第30話 ミステリーボックス
二日間限定でスタートダッシュということで一日10話更新。二日目です。
更新時間は12時・13時・14時・15時・16時・17時・18時・19時・20時・21時の一時間ごとになります。
楽しんでいただけますと幸いです。
翌日、剛志は念願の地下10階層にやってきていた。
「おお、これが地下10階層か、見た目はちょっときれいになった感じかな」
今までの地下1~9階層は、ごつごつとした岩肌の通ろを進むような迷宮になっていたのに対し、地下10階層はタイル張りの通路で気持ち通路の幅も大きくなっているようだ。
おそらくこの階層から出てくるといわれているゴーレムの戦いやすいようなフィールドになっているのだと思うが、戦いやすいのはこちらも同じだ。
「でも、人気なせいか人が多いな。これだとなかなか戦うのも大変だ。」
そういって周りを見わたす剛志。
受付で上白根さん教えてもらったようにこのダンジョンは地下10階層からはゴーレムが魔物として出てくる。そして、そのゴーレムが落とすドロップアイテムが重たくて一度に回収できる量が少ないが、割とお金になるため探索者たちに人気の階層になっているのだ。
「うーん、せっかくこの階層に来たのはいいけど、このままだとあまり魔物と戦えないな。もう少し階層を潜って自分のレベルでも探索できるところでより効率のいい場所を探すか...」
そういって、歩き出した剛志。今は階段近くの安全地帯なのだが、ここで大量のゴーレムを出してしまうと目立ってしまうため、人目がなくなる辺りまで進んでからゴーレムを展開する剛志。その際、回復していたMPでミニサンドゴーレムの三郎をサンドゴーレムに再作成するのを忘れない。
ステータスボード
名前:岩井剛志
職業:ゴーレム使い
スキル:所持制限無視
職業スキル:ゴーレム作成・ゴーレム再作成・支援魔法【ゴーレム】・ゴーレム強化
レベル:10
HP:34/34
MP:20/60
攻撃力:27
防御力:33
器用:59
速さ:29
魔法攻撃力:40
魔法防御力:45
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所持ゴーレム数
サンドゴーレム×3
ミニサンドゴーレム×27
ミニウッドゴーレム×18
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昨日のボス戦や、自身のレベルにしては深い階層で戦っているため、そろそろ次のレベルアップが来るのではないかと思っている剛志だが、レベルアップのためにはどんどん魔物と戦う必要がある。そのためまずはこの階層で出てくるゴーレムと戦ってみたい剛志だった。
そうして少し進むと、奥の方にゴーレムがいるのが見えた。ゴーレムは直立不動で微動だにしていなかったが、剛志たちが近づくことで感知したのか動き出した。
見た目はサンドゴーレムとほとんど変わらないシルエット、そして材質は砂よりも固そうな石だ。名前を付けるとしたらおそらくストーンゴーレムだろう。
明らかな格上の魔物に、大丈夫か?と心配になった剛志だったが、相手は一体。こちらは全部で50体の軍隊だ。数の差で何とかなるだろうと足を進める。
サンドゴーレムたちを先頭に、ボス戦の時と同じように列になって進むゴーレムたち。ボス戦の時と違うのは横幅が狭いため、取り囲むのではなく通路を埋めるように進んでいるところだろう。
そうしてストーンゴーレムと会敵したゴーレムたち、動きとスピードはストーンゴーレムの方が上みたいだが、こちらは数がいる。一体のストーンゴーレムをゴーレムたちの波が飲み込むように囲い込み、四方八方からボコボコという表現が正しいような感じでいたぶる剛志のゴーレムたち。
その勢いに勝てずにストーンゴーレムはしばらくして煙になりきえ、ドロップアイテムを残した。そのアイテムをゴーレムたちが持ってきてくれたので確認すると、それは重さ十キロほどの長方形の石だった。
確かに重たいが、剛志はアイテムボックスと所持制限無視のスキルのお陰で、苦労なく回収できる。なのでそのドロップアイテムを回収し、より深い階層めざし歩き出す。
次の魔物と出会うまでの間に、今回の戦いでのゴーレムたちの負傷度合いを確認した剛志だったが、直接ストーンゴーレムと組みあっていた一体のサンドゴーレムのHPが削れているのが分かった。
さすがに格上の攻撃はダメージが通ることを確認した剛志は、そのダメージ負っていたゴーレムを再作成で回復させた。これからはしっかりとダメージ管理もしていかないとなと思う剛志であった。
その後、ちらほらと出会う別の探索者たちに、新手のゴーレムの魔物かと攻撃されそうになること数回、そのたびにゴーレムたちをアイテムボックスに回収して見せ、問題ないことをアピールしなくてはいけない剛志は、よりほかの探索者がいない階層を目指してどんどん潜っていくことになった。
そうして、昼頃になって剛志が地下15階層までたどり着くと、段々と探索者の数も減っていき、のびのびとダンジョン探索でドロップアイテムの回収とレベル上げをできるようになった。そのため剛志は、一度ここで腰を据えて自身のレベルアップを行うことにする。そう決意し、一度自分の状況を確認し計画を立てようと思った。
今の剛志のステータスはこうだ。
ステータスボード
名前:岩井剛志
職業:ゴーレム使い
スキル:所持制限無視
職業スキル:ゴーレム作成・ゴーレム再作成・支援魔法【ゴーレム】・ゴーレム強化
レベル:12(2up)
HP:37/37(3up)
MP:36/72(12up)
攻撃力:30(3up)
防御力:36(3up)
器用:68(9up)
速さ:31(2up)
魔法攻撃力:49(9up)
魔法防御力:56(11up)
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所持ゴーレム数
サンドゴーレム×5
ミニサンドゴーレム×25
ミニウッドゴーレム×18
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レベルもすでに2つ上がっており順調に成長はしているのだが、スキルで言えばゴーレムの上限数が増えただけで、ほかには何も新しいスキルなどは取得できなかった。そのため剛志的には何もスキルは増えていないということだ。
一応レベルアップの際のMP回復を利用してさらに二体のサンドゴーレムを再作成しているが、戦力アップはその程度だろう。
そして今剛志がいる地下15階層は、魔物としてストーンゴーレムが1~3体現れるという階層になっており、まだまだゴーレムたちで戦えるが、3体現れるとこちらの損害もそれなりにあるためその都度MPを消費しゴーレム再作成で回復させる必要がある。
そろそろこれ以上深くは危険だなと感じていたのもあり、探索者はほとんど会わなくなったのでここらでまたレベル上げを頑張ろうと思った剛志なのであった。
しかし、まだ戦力を分散させるのは怖いと判断した剛志は、取り合えずはこの階層で一チームでのレベル上げをすることにし、ある程度戦力が育ったらチームを分けるという方針でレベル上げを再開することにする。
そうしてしばらく魔物を狩って戦っていると、ゴーレムがあるものを見つけ持ってきた。
それは宝箱だった。そうダンジョンにまれに出現する宝箱、いわゆるミステリーボックスだった。
「おお、これってミステリーボックスじゃん。今倒したストーンゴーレムがドロップしたのか。運いいな、これって結構確率低いはずだから、嬉しいね。どんなものが入っているんだろう。早速開けるよ」
そう持ってきてくれたゴーレムに話しかけた剛志は、そのままミステリーボックスを開封した。
開けた箱の中に入っていたものは、MPポーションのようだ。見た目は店で確認したことがあるダンジョン産のMPポーションだったので、それの中身がすぐにわかった。
「おお、ダンジョン産のMPポーションだ。これって店売りだと一個3万くらいするから、かなりお得だね!低層階でもミステリーボックスはそれなりに良いものが手に入るし、MPポーションはいくらあっても困らないから割といいものを引いたかも!」
そういって喜ぶ剛志に、ミステリーボックスを運んできたゴーレムが誇らしそうに胸を張っている。それに対しありがとうとお礼を言う剛志。
剛志のGWダンジョン探索の二日目はこうして進んでいく。
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ミステリーボックス
ダンジョン内で、魔物を倒した際に低確率でドロップアイテムの代わりにドロップする宝箱の名称。その確率は約0.05%ほどだと言われている。
ミステリーボックスから出てくるのは基本的にマジックアイテムと言われるアイテムで、何らかの効果を持っていることが多い。その中でもポーション類は一番王道だろう。
また、ミステリーボックスの中身はそれがドロップした階層によって変わり、より深い階層で落ちるミステリーボックスの方が、中に入っているアイテムが良いものになる。
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