2 魔法の力
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タカシには、生まれた時から不思議な力があった。
それがどのような原因によって引き起こされたのかは、わからない。
ただ、この人間社会で人が生きていくためには、このような力を持った存在が確かに必要であると考えると――タカシは、神様によって仕組まれた「選ばれし者」なのかもしれない。
タカシは、私立フォードシュタット学園中等部に入学した。
この学園は、イギリスの地主階級の貴族が日本に建てた、エリート中のエリートぼんぼんのための学校である。
「これが……名門中学の入学式かぁ。まさにヨーロッパっぽくて、かっこいいなぁ!」
「おい、どけ。この凡人が。なんちゅう平民や。右京の前を塞ぐとはな」
タカシは、相手の制服のバッジを見て驚いた。
(うわ〜……本当にいるんだ、Aランクのお貴族様……)
「あっ、ごめんなさい! どうぞどうぞ! お座りくださいませええ!」
「けっ!」
この学園には、“ランク”という上下関係の概念が存在する。
ランクはCランクからSランクまであり、これはイギリスの旧来の階級制度――王族、地主、聖職者、労働者――に根ざした伝統に基づくものだ。
日本にはこのような階級制度は存在せず、現代イギリスにおいても、目に見える形での格差は一部を除いてほとんどない。
しかしこの学園では、生徒の親の経済力をベースにランクが決定されており、その制度は今も継続されている。
この伝統が今なお残っている理由は、理事会の理念――**「社会の現実を、学生時代に経験させるべきだ」**という教育方針にある。
そのため、学園内における“パワハラ”や“モラハラ”といった問題があっても、学園側は基本的に介入しない。
あくまでそれも“教育の一環”として容認されているからだ。
「ま、僕はCランクだからね。仕方ないか、はははは」
タカシは、まるでノーダメージといった様子で笑っていた。
……だがこの学園での生活を脅かす存在として、タカシは魔法の力を使った。
次の瞬間、右京は、新入生の中でもわずか3人しかいないと言われるSランクの生徒の肩に、
なんと――自分の足を乗せていた。
そしてその直後、右京は、掌底打ちを顎にくらい、のびていた。
「キャー! キャー!」
周囲の女子生徒たちは、Sランクの同級生――海馬をじっと見つめていた。
右京は、その場で“してはならない最悪の選択”――Sランクにちょっかいを出すという道を選んでしまったのだ。
「ふぅ……右京さん。そんなことしたら危ないじゃないですか~。今後は気をつけてくださいね」
タカシは、伸びている右京に向かって、得意げに言った。
こうして、タカシの学園生活が始まる――。
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