第31話 憧れきらきらな将来!
「ええとぉ……うーん、このへんかなぁ?」
翌日、侍女さんに本当に絵本が好きですね、と言われながら来た図書館。
ぼくはあれこれ見て回るふりで、こっそり普通の本の棚の迷路に入り込み成功。
ぼくが本を見てるときは基本ほっておいてくれるので、あんまり気にしないで本を探せる。たすかるぅ。
「おしごとの本の、ちょっと簡単なやつ……ええと」
昨日みたいな、とんでも難解な専門書みたいのはダメで、普通にわかりやすい、魔法のお仕事について詳しく書かれてる本がいい。
「あ、これ!」
手に取った1冊の本。
「『魔法職のすべて』……おぉぉ、めちゃわかりやすそう」
どれどれぇ……と本を開く。
「ええっとぉ……『魔術師になるには――』あっ、あったぁ!」
『魔術師になるには、生まれ持った魔力と適性に加え、高度な知識の習得や技術訓練が欠かせない。魔術を扱うためには――』
あーー、そっかぁ。やっぱりぃ、魔術師さんって、簡単にはなれないよねぇぇ……。 どれくらい勉強とかするんだろぉ?
『適性者は全人口の約6%で、そのうち40%程度が志望し、魔法学院への入学を目指す』
むむ、けっこうきびしぃ世界ぃ……。
『志望者の約35%が適正ありとして入学を許可され、――(中略)――卒業までに平均4年の就学が必要とされる。入学者の約半数が魔術師試験に合格し、その後20%程度が高位魔術師の認定を受ける。』
えーー! やっぱりたいへんっ!
「うーん、とりあえず他のも見てみよ」
ページをパラパラすると、
「あ、魔道具職人のもあるっ! ええとぉ――」
『魔道具職人は、魔法と工学の知識を活かして道具を作り出す職業で、精密な技術が求められる。適性試験では、魔力だけでなく、細かい作業に向いた器用さや論理的思考力も評価される。』
なるほどぉ、手先の器用さも必要ってわけかぁ……。
『適性者は全人口の約8%で、志望者は5年の魔法学院の養成課程に進む。入学者の約半数が課程を修了し、その後、約20%が一級魔道具職人の認定を受ける。独立開業が許される二級魔道具職人以上の認定を受けられるのは、10年修業者のうち約40%とされている。』
修行がすごいたいへんそぉぉ……学校卒業してもぉ、修行修行なんだなぁ。
「ええと、あとはぁ……あ、あった!」
『召喚士は、霊的な存在や異世界の力を引き出して使役する職業で、魔力の強さだけでなく、精神力と契約の技術が求められる。適性試験では、魔力との共鳴や精神耐久性が厳しく審査される。』
ふむふむ。
『適性者は全人口の約6%で、訓練課程は魔法学院の他の科と同様に4年である。卒業者の約70%が召喚士試験に合格し、魔術協会や魔法騎士団などに就職する。10年後の高位召喚士の認定割合は約15%と、ごく一握りの存在である。』
わーー、召喚士さんめちゃめちゃたいへんなんだぁぁ……。
「――って、あれ?」
なんかぁ、よく見るといろいろ数字が書いてるようなぁ。
「な、なんかぁ、いやぁぁな感じがするぅ……」
しょうーがない。計算はちょっと大変だけど、前世の15才のぼくに戻ったつもりでちょっと頑張ってみよぉぉ。
「えっとぉ……ぼくが魔術師になれる確率は――」
[魔法の適性を持っている確率(6%)×卒業して魔術師試験に合格する確率(30%)]
適正ありだったらほぼ入学はできるぅみたいだからこれかなぁ?
「う、うぅーーん、じゃあ、ぼくが魔術師になれる確率はぁ、つまりぃ……」
「やくぅ……え!?」
「にっ、2%ッ!?」
えっ、かなりムリっぽくないぃぃ??
ちなみに、高位魔術師になれるのはその中の20%だから、ぼくが高位魔術師になれる確率はぁ――
「れ……0.4%……」
誤差、0とほぼ同じい、誤差の範囲。
ほぼムリ確定で、誤差の範囲で可能性があるってかんじ……ってことぉ??
「ほぼムリは、もうムリじゃん……」
きびしぃ。あこがれの魔術師の世界、ちょうぜつきびしぃ……。
「あぁぁ……あこがれのぉ、まほうつかいさんん……」
あきらめきれない。
せっかく異世界に転生したっていうのにぃぃぃ、冤罪で終了する未来だけあって、魔法を使う未来はないなんてヤダヤダぁぁ!
「せ、せめてぇ……高位じゃないぃ、ふつぅの魔法使い……魔術師さんなら、なれる可能性は……」
ほんの……ほんのちょっとだけある。
極小2%だけど。それも誤差だろ、と言えなくもないちょっぴりの可能性だけども。
「でもぉ、きぼうはすてないぃぃもん」
よし、そしたら次はぁ、魔道具職人さんだ。
「えっと、こっちはぁ……」
魔道具職人さんもやっぱり魔法の適性が必要らしい。
でもぉ、魔術師さんよりは魔法適正のハードルひくめみたい。
「ってことはぁ、魔術師さんよりはぁ、可能性ありそうっ!」
どれどれ……と項目を読み返す。
必要な魔法適性を持っている確率(8%)× 養成学校を修了できる確率(50%)
つまりぃ、学校を卒業して職人さんになれる確率がぁ――
「4%かぁぁ……さっきよりはぁ、ましぃかなあ……」
前世で言うところの、超難しい資格を取るくらいの難易度かもしれないぃぃ。
でも、そっちと違ってそもそもの適性がなかったらダメぇ……だけど。
「それとぉ……? えっと、その中で独立するのが40%くらいかぁ……」
独立して工房を持つくらいの魔道具職人さんになれる確率は、1.6%くらいってこと。
「一級魔道具職人として認定されるのが20%だからぁ……」
数字をにらみながら、うーん……と頭を抱える。はっきりとは数字にできないけど。たぶん、独立して工房を持てるくらいの立派な一級魔道具職人さんになれる確率ってぇ……
「やっぱりぃ、1%あればいいほぅ……ってぇ、かんじぃ……」
はぁぁぁ……。特大のため息でちゃう。
世の中ってきびしぃ、たとえ異世界でもそれはおんなじ。
しかもぉ、ぼくの場合、10年後冤罪で人生終わっちゃうし。
ここから抜け出す方法もなさそうってことで、きびしいどころの話じゃない。仕事の前に命が危ない。
「うぅぅ……」
ちょびっと泣いちゃいそう。
今んとこ、明るい材料がぁ、なーーんにもないんだけどぉ……どうするぅ?
「…………」
よし、いったんもう一つのあれを調べてみよう。




