第二章 ~恋心~
~The Letter~
第二章
-恋心-
「6つのグループに分けるんで,
くじ引きで決めますっ!!」
それから毎日は
忙しく過ぎていく。
恭弥は,
野枝瑠と実行委員の
仕事をしていくうちに,
クラスの男子とも
仲良くなることができた。
彼女の周りでは,
常に笑い声が飛び交っている。
「じゃあ,1組が最後だねぇ」
そう言って,
空のティッシュの箱に入れた
くじを引く彼女。
そして,恭弥もくじを引く。
野枝瑠と一緒のグループだと
……楽しいだろうな。
恭弥は,
最後に引いた藁半紙のくじに
密かな願いを込めた。
恐る恐るくじを開くと,
書いてある文字は“3”。
周りに気づかれないように,
何気なく野枝瑠の
手の中を覗く恭弥。
目に映った文字は“6”。
心の奥で,
がっかりとした気持ちが
込み上げてくる。
「じゃあ,
班ごとにに飯ごう炊きさんの
役割決めて,
今日は終わりにしよー!」
野枝瑠はくじを
ひらひらと振りながら,
クラスメート全員に
大きな声で話しかけた。
恭弥は,
寂しい気持ちで
自分の班に向かおうとした。
すると,
背後から野枝瑠が
声をかけてくる。
「一緒じゃなかったね!」
特に深い意味が
あるわけでもないが,
彼女の言葉で
妙な嬉しさが込み上げてくる。
「……あぁ」
恭弥は,
野枝瑠に話しかけられたこと
が嬉しかった。
「最近,
2組にこなくなったじゃん。
友達できた??」
下校途中,
貞利が微笑みかけてくる。
「あぁ!
結構皆と仲良くなった」
恭弥は満面の笑みでうなずいた。
「でも最近,
実行委員の仕事で
残ってばかりなんだろ??」
彼は,面倒くさがり屋の
恭弥を心配する。
「まあ……楽しいし」
貞利に指摘され,
改めて気づく……
ここ最近,
恭弥は野枝瑠と一緒に
仕事をすることが
楽しくてたまらなかった。
密かに隠していた
胸の奥の1つの気持ちを,
貞利に話そうか
話すまいか迷い出す。
「んだよ??
もじもじしてキモい」
貞利は眉をひそめ
恭弥に問いかけた。
すると恭弥は,
貞利に小さな声で
打ち明ける。
「マジで??
そっかあ,
好きな子かぁ」
貞利は,
にんまりと頬の力を緩めた。
「誰かに言ったり,
広めんのなしだからな!!」
「はいはい」
いつの間にか
胸の中で生まれていたもの,
それは野枝瑠への
恋する気持ち……。
恭弥は,
野枝瑠を好きになっていたのだ。