表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゴーレムの可能性は無限大 〜副業で探索者になったら職業とスキルの組み合わせが良過ぎたみたいです〜  作者: 伝説の孫の手
剛志強化プロジェクト

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

149/186

第148話 明るい未来と暗い未来

モンスタードームの試運転を終え、地上に戻ってきた剛志たち。いろいろ問題点はあったが、かなり効率的にできるということが分かった。また操作自体もイチロイドの分体が操っているので、細かい設定がいらないというのも良いポイントだ。現に、戻ってくる前に旧モンスタードームは、今回見つかった改善点をもとに修正を加え、今もなお魔物を集めているはずだ。


「臼杵。今回の成功って、実はかなり画期的なんじゃないかな? 一気にレベル上げがはかどりそうだよ」


「ああ、そうだな。俺も今までの蓄積分はあったにせよ久しぶりのレベルアップだし、この方法は正直かなりやばい。パワーレベリングの常識が覆りそうだ。少しずるい気もするが、今はA.B.Y.S.S.の連中との戦争中でもあるし、剛志が強くなるに越したことはないからな」


そんなやり取りをしていると、向こうの方から、すでに探索を終えていた宮本姉妹が近づいてきた。


「剛志、健司。お疲れ様。今日の探索はどうだった?」


「宮本さん、お疲れ様。今日の探索は色々改善点が見つかったにせよ、成功ってところかな? そっちはどうだった? 俺のゴーレムたちは役に立った?」


万葉の問いに返事を返す剛志。それに対し、万葉は普段あまり見せない優しい表情で答えた。


「ええ、とっても助かったわ。それにイチちゃんもありがとうね。今日で桃花のレベルも結構上がって、今ではダンジョン内だけだけど、自分の力で問題なく動けるようになったわ」


「はい。剛志さん、イチロイドちゃん。ありがとうございます。感謝してもしきれません」


そう言って深々と頭を下げる宮本姉妹。百花の声色から、若干泣いていることが分かり、それほど自分で動けるようになったのが嬉しかったのだろうと察する剛志と臼杵。剛志も、いつもならすぐに「頭を上げてよ」と言って制止するのだが、彼女たちの気持ちを考え、少し落ち着くまでは待つことにした。


時間にするとほんの数秒だが、気持ちを落ち着かせるための大事な数秒を経たのち、顔を上げた宮本姉妹は若干目が潤んでいたが、それでも満面の笑みだった。


「剛志、本当にありがとう。臼杵もありがとう。本当に返し切れない恩をもらったわね。だからこれからは日本最強の剣士の私が、あなたたちのチームメンバーとして活躍してあげる。覚悟しなさいよ!」


照れ隠しなのか、そんなセリフを言い放った万葉。心なしか頬が赤いのは、慣れない言い回しをしたせいで恥ずかしくなっているからだろうか。


しかし、そこに対しては突っ込まず、乗ってあげる剛志たち。


「確かにな! これで俺たちも敵なしだぜ。A.B.Y.S.S.の連中が来たって、へっちゃらだ」


「そうだね、宮本さんがいたら百人力だ」


百花の病気という心配事が解消する見込みが生まれた万葉に、恐れはもうない。今までがむしゃらにやってきたダンジョン探索だが、これからは家族と仲間のために戦う。そんな日々が彼女にとって、どれだけ嬉しいことか。


そんな万葉が、剛志にある指摘をした。


「剛志。そろそろ宮本さんって言うのやめない? 百花も宮本だし、ややこしいわ。健司も万葉って呼んでるんだし、剛志もそう呼んでよ」


「確かに、言われてみれば。宮本さんは初めから宮本さんだったからあまり意識してなかったよ。でも百花ちゃんも宮本だしね。分かった、これからは万葉って呼ぶよ」


「ええ、そうして頂戴。なんだか他人行儀すぎて気になってたのよね」


「え、そうなの? ごめん、気づかなかった」


剛志と万葉のやり取りで、剛志の万葉に対する呼び名が変わった。


実際問題、呼び名というものは通じればいいというものでもない。人間関係を構築するうえで、意外と大事な要素になる。これは誰もが経験から理解していることだと思う。


ただ、初めに呼んでいた呼び名を変えるというのはなかなか難しく、気がついたら変わっている場合もあるが、そうでない場合はどこかで自分の意思で変えないと一生変わらない。しかし気にする人は、そこを気にするのだ。その点、万葉がある時から剛志たちの呼び方を変えたりしていたので、そういった部分を気にするタイプだったのだろう。


まあ、少し話がそれたが、これで万葉にとって過ごしやすくなったのなら、それはいいことだろう。


そんな他愛もない会話をしながら、現状報告をしあった剛志たち。そこで臼杵が、今後どうするか改めて聞いてきた。


「俺と剛志は、明日以降も今のままモンスタードームを作ってレベル上げや素材回収をしつつ、深層を目指していこうと思うけど、万葉ちゃんたちは明日も探索?」


「うーん、本当は一気にレベル上げをしたいと思うんだけど、百花はちょっと前までほぼ寝たきりだったから。明日はダンジョン空間には入るけど、組合とかを案内したり体を慣らすほうに注力しようと考えてるわ」


「確かに、それもそうだな。百花ちゃんも焦らなくていいからな。ゆっくり着実に行こうぜ」


臼杵がそう言うと、百花も元気よく頷きながら答える。


「はい!そうしたいと思います。でも、少しでも早く皆さんの役に立ちたいって気持ちはあるので、もう少し待っててください!せっかくお姉ちゃんや剛志さんのゴーレム、イチロイドちゃんのサポートをもらえてるんですし」


そう決意表明をする百花。彼女の元気な姿と、これからの目標ができたという事実にじんわりきている万葉と、元気をもらっている剛志と臼杵。そんな幸せ空間を作り出せる宮本百花という魅力は、すさまじいものがある。


そんな折、剛志はあることを思い出したので、万葉にお願いすることにした。


「あ、万葉。せっかくだし明日ひとつお願いしてもいい? 組合を百花ちゃんに紹介するならさ、町田所長に伝言を伝えてほしいんだ。イチロイドの現状と、今後組合でイチロイドの分隊をサポート用ゴーレムとして派遣させてくれないかって。朝言っていた内容だけど、やっぱ話すなら町田所長を通してだと思うし。明日もイチロイドの分体はつけるから、詳しい話はそっちから話せると思う」


「ええ、分かったわ」


そうして、モンスタードームでのレベル上げ、百花のレベルアップ、イチロイドの学習に向けての方策。三つの目標ができた剛志たちパーティーは、それらの目標を着実にこなしていくのだった。



〜どこかのダンジョン内〜


「ちょっと、いい加減動いてもらっていいですか? あなたが動かないから、せっかく広げたダンジョン空間にすべて壁を作られちゃいましたよ!」


「ああ⁉ そもそもはわしのせいじゃなかろうが。それにわしも自分のやることで手一杯なんじゃ。そんな誰でもできるような仕事、後に回してもよかろうが」


そんなやり取りを繰り広げる二人は、A.B.Y.S.S.のメンバー、|Julia Sterlingジュリア・スターリング藤原 権蔵(ふじわら ごんぞう)だ。


ジュリアはボスの秘書的存在で、権蔵は剛志と同じゴーレム使いであり、バーサーカースキルのスキルホルダーである。


この権蔵だが、三雲が失敗した剛志の殺害に対して、同じゴーレム使いということで興味を示し、「自分が代わりに尻ぬぐいをする」と進言したのだ。


しかし、そうは言ったものの、この男の最優先事項は自分が強くなることであり、それ以外のことへの優先度が低い。そんな性格のため、言ったはいいものの、まだ動いていなかったのだ。


そんな中、剛志がすべての壁を作り終えてしまったという情報を入手したジュリアが、しびれを切らして権蔵に詰め寄ったのが今回の件である。


「それに、壁を作り終わってしまったなら、よりもういつでもいいだろうが。そう焦るな、そいつはわしが殺してやるから」


「だから、それを今すぐやれって言ってるの! この戦闘狂ジジイ! あなたがもたもたしていると、岩井剛志はどんどん強くなって手が付けられなくなってしまうかもしれないのよ! あの男はA.B.Y.S.S.の抹殺リストの中でも、三雲が失敗したことで危険度が上がっているのは知ってるわよね⁉」


「そうやってガミガミ怒鳴るな! 死んだかみさんみたいだなおぬし。そんなんじゃギデオンから愛想つかされるぞ」


そのデリカシーのない発言で、完全にぶち切れたジュリア。すっと表情がなくなり、その代わりにとんでもない覇気を放ちながら、戦闘態勢で何かをつぶやいている。


「You pathetic old relic. I’ll see to it that you never speak another word. Your lifespan ends today.《このくその役にも立たない老いぼれが。今その減らず口を永遠に開けないようにしてやる。お前の寿命もこれまでだ。》」


「お? やるか? 面白い、受けて立つ!」


一触即発の二人。そんな二人の間に一瞬のうちに現れた三雲が、二人をなだめる。


「二人とも落ち着け。ここで殺し合うなら他でやってくれ……。あと、権蔵さん、一つ耳寄りな情報がある。なんでも岩井剛志だが、あんたも持っていないゴーレムのスキルを持っているらしいぜ。どうだい? これで少しはやる気になってくれたかい?」


今にも飛びかかりそうだった二人だが、三雲に出鼻をくじかれ、渋々振り上げた拳を下ろす。そして権蔵は、三雲の話を聞いて剛志に対し興味が湧いてきたようだ。


「なんじゃい、面白くないのう。でも三雲の言ってた情報は面白そうじゃ。わしも持っていないゴーレムのスキルだと? 三雲、それは嘘ではなかろうな?」


「ああ、俺も詳しくは分かっていないが、情報屋からの話だと未知のスキルで、いろんな種類のゴーレムを作っているらしいぜ。あんなに自由にいろいろ作れているってことは、何らかの新規スキルでは、ってことらしい」


「なるほどな。その情報だけだと何とも言えんが、どのみち何らかの方法でゴーレムの種類を増やしているってことか。ま、わしの持っていないスキルかどうかは分からんが、少しは興味が出てきたわい。まったく最近の若いのは、年寄りの人使いが荒くてかなわんわ。ちょっくら行って、さっさと片付けてくるわい」


そう言って、権蔵は歩き出してしまった。その姿を見たジュリアは、どこまでも自分勝手な権蔵に怒り心頭だったが、これ以上は仕方がないと諦め、暴言を吐きながらどこかへ行ってしまった。


なんとか二人の衝突を回避できた三雲だけが、その場に残され、天を見つめている。


三雲の心情は分からないが、一つだけ確かなのは――

またしても剛志に危機が迫っているということだ。


なんともピンチに事欠かない剛志だが、今回もそのピンチを乗り越えられるのか。今回の剛志の強化がうまくいっていたのか、それが鍵を握るだろう。



本作品を楽しんで頂きありがとうございます。

ブックマークや評価、感想、リアクションなどをしていただけますと幸いです。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ