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ゴーレムの可能性は無限大 〜副業で探索者になったら職業とスキルの組み合わせが良過ぎたみたいです〜  作者: 伝説の孫の手
邪悪な思惑

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第110話 鮫島澪司

いきなり走り出した組合長に、続く形で走り出した剛志。八王子ダンジョンに向かうといっていたので、鮫島関連だとは思うのだが、いまいち状況がつかみ切れていないままだった。


今、状況を把握しているであろう人物は組合長と内木所長だ。優秀さから考えると町田所長のお兄さんの虎之助さんも気づいているかもしれないが、それに関してはよくわかっていない。


そんな状況のまま、あとに続き走っている剛志たち。向かっているのはダンジョン間転移のスキルホルダーがいる転移陣の場所だろう。このまま転移のスキルで運んでもらうつもりのようだ。


「走りながら説明するぞ。おそらく先ほど飛んで行った黒い靄は、鮫島が宮本君に着けていた精霊だろう。何らかのトリガーで鮫島に状況を伝えるよう命令されているのだと思う。西に向かったことを考えるに、鮫島がいるであろう八王子ダンジョンに向かって飛んだのだろうな。これによって状況が伝わってしまう恐れがあるので、その前に鮫島本人をとらえたいってわけだ。」


そんな説明を組合長がしてくれた。あの一瞬でそのことを判断し動き出す行動力と実行力はさすがだ。しかしまだわからないことがある、万葉の状態だ。


「組合長、精霊というのはよくわかっていないですが、そういわれているということはそうなんでしょう。でも宮本さんの状況はなぜですか?固まった原因も精霊が関係しているってことなんですか?精神攻撃も?」


そう矢継ぎ早に質問を重ねる剛志。それを聞いて一つ共有ができていなかったと思った内木が、代わりに説明してくれた。


「ああ、そういえば共有がまだでしたね。今回宮本君に質問をした件も、さっきの精霊の件も、この一週間で調べた内容をもとにした推論になります。なのでそこから説明しますね。まず、鮫島が今回の件をどうやって起こしたのかという部分ですが、これは私たちの予想で言うと”契約”のスキルを使用しての犯行だと思われます。」


そういう内木。それを聞いた臼杵が横から質問をはさむ。


「契約って言うと、スキル的な拘束力で契約を結ぶっているあのスキルか?でもこの契約スキルはお互いの合意の元行われるものだし、あんな感じの精神汚染は行われないと思うんだが…。」


「そうですね、一般的な契約スキルではそうです。双方合意の元契約を結び、その契約に違反したらペナルティを課すというスキルですね。なので今の宮本さんの状況には当てはまりません。しかし、おそらく鮫島が持っている契約のスキルは☆5の最上位ランクの物だと思われます。それによって今回の様な症状が発生しているというのが私どもの推測です。そしてそれはおそらく正しいでしょう」


そういって、言い切った内木。その横で内容を把握している組合長と虎之助が頷いている。よくわからないがそういうことの様だ。


内木はそのまま説明を続ける。


「今まで観測されていた契約のスキルの最高値は☆4でした。この場合、契約に違反すると命を落とすペナルティが課されます。なので、私どもはこれではなくその上の☆5のランクのスキルではないかと予測していました。そしてその☆5のスキルは違反できないという強制力が効果なのではないかと予想を立てていたのです。」


そこまで聞いて、あることが不安になった剛志。たまらずそのことを確認する。


「え、☆4で命を落とすことがペナルティなら、今の彼女の命は大丈夫なんですか?少なくともペナルティとして命を落とすよりも、重たいものが襲ってるのでは⁉」


「そうですね。その可能性もゼロではないです。ただ、今まで彼女自身が自分の意思で言わないようにしているわけではなく、単純にその行動自体ができなくなっている。その状況からの推論なので、☆5のペナルティはなく、違反そのものが不可能になっているというのが最もしっくりくるのです。これらは今まで数多のスキルの情報を集約している、ダンジョン組合のデータを元にした推論なので、おおむねあっていると考えてください。そのうえで、今回禁止されているであろう事項は契約内容の口外だと思うのですが、彼女は肝心の契約内容を言う前に固まった。この現象が契約違反そのものをできなくするという強制力の証明になっています。」


そう一気に説明された剛志と臼杵。しかし、正直なところ複雑すぎていまいち理解できていない。いろいろと推論に推論を重ねた理論になっており、現状仕方がないのだろうがいまいちピンと来ていないのだ。


その状況を察知して、横から虎之助さんが補足してくれた。


「う~ん、正直ピンとこないよね。でもここは私たちを信頼してほしい。ことダンジョン関連については、どこよりも情報を持っているのがダンジョン組合って組織だしね。今わかっていることは鮫島が契約のスキルホルダーであるということ、アイテムの流れを調べたら、5へのランクアップ用スキルオーブが八王子ダンジョンで消えているという事実。鮫島の職業が精霊使いだということ。これだけなんだ。そこに万葉君の状況やら、君たちから聞いた情報を組み合わせて導いた答えが、さっきの内木君の説明なんだよ。」


そういわれてしまうと、そこから先はもう聞くことはできない。しかし不安が残った剛志は横にいる臼杵に助けを求める。


「臼杵、どう思う?」


「正直なんとも言えないな。俺らが知らない情報が多いし、そのうえで若干はぶられているような状態だ。組織が絡むとこうなるから厄介なんだよ、それに万葉ちゃんの状態も心配だしな。おい!彼女に何かあったら許さないからな!」


最後の悪あがきとも言える文句をその場にいる面子に放つ臼杵。起こってしまった事は仕方がない、そのうえで信頼することを決めたのも自分たちだ。その事実から彼女に何も起きていないことを祈るとともに、自身の力不足を嘆く臼杵と剛志だった。


その臼杵の文句を聞いて、組合長は重い表情でしっかりと答えた。


「ああ、私たちも全力で解決を目指している。その中で彼女のことを切り捨てることはしないことを約束する。口約束にはなってしまうが信頼してほしい。」


そういって、一瞬立ち止まり剛志たちに向かって深く頭を下げる組合長。


それに驚いた臼杵がたまらず答える。


「おいおい、さすがに頭を上げてくれ。生ける伝説のあんたにそんな事されても文句を言ったら、ほかの探索者から反感を買ってしまうぜ。とりあえず今は問題解決に全力を注ごう」


「生ける伝説か、そんなたいそうなもんではないよ。唯の老いぼれだ。しかしこうしている時間も惜しいな。すまない、先を急ぐとしよう。」


組合長は、今まで探索者としても多大な実績を残し、一線を退いた今でも組合長として多くの探索者を助けてきた人物だ。その大物にここまでされたら信じるしかないというのが臼杵の正直な感想だった。


そこから先は、特に会話はなく急いで八王子ダンジョンに転移で飛んだ。


八王子ダンジョンに到着するや否や、受付に鮫島所長の居場所を聞くと、今は所長室にいるというので、そのままの足で所長室に向かう。


いきなりの組合長の出現でざわつく八王子ダンジョン内を進み、所長室にノックもせずに入る一同。そこには驚いた表情でこちらを見る鮫島澪司がいた。


年齢は大体30代くらいだろうか。まだ老けてはおらず、エネルギーに満ち溢れている。そのうえきっちりとスーツを着こなす、スレンダーなイケメン。それが彼を見た際の剛志の印象だった。


「ええ?どうしたんです?急ですね。言ってくれればお迎えに上がりましたのに。それに知ってる顔も多いですね。内木もいるじゃないか。一体何の騒ぎです?」


本当に何も知らないのか、それとも知らんぷりをしているのか。今のこの状況を理解していないような鮫島の反応を見て、どちらかつかめなかった剛志だが、そんなことは関係なしとばかりに組合長が鮫島に詰め寄る。


「鮫島。お前にある疑いがかかっている。それも本当なら重大な事件だ。一緒に来てもらおうか」


そう言って、組合長が部屋の中に一歩踏み入れようとしたその時。剛志たちに遅れて万葉から抜け出た黒い靄が、剛志たちの横を通り過ぎそのまま鮫島の体に入っていった。


いきなり後ろから現れた靄にまたしても一瞬硬直してしまった一行。その間に靄を体に吸収した鮫島は、先ほどまでの好青年っぷりから一転、かなり冷たい表情になっていた。


「チッ、もうすでにそこまで知られてるのか。こうなったら白を切ることも不可能じゃねえか。せっかくここまで積み上げてきたものが全て台無しだ。さてと、どうやってここから逃げようか…」


いよいよ黒幕との決戦が始まる。


_____________________________________

ダンジョン組合のデータベースによる、スキルの☆による傾向。


☆1:一般人でも可能な範囲の事象の再現。数値強化系は基準値

☆2:達人レベルで初めて可能になる事象の再現。数値強化系は基準値の2倍

☆3:達人の中の達人で初めて可能になる事象の再現。数値強化系は基準値の3倍

☆4:人に可能な範疇を超えた事象の再現。数値強化系は基準値の4倍

☆5:概念そのものを変える事象の再現。数値強化系は基準値の5倍

☆なし:ほかに所持者がいないスキル。強さはまちまち。


これらに大体は当てはまるとされている。ただし、物事には例外が存在するので、必ずしもこうなっているわけでもない。大雑把な傾向。

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