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第33話 ファンタジー世界の現実って…?


「まぁまぁまぁ、いったんおちつこう。いったんね」


希望という空気がぬけきってしょぼしょぼになった5才児ボディを、よいしょぉ、と図書館の本棚につかまって持ち上げる。まぁまぁ、と自力でなだめて、次を考える。


ほらね、ぼくってこの世界とそっくり同じだったお話の中では悪役王子だからね。15才で冤罪処刑ですからね、うん。

つまりほら、あきらめたら試合……っていうかぁ、まぁ人生が終わっちゃうので……。


「まぁまぁ、なんかほかにもぉ、あるでしょ」


いったんほら、特殊すぎる難易度ベリーハード職業のことはおいといて、ぼくにもできそうなお仕事、ないかさがしてみよぉね、うんうん。


「できればぁ、ちょっと楽しそぉなおしごととかいいなぁぁ」


魔法使いさんとかじゃぁなくても、楽しいお仕事とか、ね。どこのだれかも証明できない身元不詳の子どもでもできる仕事とか……きっと……ね、うん……。


「――あるぅ?」


急に現実にかえってくる。

きっぱり夢から追い出されたので、現実を見るしか、ないよねぇ……。


「まともなお仕事はぁ、ムリかなぁ……」


身分も証明できないしぃ、お金もないしぃ、大人ですらないぃ。なぁんにも持たずにひとりででていって、すぐにできること。


「えーーっと、えーっとぉ……」


本で探そうにも、身元不詳でも直ぐにできる仕事!みたいな項目はぁ、あるわけないしぃ。


「うーーーん」


今世の5才の知識では全くなぁんにもわからない。だからってぇ、前世で考えてもぉ……余計になくない?


「うーーーーーーーんん」


なにかちょっとくらいあるはずぅ。考えろぉぉ、ぼく。


「サファさまー、どちらにいらっしゃいますかー?」


あっ、まずい! 侍女さんがさがしに来ちゃうぅ!


「いまぁ、そっちにいくよぉぉ」


と、時間稼ぎをしてぇ、本を元に戻してぇ。周りを一応てんけん。


「もどしわすれぇ、なし! わすれものぉ、なし!」


よし、いったんひきあげよう。



***


「うーーん」


お部屋でいつものようにソファで、絵本。なんかてきとぉに借りてきた、カムフラージュ絵本。


今日は広げてるだけぇ、ぜんぜん読めてない。


「それよりぃ」


将来のぼくのお仕事だ。

やっぱりぃ、いちばんの問題は身分。


たとえば、やむにやまれぬ事情でぇ、身分がないよ、って人もぉ、この国だってゼロじゃぁないはず。


そういう場合ってどうしてるんだろぉ?


「きゅうさいせいどとか、あるかんじぃ?」


前世でいったらぁ、例えば身分……戸籍がなかったら、なんかこう役所に相談してぇ、戸籍作ってもらって無事に身元がはっきりする、みたいなぁことも可能でしょぉ?


ってことはぁ、ここでも、事情があって身分がないんですぅ、みたいなことを何処かの街の役所てきなところに相談して、身分をもらうとか……?


そしたらぁ、学校に行ったり、ちゃんとしたお仕事したりぃ、できるかもぉ!


――ん?


「あ……だめだめ」


身分をもらうのなんか簡単にできるわけないしぃ、身元照会とかされたら、ぼくだってばれちゃうぅかもしれない。


「だめだめだめ」


いったんここを逃げ出したあとに捕まるとか、さいあくだ。

何かあるから逃げ出したって思われそぉだし、そんなの処刑まっしぐら。


「だめだめだめだめ、ぜんぜんだめ」


なんのために、苦労して王宮を脱出するのかわかんない。まぁ、今のとこ、脱出する方法はなーんにも思いついてないんだけども。


とにかくそうなると、やっぱり身分を問われずに誰でもできる仕事しかなさそぉ。


「あ、それならぁ!」


ファンタジーな世界なんだしぃ、冒険者とか!


「……めちゃ強くないと無理そう」


強くない冒険者は、無謀すぎるぅぅ。狩猟とかもむりぃだし、農作物を育てるにもぉ、土地がいるしぃ。

はぁぁ……もう、貝殻拾いか野草とりくらいしかできなさそお……。


――ん? んんんん?


「……っ! それぇ!」


たしか、絵本には魔術師さんが薬草をつかって怪我を治す薬を作ったり、魔道具職人さんが魔石を使って魔道具を作ったりするのがあった。


「それぇなら、ぼくにもできるぅかも!?」


薬草や魔石の知識なら、本でも勉強できそう。

それをかってくれるところを見つけたら、売りに行ってぇ……それで暮らす。


「今度ぉ、また本で調べてみよぉぉ!」


しおしおにしぼんだ希望が、ほんのちょっとだけふくらんだ感じぃ。ほんとのほんとにちょっぴり、小指の先っちょくらいだけどぉ。


「はぁ、ちょっとだけほっとしたらぁ、おなかすいちゃったぁ」


ぺこんとなったおなかに手を当てたら、小さくクゥと音がでる。ぼくのおなか、すごく正直。


「おかし、たべよぉかな」


どうしよぉかなぁ、まだお茶の時間じゃないかな?


「サファさま、そろそろお茶をおいれしましょうか?」

「うん!」


ちょうどぴったり!な感じで声をかけてくれた侍女さんにお返事して、ソファからぴょん。


「おかしぃ、えらんでくる!」


いただきもののお菓子の残り、見に行こ!


お腹すいてたら何もできないしね、うん。



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