第33話 戦闘経験って大事
二日間限定でスタートダッシュということで一日10話更新。二日目です。
更新時間は12時・13時・14時・15時・16時・17時・18時・19時・20時・21時の一時間ごとになります。
楽しんでいただけますと幸いです。
早く次のゴーレムを知りたいと思った剛志は、それからどんどん探索に力を入れていき、GW三日目のお昼過ぎには地下18階まで到達しており、レベルも20になった。
レベルが20になった際には、今までゴーレムの上限数がたまに増えるだけだったスキルに新しい変化が起きた。支援魔法【ゴーレム】に新しい魔法が追加されたのだ。
その魔法の名前は【プロテクトサークル】。使用MPは【プロテクト】の5倍の10MPもする。しかしその効果は魔法陣を出現させ、その上に3秒以上乗ったゴーレムに【プロテクト】と同じ効果を与えるというものだ。魔法陣の大きさも直径で10mほどあり、出現時間は10分になるので、この魔法なら剛志でも使い道がありそうだ。
まだ効果のみで実際には使っていないが、ボス戦の前なんかで使うのは手ではないかとワクワクしている。
ちなみに同じゴーレムが6秒乗っていても二重にかかることはないが、別の支援魔法なら重ねがけ出来るようだ。防御力アップの【プロテクト】と速さアップの【スピードアップ】のように。
そんな新しい魔法を覚えた剛志だが、もう一つ嬉しい出来事が起きた。それがついにサンドゴーレムのレベルがMAXになり(今回もMAXは10だった)そのタイミングで新しいゴーレムが作成可能になったのだ。
「おお!やっと新しいゴーレムが作れるな!いや意外にも長くかかってしまったけど、頑張ったかいがあった。早速使うか!ゴーレム再作成【ストーンゴーレム】!」
そういって、MAXレベルまで強化した一郎をゴーレム再作成でストーンゴーレムにする剛志。材料は今まで倒していたストーンゴーレムが落とす石だったので腐るほどあった。
ゴーレム再作成を使用したところ、一郎と材料の石が一緒に光った。その後お互いに溶けるように一体となり、光が収まるころにはストーンゴーレムの姿になった一郎がそこにあった。
見た目は今まで戦っていたストーンゴーレムそのまま。しかしそれが一郎だということは、魔物とは違ったコミカルな動きで一目瞭然だ。
そしてその一郎と剛志のステータスがこれだ。
名前:一郎
種類:ストーンゴーレム
スキル:体当たり
レベル:0
HP:110/110
MP:0/0
攻撃力:150
防御力:150
器用:50
速さ:80
魔法攻撃力:0
魔法防御力:0
ステータスボード
名前:岩井剛志
職業:ゴーレム使い
スキル:所持制限無視
職業スキル:ゴーレム作成・ゴーレム再作成・支援魔法【ゴーレム】・ゴーレム強化・ゴーレム異空庫
レベル:20(2up)
HP:50/50(2up)
MP:21/130(17up)
攻撃力:40(2up)
防御力:51(4up)
器用:106(7up)
速さ:47(6up)
魔法攻撃力:88(9up)
魔法防御力:102(11up)
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所持ゴーレム数
ストーンゴーレム×1
サンドゴーレム×16
ウッドゴーレム×1
ミニサンドゴーレム×13
ミニウッドゴーレム×17
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自分とストーンゴーレムになった一郎のステータスを確認した剛志は、その上昇っぷりを確認し満足していた。
「いや~こうやって見ると結構強くなった気がするよな。世の中まだまだ上はいると思うけど、一郎のステータスなんか攻撃力と防御力が三桁超えているぞ。サンドゴーレムの時にも強化していく中で三桁には行っていたけど、ストーンゴーレムならベースで超えているって言うことか。こいつらが何体もいればって考えると恐ろしいな」
そういって自身の戦力を再度確認する剛志。直近は一郎のレベル上げを目標にしていたが、まだすべてのミニサンドゴーレムとミニウッドゴーレムをそれぞれサンドゴーレム、ウッドゴーレムに再作成できていない。
このダンジョンも地下18階層にもなってくると、出てくる魔物はストーンゴーレムが最低でも3体以上、多いときは6体の大所帯で現れることもある。無理して進んでいる現状、この階層はちょっと早い気がしているのが正直なところだ。
このまま進んでいくことも可能かもしれないが、ボス部屋を突破できるかわからないし、性格上せっかくなら全部のミニたちのミニを取っ払ってあげたいという気持ちもある。
そのうちミニゴーレムたちは全く戦力にならない可能性も感じだしてきた頃なので、ここらで戦力拡充を図るのがいい気がしてきた。
「よし、決めた!まずはお前らミニたちをミニから卒業させることを目標にレベル上げを進めよう。事前調べだとダンジョンの地下20階層はソロで潜るときの推奨レベルは35って書いてあったし、少なくても今の体感この階層でレベル上げすればかなりのペースでレベルを上げれそうだからな。人も少なくなってきたけどまだ戦力的に分けるのが難しいのがもったいないけれど…」
そうして方針を決めた剛志は、地下18階層でレベル上げを進めることにした。
その後は3~6体で出てくるストーンゴーレムを全員で一気に押し込むことで完封していく作業のようなレベル上げが続く。
ストーンゴーレムが多く出てくるようになったためか、それに合わせてダンジョン内の道幅も広くなってきており、剛志としてもゴーレム軍団を展開して戦いやすいフィールドになってきているのも幸いだった。
ストーンゴーレムはそのフィジカルは強いが、今のところ単調な攻撃しかしてこず、数が居てもあまりこれといった連携をしてこない。そのためサンドゴーレムたちでそれぞれの動きを止めてやれば、後は一方的に攻撃することができた。
またその際に、魔物のストーンゴーレムと剛志が作成したストーンゴーレムの一郎の力に差はあるのかを確認する目的で、ストーンゴーレムを一体だけ残してサシで勝負をさせてみた。
まず一郎が相手のストーンゴーレムの攻撃をかわしたあと、所持している体当たりのスキルを使って思いっきり肩からぶつかる。そうすると相手のストーンゴーレムはしりもちをつくように倒れ、かなりのダメージを負っている様子だ。そこに馬乗りになる形で追い打ちをかける一郎。
シンプルな腕力だとほぼ同じようだが、体の使い方や次の行動に移るまでの判断速度などが魔物と一郎では大きく異なるようで、戦ってみるとあっさり一郎が勝ってしまった。
「なるほどね、魔物のゴーレムは言うならば作られた初期のゴーレムって言うことなんだな。俺の一郎はその点、ミニサンドゴーレムの時からいろんな経験をしているから体の使い方や判断速度に大きな差があるってことだろう。やっぱり戦闘経験って大事だってことだな。」
そう納得する剛志だった。
確かにステータスというものがあるため、力の強さなんかはステータスの大小で決まってしまうことが多い。しかし、このゴーレム同士の戦闘のように力が同じ、もしくは劣っていても戦い方次第でその差は埋めることができる。むしろ戦い方がうまいほうがステータスで劣っていても強いというのが正確だろう。
またこの時剛志は気が付いていなかったが、スキルの差も大きかった。一郎のスキル体当たりは一郎が戦闘経験を積む中で取得した物であり、初期装備ではない。
こういったスキルの有無なども、今後の戦闘には影響を与えていくことだろう。




