第27話 ダンジョン探索に対する考えの変化
二日間限定でスタートダッシュということで一日10話更新。二日目です。
更新時間は12時・13時・14時・15時・16時・17時・18時・19時・20時・21時の一時間ごとになります。
楽しんでいただけますと幸いです。
前回の輪島との苦い一件を経験した剛志は、ダンジョン探索に対する自分の考えを改めて考え直した。
これまでのダンジョン探索では、自身のスキルと職業の相性がいいというただのラッキーだけで、特に困ることもなく順調に探索を続けていて、今はまだ先行投資が大きく赤字だがこれから回収する見込みが立っていた。
そのため、ただ楽しいという理由だけで、ダンジョンに潜り、ゲームでレベル上げをする感覚でダンジョンを進んでいた。
ゴーレム使いという職業のせいで自分は戦闘に参加しないこともその意識の弱さに拍車をかけていたのかもしれない。
そんな中いきなりのイレギュラーエンカウントとの出会いと、その後の輪島という敵対的な探索者との出会いを経験し、自分が行っているダンジョン探索は命の危険と隣同士であるということを再認識した。
剛志は本来所持制限無視という☆5のレアスキルを保持し、それを生かしてただの運搬屋として支部からの依頼だけをこなしていけば、額は少ないかもしれないが安全にお金を稼ぐことができる。
当初の目的は副業だったので、それで問題ないはずなのだ。
なのに命の危険を冒してでもダンジョンに潜るのはなぜなのか、もう潜るのはやめてただの運搬屋に徹した方が良いのではないか。
そんな事を考えなおした剛志だったが、一週間普段通り本職の仕事をしていた剛志の姿は週末の土曜日またダンジョンにあった。
結局のところダンジョン探索が楽しかったのだ。
お金が稼げるのも嬉しいが、自身のレベルが上がってやれることが増えていくことも楽しかったし、何よりまだ若い田中達というパーティーに出会い、彼らを救うことができたこと、それが剛志にとってやりがいを感じる出来事だったのだ。
この一週間、剛志の頭にあったのは輪島に絡まれたときに自分にもっと実力があったら、輪島なんか目じゃないほどの強さがあればあの時の選択は別になったのではないか、そういう後悔だった。
決して命の危険を冒していることに対する後悔ではなく、自身の実力が足らない悔しさが剛志を占めていたのだ。
そのため剛志はお金稼ぎで副業としてダンジョンに来ているという目的とは別に、自身が強くなるということも目標に追加し、より一層ダンジョン探索を頑張ることにしたのだ。
幸いなことに世間ではゴールデンウイークに突入し、剛志も次の月曜から金まで休みなので、土日を合わせて9連休に突入した。
剛志はこの9連休で一気にダンジョンを進み、自身の大幅レベルアップを目指そうと思っている。
そんな連休初日、剛志はダンジョンに来てまずアイテムを買うことにした。
今まで買ってこなかったが、今回は長く中に潜るつもりのため食料と回復系のアイテムを探しているのだ。
それにゴーレムたちの武器も探したいところだが、一体一体に与えるといくらお金があっても足りないのでそれはまた今度になるかもしれない。
そんな事を考えながらアイテムショップを回り、結局水と食料、そしてポーション系のアイテムを購入した剛志は、ダンジョンに潜っていった。
自身の周りにゴーレムを展開しながら進み、目的地である地下五階層に到着した剛志はより深い階層を目指して進むことにした。
「まず目標は、いち早く地下10階層に行くことだな。そうすれば転移魔法陣が使えるようになるし、利益率の高いゴーレムたちを相手に戦える。戦力で言うと集まればゴブリンコマンダー含むゴブリンのパーティーに今の状態でも戦えることが分かったし、いったんはゴーレムたちをばらけさせないで、集団戦を意識して進もう。それにここから先は割と人の多い階層だから、ゴーレムたちをばらけさせてもほかの探索者とかち合う可能性が高いって上白根さんに聞いたしな。」
そういって、地下五階層の安全地帯を抜けた剛志は自身の周りにゴーレムたちを出しながら、前回の探索で新たに手に入れたスキルを使ってみることにした。
ステータスボード
名前:岩井剛志
職業:ゴーレム使い
スキル:所持制限無視
職業スキル:ゴーレム作成・ゴーレム再作成・支援魔法【ゴーレム】・ゴーレム強化
レベル:10
HP:34/34
MP:60/60
攻撃力:27
防御力:33
器用:59
速さ:29
魔法攻撃力:40
魔法防御力:45
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所持ゴーレム数
ミニサンドゴーレム×30
ミニウッドゴーレム×18
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ゴーレム強化
効果:MPや材料を消費して、自身のゴーレムを強化することができる。
強化できる項目は使用スキルや元のゴーレムによって制限がある。
現在強化可能な項目【レベルアップ:レベル×作成時のMPの1割】
使いたいスキルは、ゴーレム強化だ。今まで上がることのなかったゴーレムたちのレベルを上げ、強化することができる。
一旦集団戦を強化していく予定の剛志は、これ以上ゴーレムたちを増やしても一度に展開できる数に限りがある。そのためしばらくはゴーレムたちの強化を優先し、新しく作成するのは控えようと思っていたところだ。
「取り合えずゴーレムを強化してみたいけど、制限があるって書いてあるし、一旦どこまで強化できるか確かめることにするか。まずはお前からだ一郎。」
そういって剛志はミニサンドゴーレムの一郎を近くに呼び、ゴーレム強化を使った。
「【ゴーレム強化】」
そうして、ゴーレム強化を今できるところまで進めた、その結果がこれだ。
名前:一郎
種類:ミニサンドゴーレム
スキル:体当たり
レベル:10(MAX)
HP:42/42(30up)
MP:0/0
攻撃力:60(40up)
防御力:60(40up)
器用:13(10up)
速さ:13(10up)
魔法攻撃力:0
魔法防御力:0
ミニサンドゴーレムのレベルのMAXが10で10までレベルを上げることができた。
またミニサンドゴーレムをMAXレベルまで上げた際に、いつものレベルアップのような感覚とともに、頭の中に言葉が浮かび上がった。
「【ミニサンドゴーレムのレベルがMAXになり、自身のレベルも条件を満たしていることが確認できました。ゴーレム作成、再作成に新しくサンドゴーレムが加わります。】」
その言葉を聞き、新しいゴーレムを作れるようになったことで嬉しくなった剛志はさっそく自身のステータスを見てみるのだった。




