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ゴーレムの可能性は無限大 〜副業で探索者になったら職業とスキルの組み合わせが良過ぎたみたいです〜  作者: 伝説の孫の手
GW

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第35話 思わぬ収入

二日間限定でスタートダッシュということで一日10話更新。二日目です。

更新時間は12時・13時・14時・15時・16時・17時・18時・19時・20時・21時の一時間ごとになります。

楽しんでいただけますと幸いです。

ボス部屋に入ると、前回のように剛志たちが入りきったところで入口の扉が閉まり、入口反対側の方に魔法陣が浮かび上がりボスが召喚される。


地下10階層から19階層までの間に出てきた魔物はすべてストーンゴーレムで統一されていたことから、ここでのボスモンスターもゴーレム系が予想されるがいったい出てくるボスはどんな構成なのだろう。そう思い観察する剛志の前に現れたのは二体の魔物だった。


「おお、ゴブリンたちの時みたいに部下を従えてくるタイプではなくて強い個体が現れるタイプか。それにしても大きいな全長3mはあるんじゃないか?それに材質は何だろう。金属ぽいけど...」


そうつぶやく剛志。剛志の前方に現れたボスモンスターはストーンゴーレムよりも一回り大きい金属製のゴーレムだった。その数二体。身長があるだけでなく、その体躯に見合うように手足も大きくなっているため、その迫力はかなりのものだ。


「でも、ゴーレムなのは予想通りだな。今回は一気にここまで来たから、イレギュラーエンカウントにもあっていないしこのゴーレムの強さはわからないけど、物量押しで何とかなるだろう。でも相手のゴーレムの戦闘力は未知だから油断しないようにしないとな。一郎、二郎、二人をリーダーにチームを二つに分ける。それぞれであのゴーレムたちをやっつけろ!」


そうゴーレムたちに指示を出すと、ストーンゴーレムの一郎と二郎は二人とも右腕を押し上げ全体を鼓舞するかのようなジェスチャーをしたのち走り出した。それに続くように走るサンドゴーレムとウッドゴーレムたち。


ステータスの差でサンドゴーレムたちを置いていくようなスピードで走る一郎と二郎が初めに敵のゴーレムにぶつかる。相手の方が一回り体が大きく、力もスピードも勝っているだろう。しかし一郎と二郎は二人とも走って着いた速度を落とさないままスキルの体当たりを発動した。


一切減速が行われないままトップスピードで体当たりを行った二人は、その威力に自身も若干のダメージを負いながらも相手のゴーレムを弾き飛ばし、しりもちをつかすことに成功した。


自身もその反動で動きが止まってしまった一郎と二郎だが、そこにすかさず遅れて登場したサンドゴーレムたちがフォローに入る。起き上がろうとしているボスに対しその手足にしがみつき動きを封じようと試みたのだ。


今までのストーンゴーレムであれば、ステータスの劣るサンドゴーレムでも二対一で腕を抑えれば動きを封じれたのに対し、相手のボスゴーレムはそう簡単にはいかなかった。


腕にしがみついたサンドゴーレムを腕力のみで持ち上げ、振り回して周りのサンドゴーレムたちをなぎ倒してしまったのだ。


それを見て剛志がヤバいと一瞬焦ったのだが、剛志のゴーレムたちは冷静だ。まだ攻撃の範囲外にいて攻撃を受けていないゴーレムたちと、先ほどの攻撃の反動から復活した一郎達が振りまわし攻撃の後に動きが止まったボスゴーレムに襲い掛かる。


ストーンゴーレムの時とは異なり両腕に二体ずつの計四体がボスゴーレムの動きを封じるべくしがみつき、先ほど振りほどかれてしまったサンドゴーレムたちも立ち上がりサンドゴーレムたちを振りほどこうと藻掻くボスゴーレムの腕や足、胴体に取りつき動けないように羽交い絞めにしていく。


そこに投石のスキルを持ったウッドゴーレムたちがミニウッドゴーレムの時よりも威力の上がった投擲を繰り広げる。体のほとんどにサンドゴーレムたちが組み付いている状態だが、器用さも上がり投擲の技術も向上しているウッドゴーレムたちはそのほとんどを上手に避けてボスに直接石を当てていく。


そしてストーンゴーレムになっている一郎と二郎も同様にボスゴーレムの表面を思いっきり殴り、ちょっとずつだがダメージを与えていく。


こうなってしまったらあとは時間が過ぎるのを待つだけだ。ボスモンスターと言えばHPが少なくなると暴走モードみたいなものが発動するというのがお約束のような気もするが、このボスにはそういったスキルは備わっていないようでそのまま倒すことができた。


ボスモンスターを倒したことでレベルが上がった剛志は、そのことを実感するとともに、ウッドゴーレムが持ってきてくれたドロップアイテムを確認する。


そこには何らかの金属のインゴットがあり、おそらくこれがあの魔物のドロップアイテムなのだろう。ウッドゴーレムに礼をいってアイテムを受け取った剛志は、ここまで長かったと思いっきり伸びをした。


「う~ん、何とか勝つことができたな。でも単純な戦力で言うとさすがに深く潜りすぎな気もする。力比べだと完敗だったな。ここまで来たしとりあえずはまた戦力アップが優先か…」


またレベル上げと素材回収の日々が続くのかと少し憂鬱になった剛志だが、そのことは明日の俺に任して今日はもうダンジョンを出よう。そう考えてボス部屋を後にし、転移陣で一階まで戻ってきた。


ダンジョンの一階層に出ると、普通に生活をしている探索者や商人、ダンジョン支部関係者や一般人なんかが各々の用事で忙しくしてるのが分かる。今はGW(ゴールデンウイーク)中ということもあり、その人通りもいつもより多い気がする。


そんないわゆる普通の光景に、わずか数日だがダンジョン内でゴーレムたちと過ごしていた剛志は、なんだか帰ってきたというような感覚に陥り一気に疲れが押し寄せてきた。


「いや~やっと戻ってきた感じがすごいな。とりあえずいつものように上白根さんに素材の売却なんかやってもらうか」


そう独り言をつぶやいた剛志は、そのままの足でダンジョン支部にやってきた。ダンジョン支部に入ると以前イレギュラーエンカウントから救出した田中達パーティーが丁度出てきたので、少し世間話をする。


「あ!剛志さんじゃないですか。今帰りですか?」


「おお、田中君。君たちもかい?」


「そうですね、僕たちも今日の探索はこれで終わりにして、今ドロップアイテムの買取を済ましてきたところなんですよ。剛志さんもそんな感じですか?」


「そうだね、今回は長期休みだから少し頑張って長めに潜っていてね、今帰ってきたところなんだ」


そう剛志が答えると盗賊の加藤君が質問してきた。


「ダンジョン内で泊まりですか?それは思い切りましたね。ゴーレムがいるとは言えソロで泊まりは危なくなかったんですか?」


「まあ、俺の場合ゴーレムの数も多いし、そこは何とかなったよ。でも当分は泊りはしなくてもいいかな。ちょっと深い階層までの転移陣の登録を目指していたからやっていたことだしね」


そう剛志が言うと、今度は魔法使いの渡辺さんが入ってきて、


「え、もう地下10階層いってきたんですか?私たちもそろそろボス部屋に挑戦しようかと思っていたところなんですが、さすがですね!」


というので、ちょっと自慢みたいになるのは気まずいなと感じながらも訂正した。


「いや、実は地下20階層まで行ってきたんだ。さすがに大変だったよ」


そうすると、三人はまさかというように驚いた顔をしていた。


その後少しの間沈黙が広がったが、田中君が場の空気を変えるように、


「いや、さすがとしか言いようがないですね。剛志さんは時期で言えばほぼ同期みたいなものなのにあっという間に差を広げられちゃったな。僕たちも頑張ります」


というので、剛志も


「いや、俺はただ初期のスキルに恵まれただけだから、君たちも十分順調だと思うよ。それにダンジョンは結局命がけの場所だ。しっかりと安全を担保するのもリーダーである君の役目だろ。応援しているから頑張ってね」


と言って、お互いを鼓舞してその場は終わった。


終わり際に向こうの方から連絡先を聞かれた剛志は快く交換し、初めての探索者仲間を得た剛志はホクホクの状態でDTMを使用し上白根さんを呼んだ。


上白根さんはやってくると、すぐに話し出した。


「剛志様、お久しぶりです。たまにDtubeの配信が稼働しているのは確認していたので、ダンジョンに来ていることは把握していたのですが、買取は来ていませんでしたよね。動画を見るに地下16階層以降に潜っていたようなのですが、どうでしょうか?」


「ああ、そうですね。お久しぶりです。今回は少し頑張って地下20階層までの転移陣を登録して戻ってきました。一気にはいけなかったので何日か泊りになってしまったので今日は家に帰ってゆっくりしたいと思います。」


「もう地下20階層ですか。さすがですね。しかしダンジョンはどこまで行っても命がけの実力主義の場所です、お気を付けください。今回は買取でよろしかったでしょうか?」


「はい、お願いします」


そういって剛志は今回のドロップアイテムを出していく。その際に奥の倉庫に案内され一気にアイテムを出していく剛志。いつ来ても同じように仕事の関係で接してくれる上白根さんに剛志も居心地の良さを感じているので、今回も特に驚く様子もなく出されていくアイテムを眺める上白根さんの反応を剛志は嬉しく感じていた。


本当は上白根さんは出されるアイテムの量にかなり驚いており、それが顔に出ていないだけというのが真実なのだが。


そうしているうちにすべてのアイテムを出し終わった剛志は買取を計算してもらっている間に、この後どうしようかと考えを巡らしていた。


今回のドロップアイテムはサンドゴーレムをストーンゴーレムにするために必要な素材のため、今いるサンドゴーレムの残りの数と必要数を計算し、100個ほど石を残していたがそれでも三日間の収穫量はかなりのもので、約3000個ほどの石のアイテムがある。


このアイテム一個の重量が約1キロなので、全部で3トン近くある計算だ。


計算が終わった上白根さんが帰ってきた。


「剛志様、計算が終了いたしました。今回ドロップアイテムはストーンゴーレムから産出する石のドロップアイテムが全部で3049個、一個当たり350円。アイアンゴーレムのドロップアイテム鉄が2個、こちらは一個当たり800円で買い取らせていただきます。なので合計金額が106万8750円になります。一気に額が増えましたね。おめでとうございます。」


「え”!106万!そんなにですか?」


あまりの金額の多さに驚き大きな声を上げてしまう剛志、剛志の数か月分の給料が、たった数日で稼げてしまった。


「はいそうなりますね。しかしここまで多くの金額になっているのは剛志さんが人よりも多くのアイテムを回収できるというのが大きいですよ。さすがに剛志さんのレベル帯でここまで稼ぐ方はいないと思います。皆さんほとんどが単価の高いアイテムだけを回収し、容量を節約するのが普通なので。それにもっと深い階層を潜っている方の収入はこんなもんではありませんよ」


と、少し笑いながら教えてくれた。そんな上白根さんの説明を受けながらもいきなりの大金で驚いている剛志は、取り敢えずそれで買取をしてもらった。


その帰りに、アイテムショップに行き何かアイテムを買おうかと思った剛志だったが、売っているアイテムがレアアイテムになるほど目が飛び出るような高さになっているのを確認し、自分の稼ぎは探索者としてはまだまだなんだなと実感した。


結局、マジックハンドゴーレムに必要なスライムゼリーと末端魔石を必要分購入し、今後のことも考えて残りは節約することにした剛志だが、その日の夜ご飯は少し贅沢をしてちょっと高めの焼肉弁当を宅配サービスで購入し、満足感とともにベットに沈むのだった。

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