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ゴーレムの可能性は無限大 〜副業で探索者になったら職業とスキルの組み合わせが良過ぎたみたいです〜  作者: 伝説の孫の手
邪悪な思惑

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第114話 最悪のシナリオ

心が折れる寸前、柔らかい新雪に包まれて意識が明瞭になった剛志。圧倒的存在を前に今まで感じたことのない恐怖から現実逃避してしまっていた剛志の頭が瞬時に今の状況を理解する。


「え、臼杵⁉出てきちゃだめだよ!君が攻撃を食らったら死んじゃうんだぞ!」


自分の隣に立つ友人の臼杵。彼の存在は今の剛志にとってはとても心強いが、それと同時に剛志とは比べ物にならないほどのリスクをしょっている。


「まあ、確かにそうだな。でもな剛志。元々探索者ってのは命がけなんだぜ?お前が安全マージンを多くとるスタイルだから、感覚にないかもだけどな。いつ死ぬかわからない。そんな狂気の中に飛び込むのが一流の探索者なんだよ」


そういい放つ臼杵。そんな彼の背中がいつにもまして大きく感じる中で、臼杵の発言を理解する剛志。だが、彼にも彼なりの考えがある。


「臼杵。確かにそうだけど、今は違う。だって俺がいるじゃないか。ここに命を落とす確率の低い選択肢があって、それを選ばないのは馬鹿のすることだ。そんなバカな選択で友人をなくしたくはないんだよ。さっきは助かったけどここは下がっててくれ。」


そういって臼杵を見つめる剛志。そこにはさっきまでの絶望に飲まれたヘタレの姿はなかった。剛志は結局のところ誰かが傷つくのが嫌なのだ。偽善かもしれないがそれが彼の本心であり、性質だった。


ただのお人よしが自らの殻を破り、誰かを救うそんな存在に一歩近づいた瞬間だった。


せっかく剛志の内心を見抜き、彼を助けるために自らの命を危険にさらして颯爽と現れた臼杵は、思ったのとは逆の反応に困惑した。


「ええ…せっかくカッコつけて助けに来たのに。お前マジで変わってるぜ。今の今まで完全に心が折れてたじゃねえか。なんで守る側の思考なんだよ…」


困惑する臼杵だが、剛志が全く引かないのを見ると大きなため息をついてその場を下がった。


「マジで、次はしっかりしろよな。二回目はめっちゃダサいんだから、もう助けられるような状態になるなよ!」


そういって後ろに下がりヤジを飛ばす臼杵。それに対し「うん」と頷く剛志は大精霊の方を見る。すると大精霊はこの一連の流れを面白そうに見ていた。


「お、話はまとまったのか?やっぱり貴様は面白いな。でもせっかく絶望に包まれていたのに回復してしまっていてつまらんな。次は完全に心を折に行くぞ?」


そういって上空にすごいスピードで飛び上がる大精霊。20mほど飛び上がった位置で静止し剛志に向けて両腕を向けている。




その間、後ろに下がった臼杵は心配で仕方がなかった。


「おいおい、結局大精霊は剛志に夢中だし。あいつ本当に大丈夫か?まあ、こちらの出方を待ってくれたのは時間稼ぎになったし助かったけどさ。」


そういう臼杵に組合長が深刻そうな顔つきで話しかける。


「臼杵君。この場は任せてしまっても構わないか?何かあったときは剛志君の助けを頼む。私は最悪のシナリオが見えてしまったので、それの回避のために動きたい。」


「ん?最悪のシナリオって何ですか?」


そう聞く臼杵に、手短に組合長が話す。それを聞いた臼杵は、もしそれが本当に起こった場合を考え、血の気が引くのを感じた。


「マジかよ…そんなのどうしようもないじゃないか。」


そういう臼杵に、組合長は安心させるように話す。


「それは最悪の場合だ。しかも私の考えだとおそらくすでに皆が動いてくれているだろうし、対応策はある。ただその場に私の権力が必要だったら使った方が確実だという判断だ。それに鮫島の行方も気になるしな。すぐ戻る。少しの間ここを頼んだ!」


そういって、組合長はすさまじい速さでこの場を後にした。


残された臼杵は、心配そうな表情のまま剛志が無事ここを乗り切れることを祈るしかなかった。




一方、大精霊と相対している剛志は、相手の行動から次の動きを予想する。


「あいつの攻撃手段は主にブラックホールでの攻撃だ。闇の大精霊ってことだから精神攻撃系もありるけど、ゴーレムには効かないし、俺もその影響で効きが悪い。だからそっちでは来ないだろう。じゃあ次の攻撃もブラックホール関係か?」


そう考えながらも自身の思考をぶつぶつ話す剛志。これによって考えを明確にしようとしているのだ。


そうこうしている間に大精霊に動きがあった。


「では行くぞ。【最大重力グラビティマックス】」


そう唱えて、腕の先の一帯に対して魔法をかける大精霊。名前の感じから強力な重力をかけるという効果だろう。


そしてその予想が当たり、剛志とその周辺のかなりの広さがいきなりとてつもないGに襲われた。


何Gなのかは正直なところわからなかったが、生き物がいきれる範疇を超えていることはわかった。またしても剛志はその重力に押しつぶされるように地面にたたきつけられ、全身の骨が砕けて致命傷を負えば回復するというとんでもないスパイラルに陥ってしまった。


「うわああああああああ!!!!」


全身が絶えず潰される痛みが何秒も続き、あれだけ啖呵を切って臼杵に任せろと言ったのにも関わらず、なすすべなくただ身代わりを消費していく剛志。


その間隔は約1秒に付き一体のペースで消費している。残りの時間は約5分。秒数にすると300秒。ストックを使いつくすような勢いではあるが数は足りている。あとは剛志がこの拷問に耐えられるかどうかだ。


しかし時間は確実に進む。それによって後半はただの潰されるだけの男とかした剛志は、もう動く気力もしゃべる体力もなく地面に横たわっていた。


それを楽しそうに見る大精霊。その表情はとても邪悪な笑顔だった。


「おお、約束の10分間耐えきったか!まさか耐えられるとは思わなかったよ。結局種はわからずじまいだったが、面白い出し物だった。あっぱれ。」


鮫島との契約で召喚された大精霊。この大精霊がこの場で鮫島の代わりに戦うという契約のタイムリミット10分だった。そしてそれが今終わったのだった。


それをほとんど回らなくなった脳みそを使い理解した剛志は、安堵から涙が止まらなくなった。


そんな剛志を見てさらに楽しそうな大精霊。


「おお、最後は泣いているじゃないか!実にいい。もっと君で遊びたいね!」


それを聞いて嫌な気がする臼杵が、剛志に駆け寄りながら大精霊に向かって話しかける。


「剛志!大丈夫か!…おい、大精霊。お前と鮫島の契約の時間は終わったんだろ。だったら早く帰ってくれないか?剛志はもう動くのも出来ないほど疲れているんだ」


そういい放つ臼杵だったが、それを聞いた大精霊がとても嫌そうな顔をしながら臼杵に反論する。


「確かに契約の時間は終わったが、なぜ貴様の命令を聞く必要があるんだ。ここから先は私の意思でそこにいる剛志で遊ぶだけだ。何か問題があるか?」


「…な!マジかよ…組合長の読みが当たりやがった。もうこれ以上は無理だぜ…」


何と、大精霊は10分を過ぎても帰ることはなく、ここに残るといっている。


組合長が予測した最悪のシナリオが当たってしまっていたのだ。



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