第130話 各種ステータス項目
各種ステータスを特化させた人工知能ゴーレムを作成した剛志。作成したゴーレムたちのステータスはそれぞれこうなった。
人工知能ゴーレム001_a→HP:5,000
人工知能ゴーレム001_b→MP:5,000
人工知能ゴーレム001_c→攻撃力:3,000
人工知能ゴーレム001_d→防御力:4,000
人工知能ゴーレム001_e→器用:2,500
人工知能ゴーレム001_f→速さ:3,000
人工知能ゴーレム001_g→魔法攻撃力:3,000
人工知能ゴーレム001_h→魔法防御力:5,000
正確には、全くの0だと成り立たないステータスもあり、ゴーレムによっては微調整が必要だったが、ひとまずこの値以外は限りなく0に近いゴーレムを作り、送受信速度を確認してみることにする。
「よし! 宮本さんのアドバイス通りに作ってみたゴーレムの性能差を確認していきますか!」
そう意気込む剛志に、横で見ていた臼杵と万葉があきれたように話す。
「まったく、万葉ちゃんのアドバイスを受けてからの動きが速いよな。冷静に考えると、ここまで試行錯誤に向いている人間はいないんじゃないか?」
「確かに、リソースがほぼ無限だからね。魔石さえ集めれば異次元の生産力を持ってるわね。」
そんな会話など露知らず。ノリノリでゴーレムをテストしていた剛志は、テストの結果をまとめていた。
「とりあえず、それぞれに同じゴーレムから通信スキルでデータをダウンロードしてもらったんだけど、これってどう見ればいいんだ?」
同じ条件で実験を行っていた剛志だったが、結果が思ったように出ず、どう解釈すればいいのかわからなくなってしまった。その結果がこちらだ。
人工知能ゴーレム001_a(HP特化)→5分25秒
人工知能ゴーレム001_b(MP特化)→4分10秒
人工知能ゴーレム001_c(攻撃力特化)→5分25秒
人工知能ゴーレム001_d(防御力特化)→5分25秒
人工知能ゴーレム001_e(器用特化)→3分30秒
人工知能ゴーレム001_f(速さ特化)→3分15秒
人工知能ゴーレム001_g(魔法攻撃力特化)→3分40秒
人工知能ゴーレム001_h(魔法防御力特化)→4分10秒
結果としてわかったのは、HP・攻撃力・防御力は全くと言っていいほど関係なかったこと。そして剛志が個人的に一番可能性があると思っていた速度特化も、器用特化に比べて15秒しか改善しなかったという点だった。
「あ、そうだ。元々の人工知能ゴーレム001の時間も測らないと比較にならないじゃん。」
そう思い出して人工知能ゴーレム001の速度を確認したところ、今回は2分50秒と最も早い結果になった。
これにより、またしても判断がつかなくなった剛志。MPと器用の組み合わせのように、特定の組み合わせで効果が強く出るのかもしれない。しかし、今の情報だけでは断定はできない。
そんなふうに悩んでいるところに、東雲教授が戻ってきた。
「岩井剛志君。ある程度、改善に向きそうなスキルを見繕ってきたよ。ゴーレムクリエイトのスキルのポテンシャル的にどこまで組み込めるかはわからないが、これも試してみてくれないか?」
そう提案してきた東雲教授に、剛志は今の状況を説明し、アドバイスを求めることにした。
「東雲教授。今ちょっと詰まっていて、さっき宮本さんのアドバイスで突破口が見えた気がしたんですけど、肝心の分析がうまくいかなくて……。教授的にはどう見えます?」
そう尋ねて、先ほど出たデータを共有する剛志。
データを見ながらぶつぶつと独り言をつぶやいていた東雲教授は、ものの数秒で一つの仮説を思いついたようだった。
「なるほどね、しっかりとデータを取ってくれたのか。私としてはかなり助かるな。これからもよろしく頼む。で、肝心のデータがこれで……ふむふむ……なるほど。岩井剛志君、ここから考えられる一つの仮説がある。次はそれを前提に組み合わせを考えてくれないか?」
そのスピードに驚きながらも、「はい」とうなずく剛志。
「では私の仮説を説明しよう。今回のデータ送受信をわかりやすくWi-Fiにたとえてみよう。やっていることはほぼ同じだから、途中のプロセスが厳密に違っていても、あくまでイメージの話だ。で、本題の仮説だが、今回の速度向上に影響したステータスのうち、関係しているのはやはり器用と速度だと思う。この二つはステータスの中でも基盤を決めるものだからだが、それを中心に考えるとある仮説が立てられる。もし結果が違ったら、また別の仮説を考えるだけさ。」
「その仮説とは、器用がWi-Fiの電波強度、速度がインターネット回線速度に対応しているのではないかというものだ。器用が小さいと電波が弱くて速度が出ない。逆に速度が低ければ回線速度が遅くて、そもそも上限が低い。どうだ? それなりに筋は通ってると思わないか?」
「確かに、腑に落ちます。でもその場合、MP・魔法攻撃力・魔法防御力は何に当たるんですかね?」
「うーん、こじつけるとすれば……MPは電力。魔法攻撃力は電波速度へのブースト、魔法防御力は電波強度へのブースト。まあ後半二つはイメージと合わないから、電力へのブーストやスキル処理速度への補正って考えた方が近いかもしれないな。」
さらりと答える東雲教授に感心する剛志だったが、「イメージと合わない」という部分に引っかかりを覚え、質問する。
「すみません、“イメージに合わない”って、何のイメージですか?」
「ん? ああ、そこも説明しておくべきだったね。“イメージ”ってのは、そもそものステータス項目の持つ意味合いのこと。これらはある程度、研究が進んでいて、通説があるんだよ。」
そう言って説明してくれたステータスの通説は以下の通り。
・HP:外付け的に付与される生命エネルギー。値が0となっても肉体そのものの生命活動は継続するが、ステータスによる加護は失われるため、ダンジョン空間内では実質的な死亡状態と見なされる。
・MP:スキル使用に必要な魔力的エネルギー。値が0となった場合、スキルの発動は不可能となる。ただし意識喪失には直結せず、低下時には魔力回路の過負荷に起因する吐き気・倦怠感などの副次的症状が発生する傾向がある。
・攻撃力:自らの行為が外部対象に及ぼす物理的事象に対し、その結果を増幅する数値。
・防御力:外部から自己に及ぶ物理的事象に対し、その結果を減衰させる数値。
・器用:術者の想起するイメージを物理的・技能的行為に反映する際の再現度を向上させる数値。
・速さ:行動全般に要する時間を短縮する数値。ただしスキル発動に関しては固有法則が存在するため、この値の影響範囲外とされる。
・魔法攻撃力:自らの行為が外部対象に及ぼすスキル的(魔法的)事象に対し、その結果を増幅する数値。
・魔法防御力:外部から自己に及ぶスキル的(魔法的)事象に対し、その結果を減衰させる数値。
この説明を聞き、こんなにも細分化して分析が進んでいるのかと驚いた剛志は、同時にこれを今回のゴーレムに当てはめると、たしかに教授の仮説に近いものがあると感じた。
ひとまず納得した剛志は、東雲教授の仮説のもと、新たなゴーレムの作成に取りかかるのだった。
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