第21話 ゴブリンリーダー
今日と明日の二日間限定でスタートダッシュということで一日10話更新いたします。
更新時間は12時・13時・14時・15時・16時・17時・18時・19時・20時・21時の一時間ごとになります。
楽しんでいただけますと幸いです。
地上に出て、ダンジョン支部に向かいいつものようにDTMにダンジョンカードを刺して予約を完了した剛志。
その後あまり待たずに上白根さんがやってきたので、いつものように買取をお願いした。
「今日もすごい量ですね。末端魔石が全部で55kg、現在のレートは一キロ当たり1000円の買取なので、全部で5万5千円になります。そういえば、レベル上げの件はいかがでしょうか?」
「ああ、おかげさまであれから私も調べまして、生配信でモニタリングしたところ問題なく経験値が入ってくるようになりました。これ一応アカウントです。ほんとにただ確認用に配信しているだけなので、面白くはないと思いますが一応確認できるようにはなっていますのでもしよかったら」
そういって自身のDtubeのチャンネルを教える剛志。
それを受け取り、少し思案顔になった上白根さんだが、特に何も言われなかった。
その流れで今日起きた出来事を伝えてみる剛志、
「ああ、あと今日のことなのですが、私のゴーレムがほかの探索者の方と鉢合わせてしまい、一触即発になったんですよね。今回は私が駆け付け説明することで何とかなったんですが、今後そういったことも気にしないといけないなと思いまして…」
そういうと、物知り顔でうなずく上白根さん。
「やはりそうなりましたか。はじめ剛志様からレベル上げの方法をお聞きした際にその点は気がかりでした。しかし私も考えてはみたのですが特にこれといった解決策はないという回答になってしまいます。上げられる案としては、各ゴーレムに何らかのマークを施し野生の魔物ではないことをアピールすること、そもそもほかの探索者がいないところでレベル上げを行う。などがあげられますが、どれもその場しのぎです。取り合えず気を付けてくださいとしか言いようがありませんね」
と言われた。
その内容に確かにと思った剛志は、取り敢えずゴーレムにマークは書いておこうと思いいたり、その日の帰りにショップにより使い捨てのアイテムであるペイントシールというものを大量に買い、帰宅した。
翌日、剛志はダンジョンの地下5階層にやってきた。
昨日買ったペイントシールでどのようなマークをどのあたりに張り付けるかなど考えたが、あまり目立ちすぎるとダサいというのもあり、取り敢えず妥協策としてそれぞれの右肩に剛志の苗字である岩井から連想しごつごつとした岩のようなデザインを張り付け、左肩にそれぞれ名前を張り付けることにした。
ペイントシールというアイテムは、使用者が頭に思い浮かんだ内容の文字や記号を対象の個所に張り付けることができるというだけのアイテムであり、何も効果は発生しないが簡単にマークなどを付けることができた。
これも経費としては少し痛いが仕方がないだろう。そんなことを思いながら剛志は地下五階層を探索し始めた。
まずはいつものようにその階層で戦うことが可能なのかの確認をする剛志、いつものチームということでミニサンドゴーレム5体にミニウッドゴーレム2体のチームを先行させ進んでいくと、奥の方から魔物の声が聞こえてきた。
奥からやってきたのはゴブリンだ。その数4体。しかもそのうち一体はゴブリンの上位種のゴブリンリーダーだ。
そう、この階層ではゴブリンたちがリーダーの指示のもと連携をとって戦ってくるのだ。
そのため、難易度が地下五階層から一気に上がり、例年死者が出だすのはこの階層からだといわれている。
そのようなことを思い出しながら、ゴーレムたちが戦うのを見る剛志。
まず動き出したのは相手のゴブリンたちだ。
最後尾にゴブリンリーダーが位置し、腕を上げながら何やらゴブリンたちに指示を出している。その指示を受けたゴブリンたちがミニサンドゴーレムの一郎のもとに一斉にやってきて、それぞれ別の個所めがけてパンチを繰り出した。
頭、胴体、足と別々の場所を攻撃された一郎はいつものように腕を前でクロスしガードしようとするのだが、頭と胴体はガードできたが足は思いっきり蹴りを食らい転ばされてしまった。
しかし、こちらはシンプルに数で勝っているので、倒された一郎の横にいたミニサンドゴーレムたちが一斉に襲い掛かる
そして倒れた一郎に追撃をくらわそうとしていたゴブリンたちを左右から挟み込む形で攻撃し、しばらくしてゴブリンたちはドロップアイテムを残し消えた。
そうなると残りはゴブリンリーダーだけである。ゴブリンリーダーはゴブリンよりもステータスが高く、作戦を考えられる程度には知能も高いが、一人になってしまえばそこまで脅威ではない。
こちらも殴り掛かってくるゴブリンリーダーに対し圧倒的な数の暴力でぼこぼこにして、無事倒すことができた。
「何とかなりそうだな。でも一郎が倒されるとこなんて初めて見たな。ここからは慎重にならないといけないかもしれない。ミニウッドゴーレムたちもカメラと回収係だけじゃなく、投石係はしっかりと援護射撃ができるよう頑張ってくれ!」
そういってゴーレムたちに檄を飛ばし、その日の地下五階層での探索はスタートするのだった。あんなことに巻き込まれるとはつゆ知らず…




