第34話 マルチタスク
二日間限定でスタートダッシュということで一日10話更新。二日目です。
更新時間は12時・13時・14時・15時・16時・17時・18時・19時・20時・21時の一時間ごとになります。
楽しんでいただけますと幸いです。
剛志のレベル上げは順調に進んでいる。
地下18階層で出てくるストーンゴーレムたちをただ倒し続けるという若干修行じみた行為を続け、そのうちチームを二手に分けることも出来るようになり、どんどんストーンゴーレムたちの亡骸を量産していった。
幸い剛志もゴーレム異空庫の練習にはまっており、何度も使ううちに時間が過ぎるのがあっという間だった。
今では瞬時に指定の場所にゴーレム異空庫を出現できるようになっており、その展開スピードは最初とは比べ物にならないほどだ。
今は自分の後ろなどの目に見えない場所か、何もない空間のどちらかに作れるようになりたいと思い練習しているがまだ実現していない。
そうしてGWの三日目もダンジョン内に泊まり、四日目の午後に差し掛かったところで念願のミニゴーレムたちをすべてミニから格上げしてやることができた。
そんな剛志のステータスがこれだ。
名前:岩井剛志
職業:ゴーレム使い
スキル:所持制限無視・マルチタスク
職業スキル:ゴーレム作成・ゴーレム再作成・支援魔法【ゴーレム】・ゴーレム強化・ゴーレム異空庫
レベル:28(8up)
HP:61/61(11up)
MP:125/205(75up)
攻撃力:50(10up)
防御力:66(15up)
器用:136(30up)
速さ:63(16up)
魔法攻撃力:123(35up)
魔法防御力:143(41up)
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所持ゴーレム数
ストーンゴーレム×1
サンドゴーレム×29
ウッドゴーレム×18
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ステータスで変わったことは支援魔法【ゴーレム】にそれぞれ攻撃力と速さを上げるサークル系の魔法が追加になったことと、新しく通常スキルにマルチタスクが加わったことだ。
ここで改めてスキルについて説明すると、スキルには二種類ある。それが通常スキルと職業スキルだ。職業スキルはレベルが上がることで新しいスキルを覚えることができるようになるのが特徴だが、逆にレベルアップでしか新規スキルは取得できない。
しかし通常スキルは初めにスキルの石版に触れることで取得できたり、ほかにもスキルオーブという特殊なアイテムで取得できたり、今回の剛志みたいに一定の行動を経て自力で取得できたりすることができるというものになる。
また通常スキルの特徴として、スキルの習熟度が上がると上位のスキルに変化したり、これまたレアなアイテムだが、スキルアップオーブというものがあり、それで強制的に上位スキルに変化させたりすることができる。
まあ、今回は剛志が普段から何体ものゴーレムに指示を出したり、チームを分けた際にはタブレットで別動隊の様子を窺ったりしていたことがきっかけとなりマルチタスクというスキルを取得したのだろう。そんなスキルの中身はこうだ。
マルチタスク
効果:一度に複数のことをこなす際、その作業をスムーズに行えるようになる
なんともあいまいな効果だが、剛志はこのスキルを取得したタイミングで一気に複数のことを考えるのが楽になったと感じており、地味だがかなり優秀なスキルだと思っている。
まあ、そんな感じで新スキルを手に入れたりといろいろあった剛志だが、一番大きいのがすべてのゴーレムをサンドゴーレム、ウッドゴーレムに再作成できたことだ。
正直ここまできれいになるまで待たなくても先には進めたと感じているが、若干の意地と途中で終わることの気持ち悪さがあったため、ここまで頑張った。
「いや~、長かったけどすっきりしたな。それにこうして見るとかなり壮観だな!」
そういって剛志は改めて自身のゴーレムたちを見わたした。すべてミニが取れているため全長2.5mほどの体躯をしたゴーレムたちが約50体、目の前に広がっているのだ。
これが自分の部下だと思うと一気に心強く感じる。一体一体の強さはこの階層で言うとまだまだだと思うのだが、ここに来るまでに連携もより取れるようになってきており、まだまだ伸びしろはあると感じている。
「でもここまでかなり大変だったし、この先どうしようかな。とりあえず今日中に地下20階層への転移陣の登録を済ますためにもボス部屋は行きたいけど、サンドゴーレムをストーンゴーレムにするのにも、ウッドゴーレムを上位のゴーレムにするのにも、MPがいくらあっても足りないな。それにまだ作っていないマジックハンドゴーレムもいるし、そのうちストーンゴーレムも上位にしていく必要もある。俺の優位性は数で押せるところなのに、このままじゃMPが足りなくて数をこれから増やしていけないぞ」
ずっと一人でダンジョンに潜っているせいなのか、心なしか独り言も長くなっている剛志だが、MPの問題は確かに重要だ。この問題は何らかの方法で解決しないといけないだろう。まあ気長に時間をかければいいというものでもあるが、剛志の気持ちとしては早く強くなっていきたいという気持ちが強いのだろう。
そんな悩みの尽きない剛志だが、現状の戦力は十分といってもいいほど育っているので、地下19階層へ降りても問題なく戦えている。
さすがにこのダンジョンの中にいるのも飽きてきていたので、この階層はしっかりと探索をしないで最速でボス部屋を探すことにした。
ゴーレムたちをチームに分けるとどうしても戦闘の時間が長くなってしまうため、この階層では一塊になりゴーレムの雪崩で一気にストーンゴーレムを蹴散らしている。
剛志のゴーレムたちの中にストーンゴーレムが埋まったと思うとすぐに煙に代わりドロップアイテムを落とすさまは、かなりすっきりする光景だった。
ずっとダンジョン内にいてストレスの溜まっていた剛志のストレス解消にもなっていたのだろうが、行く手を遮る魔物たちはなすすべなく消え去っていく。そんな探索を続けること1時間。ついに地下19階層のボス部屋を見つけることができた。
それまでの探索で剛志はレベルも上がっており、ストーンゴーレムの数も一体ふえている。
職業:ゴーレム使い
スキル:所持制限無視・マルチタスク
職業スキル:ゴーレム作成・ゴーレム再作成・支援魔法【ゴーレム】・ゴーレム強化・ゴーレム異空庫
レベル:29(1up)
HP:63/63(2up)
MP:30/215(10up)
攻撃力:52(2up)
防御力:68(2up)
器用:139(3up)
速さ:65(2up)
魔法攻撃力:128(5up)
魔法防御力:150(7up)
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所持ゴーレム数
ストーンゴーレム×2
サンドゴーレム×28
ウッドゴーレム×18
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「よし、ついたな!。さすがに強行軍すぎたしここで10分ぐらい休もうか。ちょうどMPも30あるし、支援魔法使うから皆サークルの中に入ってくれ」
そういって剛志はここまでに覚えていた支援魔法の【プロテクトサークル】【スピードアップサークル】【パワーアップサークル】をそれぞれ10MPを消費し発動した。
そうしてボス部屋の前に三つの魔法陣が出現し、そこに入ったゴーレムたちがどんどん強化される。
それぞれの支援魔法の効果は防御力+5、速度+5、攻撃力+5と微々たるものだが、その数が50体にも及べば全体でのUP量はそれなりの量になる。
そうして、ゴーレムたちの強化が終わったころに剛志は立ち上がり、ボス部屋に向かって進んでいくのだった。




