第132話 やってみないと始まらない
何とか人工知能ゴーレムの運用を開始した剛志。今回の最新作は、ゴーレム一時間の経験データを15秒で読み込むことができるようになった。そのゴーレムのステータスを改めて確認しておこう。
【ゴーレム名】:人工知能ゴーレム002
【説明】:ゴーレムコアのみのゴーレムで、他のゴーレムを操ることができる。
【ステータス】
名前:
種類:人工知能ゴーレム002
スキル:【成長】・シミュレーション思考・記憶・通信・指揮・思考加速・並列思考・スピードアップ
レベル:0
HP:10/10
MP:100/100
攻撃力:0
防御力:1
器用:150
速さ:350
魔法攻撃力:100
魔法防御力:100
【必要器用値:3,300】
【消費MP:6,000】
【消費材料:特殊ゴーレムコア【成長】、魔石【MP7,500相当】】
これを見ると分かるように、かなりスキルに特化したゴーレムとなっている。またその姿形は拳大のゴーレムコアのみで、現在は一体のゴーレムに持たせている状態だ。
今回のゴーレムは処理速度こそ向上したが、防御力が壊滅的に低い。実際に前線に出るわけではないとはいえ、これでは落としただけで壊れてしまいかねない。ここも改善すべきポイントだろう。
考え出すときりがないため、まずは実際にゴーレムたちからデータを集め、人工知能ゴーレムを育てていくことにする。
まずは「ゴーレムを操る」という部分を学ばせるため、各ゴーレムたちの動きなどを覚えさせていく。そのため剛志は約3000体のゴーレム(種類はバラバラ)を召喚し、それらの動きを学ばせることにした。
3000ものゴーレムからデータを移行しようとすると、一体につき15秒で、一度に2体まで情報を集めることができるため、すべての情報を集めるには6時間15分かかる計算だ。この段階で、すでに破綻していることが分かるだろう。
つまり、実際に3000体のゴーレムを召喚しても、一時間にデータを取得できるのは480体のみなのだ。しかし、張り切って3000体のゴーレムを召喚した剛志は、意気揚々とゴーレムたちに命令を出す。
「よし、今回は学習が目的だから、まずは模擬戦をしようかな。全部で500チームに分かれてもらって、それぞれのチームで総当たりをしよう。」
そう指示を飛ばす剛志。そこに万葉が待ったをかける。
「剛志。張り切るのは構わないけど、今の性能だとここまでの数を処理しきれないわよ。一時間だと480体しかダウンロードできないんだから。」
そう言われた剛志だったが、今回は落ち着いた様子で答える。
「うん、それはそうなんだけど、せっかくだから一気にやりたいじゃん。それに今回は全部で500体の指揮持ちゴーレムを召喚していて、そいつらにチームの指揮を取らせるから、指揮官からのデータだけならいけるかなって。それでも少し余るけどね。」
と答えた。剛志もさすがに馬鹿ではないようで、しっかりと計算はできていた。ただその上で、ここまで大規模にやりたいという願望があったのだろう。しかも今回作りたい人工知能ゴーレムは、ゴーレムに指示を与えるゴーレムなのだから、指揮持ちのデータを持たせるのは理にかなっている。
こうして、一チーム6体の総勢500組の模擬戦が始まった。手加減をしているため、意外と地味な攻防も多かったが、それでも数が数だけに、かなり迫力のある光景だった。
そんなゴーレムたちを見る剛志に、今度は臼杵が話しかける。
「剛志、そういえばゴーレムってレベル上げられるだろ? ってことは、あの人工知能ゴーレムもレベルを上げられるってことだよな。それを先にした方が効率いいんじゃねーか?」
そう尋ねられた剛志。臼杵の指摘はもっともだったが、今回は理由があるため、それにも答える。
「ああ、そうなんだけどね。今回の人工知能ゴーレムは特殊ゴーレムコアの【成長】を持ってるじゃん。それが問題なんだよね。この【成長】のコアを持たされたゴーレムのレベルの上がり方は、今までのゴーレムと違って魔物を倒すことでレベルアップするようになるんだよ。その代わり上限がなくなったりして、いい部分もあるんだけど、今みたいな戦闘力皆無の人工知能ゴーレムはレベル上げをするのが難しいってことなんだ。今後、ゴーレムを操って戦えるようになったら、その時に初めて経験値がたまるようになるからね。そこまではこの状態で進めないといけないんだよ……」
剛志も同じことを一度考えていたため、臼杵の質問に対し、すらすらと回答した。そうそううまくいかないということなのだろう。
そうこうしているうちに、約一時間の模擬戦が終了した。剛志は指揮持ちゴーレム以外をゴーレム異空庫に収納し、指揮持ちゴーレムたちを集める。
「じゃあ、これからお前らの経験データを人工知能ゴーレムに転送する。じゃあ、人工知能ゴーレム、よろしく」
剛志がそう指示をすると、すぐさま人工知能ゴーレムと近くにいた指揮持ちゴーレム二体が魔力の線でつながった。その後も次々に、指揮持ちゴーレムたちから情報を収集する人工知能ゴーレム。しかし、ここで剛志はあるケアレスミスに気づいた。
「あ、やべ。これだと、ここからさらに一時間時間がかかるね。この間に次の情報も集めないといけないのか。じゃあ、ゴーレムたちを返すのはミスだね。」
そんなケアレスミスをしながらも、ひとまず始まったデータ収集。その後、このデータを元に学習させるフェーズに移行させる。
まぁ、まずはお試しだと考えて、問題点を洗い出していくしかないな。
そう考え、開き直った剛志は、ここからの進め方を東雲教授に聞きに行くのだった。
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