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ゴーレムの可能性は無限大 〜副業で探索者になったら職業とスキルの組み合わせが良過ぎたみたいです〜  作者: 伝説の孫の手
邪悪な思惑

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第116話 弱肉強食

先ほどまで絶体絶命だった剛志は、日本最強パーティーが駆け付けてくれたことの安堵で緊張の糸が途切れたのか、腰が抜けてしまった。そんな剛志の身を案じるようにヒーラーの白峯真紀しろみねまきが声をかけてくる。


「剛志さん、もう大丈夫ですよ。みのるたちに任せておけば、あいつを倒してくれますからね。私たちは何度もあいつと同種の魔物を倒しています。もう安心ですよ」


「よかった…」


心からの言葉が漏れる剛志。その剛志の安堵の表情を確認し、聖母のような優しい笑みで剛志を安心づけるのが白峯という探索者だ。彼女はメディア人気も高く、実際に彼女の治療を受けたものは皆ファンになると言われている。


その意味を実感した剛志は、納得したが、こんなくだらないことを考えられているのも危機を脱したからだろう。


そうして、抜けてしまった腰に力をこめ立ち上がろうと思ったその時、剛志は急に意識が遠のくのを感じ、そのまま気を失ってしまった。


「剛志!」


剛志の近くに立っていた臼杵(雪分身)が心配の声を上げるが、剛志の様態を確認した白峰が問題ないと告げる。


「緊張の糸が途切れ、体が自身の身を守るために強制シャットダウンをしたのでしょう。眠っているみたいです。」


「なんだ…よかったぜ。」


剛志は、ただ意識を失ったように眠りについただけで、命に別状はないみたいだ。医者ではないがヒーラー系の上位職についている白峰が言うのだから間違いないだろう。


そんな一幕が起きている横では、闇の大精霊と西園寺正義さいおんじせいぎ率いる日本最強パーティーの戦いが繰り広げられていた。


「ん?お前らは何者だ。いきなりあらわれおって。私が興味を持ったのはその奥にいる男だ。どけ」


「彼はここまでよく頑張った。ここからは僕たちが相手になるよ」


闇の大精霊の言葉に対し、そう言い返す西園寺。


自身の言うことを聞かない西園寺にいら立ちを覚えた大精霊は、不機嫌そうにする。


「全く、貴様ら下等生物は会話も理解できないのか。私がどけと言ったらどくのだ。それができないなら死ね【最大重力グラビティマックス】」


そういって、いきなり先ほど剛志に向けて放っていた重力場の攻撃を放つ大精霊。


剛志はこの攻撃で全身の骨という骨が砕け散り、一瞬で瀕死になった。そんな特大の攻撃を受けた西園寺だったが、全く気にも留めていない。


「確かに、かなり重いね。でも動けないほどじゃない。だよね実」


「まあ、そうだな。でもこれを一般のやつが受けたらひとたまりもないだろうな。」


そうやって軽口を言い合う西園寺と嵐山。その二人に対し文句を言うのが宮園麗華みやぞのれいかだ。


「あんたたちが馬鹿みたいにステータスが高いからでしょ。私みたいな後衛職だと、私でさえ耐えるのに必死よ。ふざけないで頂戴。ああ、重い。むかつく!【無重力ゼログラビティ】」


そうして宮園が放った呪文は今回の攻撃に対し真っ向から歯向かうような魔法だ。


本来【無重力ゼログラビティ】は体を浮かせ、風などに乗って空を飛ぶための呪文だが、ここでは相手の攻撃を無効化するのに役に立つ。この咄嗟の判断力もトップ層の探索者には必要なスキルなのだろう。


宮園の魔法のお陰で、重力場から逃れた三人だったが、二人からは不満の声が上がった。


「おい、麗華。俺たちには魔法を切ってくれないか?これだと踏ん張れなくて攻撃が弱くなっちまう。逆にあれだけ重くしてくれたら攻撃力も上がるってもんだ。」


「確かに、実の言うとおりだね。僕もきってくれ」


「わかったわよ。全くあんたらはこんなに一緒にいるのに、意味が解らないわ」


そうぶつくさ文句を言いながらも魔法を解いてやる宮園。すると西園寺は再びかかった超重量力を感じながら手を開いたり閉じたりして間隔を確かめている。


「うん、いい感じだ。まだこっちの方が戦いやすい。実、お先に!」


そういって、嵐山を残しい直線に大精霊に向かい走り出す西園寺。彼のトップスピードに比べるとかなり遅いのだろうが、それでも相当な速さで大精霊に近づいた西園寺は、そのまま自身のスキルを使用する。


「【光の道筋(アルク=レイ)】」


西園寺が抜いた西洋式の剣を斜め上から切りつけるという、一見にしてシンプルな袈裟切りだが、彼がスキルを用いて行うとそれは全くの別物になった。


剣は光り輝いており、そこから放たれる剣戟は空間をさらにまばゆい光を放つ。そしてそのまま大精霊を切り裂き、その奥の空間まで大精霊を貫通し斬撃が飛ぶ。


闇に対し、光という相性のいい攻撃を受け、闇の大精霊は真っ二つに分かれてしまった。


「ぐぉ」


そんな今までからは想像もつかないようなうめき声を出しながら上半身と下半身が分かれてしまった闇の大精霊。


剛志からすると勝ち目の見えない化け物だが、西園寺達からすると普段から相まみえている慣れた敵となるのだ。


それに普段ではこんな感じで一体で出るわけではなく、複数体だったり、途中から別の個体が乱入したりという環境で戦っているため、確実に一体しかいない現状は普段よりもイージーだったと言えよう。


あっさりと致命傷を受けた闇の大精霊だったが、この魔物もただではやられない。


自身の命があと少しだということを悟り、最後に剛志だけでも道連れにしようと最後の力を振り絞ったのだ。そして剛志に向けて指を向け標準を定めると、最初に使ったブラックホールを射出する魔法を、剛志に向け放つ。


「【黒孔砲ブラックバズーカ】」


その魔法は、一直線にすさまじい速度で剛志に向かい飛んでいく。


しかし、今回はそれが剛志に当たることはなかった。瞬時に間に入った嵐山が、その魔法を手ではじき返したのだ。


「お前、せっかく疲れて寝てるやつを起こすなよ。お前の相手は俺たちなの」


そういった次の瞬間、またもや瞬間移動のような移動速度で闇の大精霊の真上に移動した嵐山は、そのままの勢いを乗せ上半身と下半身を地面へをたたきつけた。


その衝撃で地面にはクレーターが生まれ、地面は土煙が発生したが。その結果あれだけ剛志を苦しめていた化け物は、いつも剛志が倒しているダンジョンの魔物のようにドロップアイテムを残し消え去っていた。


「さすが、日本最強のパーティーだな。いつも万葉ちゃんの事やばいと思ってたけど、正直こっちの方が強いんじゃねえの?」


そうつぶやいた臼杵。この発言を万葉に聞かれたとしたらただでは済まないだろうが、彼女は今ここにいない。そしてその彼女を救うべく始まった一連の騒動は、これにて終息に向かいだす。一件落着だ。


と、言いたいところだがまだ問題は残っている。


鮫島の行方だ。彼はどこに行ったのか。固まった万葉は治るのか。


一先ず命の危険を乗り越えた剛志一行だが、まだもう少しこの事件は続く。


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