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ゴーレムの可能性は無限大 〜副業で探索者になったら職業とスキルの組み合わせが良過ぎたみたいです〜  作者: 伝説の孫の手
剛志強化プロジェクト

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第121話 騒動を終えて

剛志が気がついたら病院のベッドの上にいた。記憶にあるのは西園寺たちが助けに来てくれたというのが最後だ。おそらくそこで安心感から気絶してしまったのだろうと思った剛志だったが、個室のベッドで誰もいないため少し心配になる。


とりあえず枕元にあるナースコールを押し、やってきた看護師さんに意識が戻ったことを伝えると、そのことを周囲に伝えに行ってくれた。


ほどなくして病室の扉が開かれ、臼杵と万葉が入ってきた。


万葉の姿を見て気になっていた問題が一つ解決したことを悟った剛志。強い安堵感を感じながら話し出す。


「臼杵、それに宮本さん!よかった、とりあえず宮本さんは無事だったんだね!」


そう言い放つ剛志にあきれた様子の臼杵が話し出す。


「お前、第一声がそれかよ。こっちはどんだけ心配したと思ってるんだよ……」


「剛志!あなたどこか調子悪いところは? 大丈夫? 気持ち悪かったりしない?」


あきれた様子の臼杵とは対照的に、いつものつんけんした態度からは考えられないくらいに剛志のことを心配する万葉。それに面食らった剛志は、臼杵に説明を求めた。


「え、どうしたの宮本さん。いつもと様子が違うというか……。臼杵、ちょっと何があったか教えてくれない?」


「……ああ、俺もちょっとびっくりしてたところだ。そうだな、まずお前が気絶してからの出来事をざっくり説明するわ。まず、お前が気絶した後、無事闇の大精霊は日本トップのパーティーによって討伐された。だから被害で言うとお前さんくらいだ。お前はそういうところ気にするからな、まずは安心してくれ。」


「ああ、本当によかった。」


剛志が安心したのを確認した臼杵が続ける。


「でだ。肝心の鮫島だが、正直まだ見つかっていねぇ。あの後、お前の命を狙っていたA.B.Y.S.S.の構成員、名前を三雲っていうらしいが、奴を脱獄させてそのまま逃亡してしまった。でも組合としてはすでに死亡したものと見ている。何らかのトラブルに巻き込まれたという予想だ。」


「え、逃げられて見つけられていないのになんでそんな判断になるんだよ!」


剛志が思わずツッコミを入れると、臼杵は「まあまあ、落ち着け」と剛志のことをなだめ、続きを話し出す。


「なんでそういう判断になったかというと、ここにいる万葉ちゃんが原因だ。彼女以外にも多くの鮫島の契約によって縛られた連中が、その契約から解放されたということが確認されている。これが術者死亡のときの反応そのものだからだ。まあ、まだ自身の死亡を偽装している線が捨てきれないから調査はしているが、ここまでのことをするとデメリットの方が大きすぎるから、まず死んでいるんじゃないかというのが本部の意見だ。」


臼杵の説明を受け、なるほどと納得した剛志は落ち着きを取り戻した。この反応は今までの剛志からすると少し過剰に思えるが、それもあれだけの戦闘による後遺症のようなものなのだろう。剛志は鮫島とそれによる被害に対し敏感になっているのだ。


「まあ、鮫島の被害者が思ったよりも多くてその後処理に手間取っているようだが、そこは俺たちの管轄外だな。まあ、これで万葉ちゃんも解放されたし、百花ちゃんのレベル上げを安全な形で行う方法の模索も始めているところだ。その時は剛志も手伝ってやってくれ」


「ああ、もちろんだよ。元からそのつもりだし。」


そうやって当たり前のように話す臼杵と剛志を見て、万葉は感極まり涙を流した。


いきなり泣いた万葉に驚いた様子の臼杵と剛志。なんだか今日の万葉は様子がおかしい。そう二人の中で認識が一致した瞬間だった。そして、一人きりで泣き、落ち着きを取り戻した万葉が話し出した。


「ごめんなさい。かっこ悪いところを見せてしまったわね。今回の騒動の内容は健司から説明してもらってたの。でも剛志がまだ目を覚まさないし、私どうしたらいいのかってずっと思ってて。妹の百花のことはずっと私の心配事だったのだけど、どうにもならないと半ばあきらめかけていたところだったの。でもその問題の解決もしてくれた挙句、私を助けることが当たり前のように話す二人を見て感情がぐちゃぐちゃになっちゃって。私って愛想がいいわけでもないし、二人にも結構きつく当たったこともあるわ。それに剛志に関しては1週間も目を覚まさないような大けがじゃない。本当になんといっていいやら……」


そう言いながらまたしても涙目になる万葉。そんな万葉に対し臼杵と剛志は別々の内容で驚いていた。


「健司⁉」「一週間⁉」


臼杵は親しい人でもあまり呼ぶ人の少ない下の名前を呼ばれたことで戸惑い、剛志は自身の眠っていた期間が一週間だったということに驚きを隠せなかったのだ。


そんなカオスな現場の空気感を変えるように医者が病室に入ってきて、目覚めた剛志の診断を始めだした。


いろいろと情報量の多いやり取りだったが、話したいことの大枠は話せたようなので、一旦臼杵と万葉は病室を出て、また落ち着いた段階で戻ってくるということになった。


それからいろいろと精密検査などが行われ、ひとしきり振り回された剛志はその日はそのまま眠りについてしまうのだった。


翌日、剛志の病室には臼杵と万葉に加え、町田所長と組合長もやってきていた。


虎之助さんと内木の二名は、二人が抜ける代わりに業務を回すために大忙しのようで、本日は来れないらしい。


組合長は開口一番、剛志に対し感謝を述べた。


「剛志君! 今回の活躍とても感謝している。感謝してもしきれないくらいだ。君の活躍のお陰で大精霊が召喚されたのにも関わらず死者ゼロ名という驚異的な結果になった。これは私たち日本ダンジョン組合全体からの感謝と受け取ってもらって構わない。本当にありがとう!」


そう、生ける伝説の町田龍之介に頭を下げられた剛志は、あたふたとするしかなかった。そんな剛志に追い打ちをかけるようにこの組合長はとんでもないことを口走った。


「本当に感謝してもしきれないよ。それに君の活躍はこれまでも聞いているよ。今は君のお陰で日本のダンジョンのすでに半分以上に壁が作られた。これも地味なようでとんでもない功績だ。戦闘力で言うと西園寺君の居るチームが日本トップクラスかもしれないが、総合力で言うと剛志君も十分日本最強の一角といってもいいだろう。どうだい、桃花を嫁にもらうってのは。親の私が言うのもなんだが、かなり整っていると思うのだが?」


「へぇ!!?」


急にただのおやじのように、自身の娘の婿にどうだと勧めてくる龍之介。だが、彼の言うこともあながち間違いではない。今の剛志の活躍は、さすがに放っておけないクラスになっている。そんな新進気鋭のルーキーを自陣に加えるために、このような政略結婚を進めてくるのは古今東西よくある話だ。


考えもしていなかったことを勧められ驚く剛志だったが、町田所長はまんざらでもなさそうだ。


「おお、それは良いな。私も旦那にするなら優秀な人間がいいと考えていたんだ。剛志君は条件に合っているし、見た目もそんなに悪くない。君さえよければどうかね? 意外と胸も大きいんだが」


そう言って誘惑まがいのこともしてくる。それを横で見ながら「がはは」と豪快に笑っている龍之介。この親子はとんでもないな。それが剛志の正直な感想だった。


「えっと、冗談はそのくらいにしましょうよ。からかわないでください。それにどこからか殺気のようなものも感じますし……」


そう言って肩を震わせる剛志。剛志の発言に組合長はあたりを警戒したが、特に変わった様子はなく、剛志の思い違いだろうと判断した。ここにいない町田所長のストーカーが何かしらの虫の知らせを感じ取り、一瞬とてつもない殺気を出していたことなど誰も知る由もないのだから。


一番の被害者は、何も知らないで彼と仕事をしていたスタッフだろう。いきなりおぞましい雰囲気を放ったかと思えば、次の瞬間にはいつものように戻っていたのだから。気持ち悪いと感じるのも無理はない話だ。


本作品を楽しんで頂きありがとうございます。

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