレベルMAX(Lv10)
・ウッドナイトゴーレム
ウッドアーチャーゴーレムをレベルMAX(Lv10)
・ウッドハンターゴーレム
ウッドクラフトゴーレムをレベルMAX(Lv10)
・ウッドカーペンターゴーレム
ウッドメイジゴーレムをレベルMAX(Lv10)
・ウッドメイジゴーレム(火)
・ウッドメイジゴーレム(水)
・ウッドメイジゴーレム(風)
・ウッドメイジゴーレム(土)
マジックウイングゴーレムをレベルMAX(Lv10)
・マジックウェポンゴーレム
となる。
正確にはマジックウェポンゴーレムの存在は、レベルアップの段階で知ってはいたが作ってはいなかったので一緒に紹介している。
これらを確認して剛志は率直に種類が多いと思った。剛志の性質上時間をかければすべてを作り運用可能だ。またすべての特性を理解し使いこなさないともったいないと感じるため余計種類の多さに目が行くのかもしれない。
基本的には一種類の強化版なので、そのうち強化していけばいいかと思うだけなのだが、ウッドメイジゴーレムが魔法の属性で四種類に分かれたタイミングで一気にめんどくさくなったのだ。
その上マジックウェポンゴーレムだ、これはどんなゴーレムかというと少し毛色が異なる。
これは武器を材料に作るゴーレムで、それ自体が自立で動くことができるゴーレムだが、使い方はほぼ武器だろう。
おそらくウッドナイトゴーレムの武器等を強化するのがよい使い方なのだろうが、本質はゴーレムなのでやれることが増えるのだ。それぞれが使えるスキルもあるし、欠けたらゴーレム再作成で治すことも可能だ。
本来なら一個ずつ押し寄せるはずの新情報が一気に押し寄せてきたことでおなか一杯の剛志は、ひとまず運用方法を考えるのをあきらめ、作成に必要なMPをまとめることにした。
今までのゴーレムの作成に必要なMPも併せて、ここで再度まとめておこう。
ミニサンドゴーレム:10MP
サンドゴーレム:50MP
ストーンゴーレム:250MP
アイアンゴーレム:400MP(new!)
ミニウッドゴーレム:10MP
ウッドゴーレム:50MP
ウッドソードゴーレム:250MP
ウッドアーチャーゴーレム:250MP
ウッドクラフトゴーレム:250MP
ウッドメイジゴーレム:250MP
ウッドナイトゴーレム:400MP(new!)
ウッドハンターゴーレム:400MP(new!)
ウッドカーペンターゴーレム:400MP(new!)
ウッドメイジゴーレム(火):400MP(new!)
ウッドメイジゴーレム(水):400MP(new!)
ウッドメイジゴーレム(風):400MP(new!)
ウッドメイジゴーレム(土):400MP(new!)
マジックハンドゴーレム:20MP
マジックレッグゴーレム:20MP
マジックウイングゴーレム:50MP
マジックウェポンゴーレム:素材によって変動(new!)
こうやって見るとやはり多いな。それに本来だと作成コストが400MPも必要なゴーレムたちの実力を見てみたい。
そう思う剛志であったが、一度上位のゴーレムに引き上げると、すべてのゴーレムを変えたくなるということと、そもそも材料が現在だとそこまで多く集めるのが難しいということから泣く泣く一旦は見送ることにした。
まだ現状のゴーレムたちの数の暴力で十分なのと、もっとレベルも稼ぎも上がったときに次のステップに進めばいいと考えたのだ。
一先ずゴーレムたちはストックも考えると各種1000体の大台に乗せたいと思った剛志だが、本当にそこまでいるのかは置いておいて今のゴーレムたちで太刀打ちできなくなるまでは、この方式で行けるとこまで行くつもりのようだ。
「とりあえず今日は地下30階層以降の階層を進んでいこう!魔物はオーク系とオーガ系って聞いているからゴリゴリの武闘派な魔物だと思う。戦ってみてだけど問題なく行けると思っているし。」
そうゴーレムたちを鼓舞して、一度ゴーレム異空庫の中にほかの人を驚かさないようにほとんどのゴーレムを回収したのち、剛志は地下30階層へと進んでいった。
そして、地下30階層以降の探索を進めだした剛志だったが、そこからの進軍は安全マージンも十分に取ったものでほとんどが一方的な蹂躙ばかりだったため割愛しよう。
そして時はたち町田所長とダンジョン協会主催のパーティーに行く日がやってきた。
平日ということもあり有休を取得して参加する剛志は、オーダーメイドで作ったスーツを着てがちがちの状態で横浜第三ダンジョンの支部に顔を出したのだが、周りから格好も相まって奇異の目で見られるので肩身が狭い思いをしていた。
そんな剛志を見つけて上白根さんがやってきてくれた。
「剛志様、本日はお越しいただきありがとうございます。よくお似合いですよ。町田も所長室にいますので、そちらへ向かいましょう」
そういわれた剛志は上白根さんの後をついていき、町田所長がいる所長室に入った。
「おお、来たか。なんだいよく似合っているじゃないか!これなら舐められることはなさそうだな。そんなに緊張しないで、楽しんでくれたまえよ」
そういい豪快に剛志の肩をたたく町田所長。もともと美人でスタイルもいいと思っていた町田所長だが、今回はパーティー用にドレスアップしておりその魅力を惜しげもなくふるまっている。
それに比べ剛志は、冴えない顔をしてがちがちに緊張しているため一緒に出るには明らかに不釣り合いだ。もちろん異性のパートナーと言うわけではないのだが、パーティーに一緒に行くのに申し訳なくなってくる。
「緊張しますよ…そもそもただのサラリーマンだった私が、パーティーに行くことすら考えたことがなかったんですから」
「まあ、今後もこういう機会はあるだろう。慣れてくれ」
そういい微笑を浮かべる町田所長。内容や声のトーンなどは見た目とは裏腹ないつものガサツな町田所長だが、さすがにこの見た目だと町田所長でもドキドキしてしまいそうになる。
そんなかなり失礼なことを考えていた剛志だが、所長に座るように言われ、所長室にある椅子に座った。
「パーティー会場は、東京の新宿ダンジョン内にある会場で行われる。まあいわゆるダンジョン協会本部だな。ここからだと車でも行けない距離ではないのだが、参加者は一律でダンジョン内転移の持ち主の転移で各支部から参加することになっているので、時間になるまでここで待とう。それにしても最近はかなり活躍みたいじゃないか。今は何階層を主に探索しているんだ?」
「そうですね、一番深く潜ったときは地下53階層まで行ったんですが、ちょっとゴーレムたちの損傷が激しすぎて、今は主に地下40~49階層でゴーレムたちと戦いレベルアップと戦力強化をがんばっています。」
そう剛志が返すと、驚いたような反応をする町田所長。
「もうそんなにか!このダンジョンで今そこまで深い階層を潜っているのはいないんじゃないか?昔は何組かいたんだが、今はな…」
そういい何か意味深な感じの町田所長だが、あまり深くは聞かないでおこう。
そう思った剛志は、空気を変えるべく話を変えた。
「いや、そんなにかって上白根さんから聞いていないんですか?この前も等級を上げてもらったところですし」
「いや、聞いてはいるよ。でも直接聞くのだとまた別じゃないか。それに今みたいな対応も大事だぞ。お偉いさんは同じ話を何度もすることもあるし、別の人から聞いた話でも初見みたいなリアクションをするのがマナーだぞ」
「なるほど、そういうものですか。頑張ってみます。」
こういう暗黙の了解みたいなものは国や文化によって異なるものだが、マナーというものは不合理だとしても合わせることで会話を円滑に進めるための重要なツールの一つなのだ。
もし相手がマナーに対して本心では不必要だと考えていても、何も知らない所見の人がマナーにそぐわないことをしていると、あの人はマナーを知らない人なんだというレッテルが張られるのだ。それをそのあとの行動で払しょくすることは可能でも、まずはレッテルを張られないようにするのが賢い立ち回りというのだろう。
少し話がそれたが、剛志は先日探索者ランクで5級に上がった。これはまだ探索者を初めて一年もたっていない探索者にとっては異例のことの様だが、剛志のように初めのスキルガチャで☆5のレアスキルを手に入れたものにはまれにいることのようだ。
しかし5級と言えば、しっかりとした中級者とみられる階級で、その割合は全体の20%未満だといわれている。
そんなランクに到達できた剛志だが、この剛志で一番の稼ぎ頭な横浜第三ダンジョンは、ダンジョンの中でも人材不足なのかもしれない。
そんな意味のない思考をしながらも、町田所長と剛志はこの後の流れや、たわいもない雑談などをして時間をつぶしていると、いつの間にか仕事のため退室していた上白根さんが戻ってきた。
「お二人とも、ダンジョン内転移のスキルホルダーがお待ちです。転移室に来てください。」
「ああ、時間か。では剛志君行こうか」
そうして上白根さんと町田所長に連れられ、転移室に向かう剛志。
因みに転移室とは、ダンジョン内転移のスキルホルダーが転移するための魔法陣がかかれた部屋である。ここには何度か来ており、支部からの仕事で初めては資源の運搬を行った際に蝶野さんに転移してもらった場所だ。
ダンジョン内転移とは目視の場所か、あらかじめ魔法陣が作られている場所にしか転移できないため、このような部屋が存在するのだ。
そうして、転移室に到着するとそこには見知った顔が居た。
「あれ?誰かと思ったら剛志じゃん。何だ、この支部は剛志が参加するのか。あんたも出世したね」
そんな事を言ってきたのは剛志が唯一合ったことのあるダンジョン内転移のスキルホルダーである蝶野さんだった。この蝶野さんという方もかなり男勝りな方で、見た目は町田所長とは違いボーイッシュな美人といった感じだ。
剛志の知る男勝りな美人二人の遭遇に、俺の周りはこういう人しかいないのかと若干辟易する剛志だが、すぐにダンジョン内転移のスキルホルダーはそんなに数がいない事を思い出し、なるほどなと思った。
「ああ、蝶野さんだったんですね。今日はよろしくお願いします。でももしかして今日は結構大変な一日ですか?」
「ああ、そうだよ。仕方ないといえばそれまでだけどさ、まあ金払いは割といいし、割り切っているけどね」
そんな事を話していると、町田所長が準備を終えた様で話しかけてきた。
「では雑談はそれくらいにしてもらって、蝶野君よろしく頼むよ!剛志君もこれからが本番だ、サポートはするから気負う必要はないが少し気を引き締めておいてくれ」
さっぱりとした笑顔を見せる町田所長。剛志は知り合いたちと話していたことで溶けていた緊張が、再度ぶり返してきたのを感じ、少しいやになるのであった。
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