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ゴーレムの可能性は無限大 〜副業で探索者になったら職業とスキルの組み合わせが良過ぎたみたいです〜  作者: 伝説の孫の手
剛志強化プロジェクト

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第150話 組合内での話し合い

宮本姉妹とイチロイドが部屋を出ていくのを見送った町田所長。

またしても大きな案件を持ってきたなという思いから、ため息をついた町田所長だったが、息を吐き切ったところで気合を入れ直した。


「全く、剛志君は話題に事欠かないね。……でも、今回の件は組合としてもメリットが大きいし、剛志君への恩返しにもなるなら悪い話じゃない。――いっちょ頑張ってみますか!」


そう言って勢いよく立ち上がった町田所長は、さっそく父親である町田龍之介――現組合長に今回の話を伝えるべく移動を開始した。


そして、組合長のいる新宿ダンジョンに移動し、すぐに面会へと向かう。通された部屋には、組合長の龍之介と、その秘書である虎之介、そして副組合長の藤堂 正樹(とうどう まさき)がいた。


藤堂は龍之介の弟子的立場にあり、どんな時でも冷静に物事を進める性格の持ち主だ。力業で物事を進めがちな龍之介の後始末をすることも多く、似たような立場の虎之介とは仲が良い。


「おお、桃花。話があるって聞いたが、どんな内容だ? また剛志君関係か?」


「剛志君って、あのゴーレム使いの岩井剛志ですか? ダンジョンの壁を作ってくれた」


組合長の言葉に対し、自分の認識を確認するように質問する藤堂。その問いに、桃花が頷きながら答える。


「ええ、その岩井剛志の話です。藤堂さんもいらっしゃったんですね。ちょうどよかった。」


「藤堂さんがいてよかったってことは……結構大きな話かな? 彼はまた、どんなことをやらかしてくれたんだい?」


妹の発言を聞き、軽く冗談を交えながら尋ねる虎之介。

剛志の存在は、最近では常に話題の中心であり、その多くが突拍子もない大事に発展するため、ある意味“トラブルメーカー”としても認識されていた。


「そうね、この前話題に上がっていた人工知能ゴーレムの件よ。実際にさっき会話したんだけど、本当に人工知能なのか疑うくらい、自然に会話ができたわ。――で、ここからが本題なんだけど、その人工知能ゴーレムが自身の分体をいくらでも作れるようで、その分体たちを組合で使ってくれないか、って提案をしてきたの。今日はその話を持ってきたのよ。」


そう説明する桃花。だが三人の反応はまちまちで、人工知能というものの概念を理解している虎之介と藤堂はある程度察しているようだったが、その辺に疎い龍之介は首をかしげている。


そこで桃花は、先ほどイチロイドと交わした会話の内容を詳しく説明し、イチロイド側の目的や組合側にとってのメリット・デメリットなど、ひとつひとつ整理して話した。


小一時間ほどのやり取りの末、龍之介を含め全員が今回の案件を正確に理解した。

そのうえで、龍之介が全体をまとめるように話し出す。


「結局のところ、剛志君の作った人工知能ゴーレム――イチロイドが、自身の学習のために我々のもとで働きたい、という話だな。

向こうのメリットはイチロイドの成長、デメリットはせいぜい作成コストくらい。つまり実質的にノーリスク。

こちらのメリットは、安価な労働力を得られることと、剛志君への恩返しができること。

逆にデメリットとしては、剛志君があくまで一探索者である以上、情報漏洩のリスクがある――と。

……だったら、基本的には受け入れる方向でいいと思うが、どうだ?」


その発言に、藤堂がすぐに続いた。


「確かに、組合長の言う通りで、受け入れ方針には賛成です。まずは“お試し期間”という話ですしね。

ただ一つ懸念があるとすれば、こちらが剛志さんのゴーレムに依存してしまうリスクです。

このような革命的発明は、いずれ他の手段を圧倒し、その技術に依存するようになりがちです。

そうなれば、組織運営が一個人の力に左右されかねません。それだけは避ける必要があります。」


藤堂の指摘はもっともだった。

イチロイドの能力があまりに便利であれば、使用頻度は確実に増える。

そうなれば、いずれイチロイドなしでは組織が回らなくなる危険もある。


剛志個人がそうなる分には問題ないが、ダンジョン組合のような巨大組織が、一個人の技術力に依存するのは健全とは言えない。

そうしたリスクも踏まえたうえでの運営が求められる。


その意見を受け、虎之介も真剣な表情で口を開いた。


「確かに藤堂さんの言う通りだ。機密保持については契約でカバーできるとしても、“岩井剛志という個人”に依存した運営になるのは大きなリスクだね。

……桃花、確か剛志君のイチロイド開発には、君の知人の東雲教授が関わっていたよな?

教授に今回の件を踏まえて、アドバイザーとして協力してもらうことはできないか?

実際に運用を始めた場合、どう扱うのが適切か、我々だけでは判断しきれない部分も多い。」


「そうね、分かったわ。紫苑には私から話しておく。それにしても――剛志君はどこまで行くのかしらね。

普通、探索者はどれだけ強くても“個人”の範疇を超えないもの。でも彼は、戦闘だけでなく生産や支援面でも社会に貢献できる。

ある意味では、最も“力を持つ探索者”になりつつあるわ。」


桃花の言葉に、三人は静かにうなずいた。

そしてその流れに合わせるように、龍之介が改めて語る。


「確かに、桃花の言う通りだ。彼の存在はもはや常識の枠を超えている。

だが、前回の鮫島の件で私が見た岩井剛志という男は――どこまでもお人好しで優しく、

それでいてピンチの時には自ら矢面に立つ“本物の探索者”だった。

そして、ダンジョンに潜り、その力を社会のために使ってくれるすべての探索者は、我々探索者組合が守るべき存在だ。

私たちも、剛志君に守られるだけではなく、守る側としても成長していかねばならん。」


探索者を守るために組合長を務める龍之介ならではの発言だ。

そんな彼を心から慕う三人は、力強くうなずき、気持ちを新たにした。


こうして、まだ正式な決定こそ下りてはいないものの、

基本方針としては剛志の提案を「受け入れる方向」で一致することになった。


ここから、三人はそれぞれ調整と準備に動き出すのだった。

本作品を楽しんで頂きありがとうございます。

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