×(クロス)5.科学界=パラレルワールド=魔法界
こんにちは! 作者の風の双剣使いです!
今回は先に一つ謝罪させて頂きます。
前回『×(クロス)4.狂・魔法使い』についてですが、最後の部分で納得いかない部分があった為、4月31日に数行ほどの追加をしました。
なので追加前に読んでいた片は御手数ですが前話の最後数行を確認してからこの話を読み始める事をオススメいたします。
読者の方々のお手を患わせて、誠に申し訳ありません。
それでは第5話、どうぞ!
「……ダイチはパラレルワールドって言葉は聞いた事あるの……?」
ミライは大地にそう問いかけた。
大地はその予想外の言葉に面喰らい、思わずキョトンとした顔になる。
しかしミライの真剣な顔を見れば冗談などではないのは一目瞭然だった。
「……えっと……あ、ああ、一応知ってる。 確か……『ちょっとした事で未来は無数に枝分かれして行き、そのそれぞれの未来がそれぞれ独立した一つの世界として存在する』……とか言う理論……の事だよな?」
「うん、それなの」
大地が停止しかけた思考を無理やり動かし、自分の知識の中にある『パラレルワールド』について座り込んだまま身振り手振りを交えて説明をする。
ただしその身振りには焦っているような節があり自分のしっている事への自信の無さがありありと覗えた。
「……ふぅ……合ってたか……。 ……ん? ところでそのパラレルワールドがどうしたんだ?」
合っていた事に安心したのも束の間、大地の中に再び疑問が沸いてきた。
その疑問についてミライに聞いてみる。
するとミライの顔がより一層真剣になり、
「私とあの黒いローブの男はそのパラレルワールド……通称『魔法界』から来たの」
ミライが静かにそう告げた。
その瞬間、大地の思考が停止する。
しかしミライは大地の様子に気づかず説明を続ける。
「……今から約百数十万年前、まだ人類が文明を持ち始めて間もない頃……人類は二つの道を辿ったの……。」
ミライはウィンの背中からゆっくりと降りながら説明を続ける。
「その内片方はダイチも知っている通り石器・土器など道具のを作りだし、その世界はその後家電性製品や通信機器など生活に使用する為の物から大砲・爆弾などの『兵器』と呼ばれる危険な物まで、数々道具を生み出して繁栄していった……。 それがダイチ達の世界……私達は自分達の世界と区別する為に『科学界』って名前で呼んでるの」
ミライはそこまで言うと一端黙り込み、
「……そして、もう一つの世界は科学界のように便利な道具を作り技術を求めず、自分達の体や周囲に存在する力……『魔力』を自在に操る事で繁栄してきたの。 ……それが私達の世界……『魔法界』なの」
ミライはそう告げると一拍間を置いてからゆっくりと大きく深呼吸をし、
「ちなみに前から何度も聞いてきた私がどうしてダイチの部屋に居たかだけど……、私は自分を追う追手……つまりさっきの黒いローブの男達の事なんだけど……、アイツ等から逃げる為に『次空間移動魔法』で転移したの。 あ、その『次空間移動魔法』って言うのは転移魔法の一種で、『魔法界』と『科学界』それぞれの世界を自由に行き来する事が出来る唯一の魔法の事なの」
ミライは補足説明を絡めながら言う。
「それでその『次空間移動魔法』を使用したんだけど……『魔法界』で魔法の発動をした場所の座標と『科学界』でのダイチの部屋の座標が一致してて、転移してみたらたまたまあの部屋にに出現しちゃったって事なの」
ミライはそこまで説明すると静かにしゃがみ込んで座っている大地と目線を合わせ、
「ホントはダイチがこんな事に関わる義理なんて一つもないの。 今まで巻き込んじゃってゴンなさいなの……」
ミライはそう言うと、大地に向かって深々と頭を下げた。
「こんな事になったのは……科学界まで来たしもう追ってこないだろうって思って気を抜いた私のせいだって事はわかってるの」
……そう言ってそのまま下げていた頭をゆっくりと上げる。
その綺麗な蒼い瞳は今にも泣き出しそうに潤んでいた。
「……今まで勝手に巻き込んでいて今更だと思うかもしれないの……。 でも! でも……やっぱりダイチには逃げてほしいの! ダイチなら今からでも逃げれば何とか見逃がしてもらえるかも知れないの……。」
……泣き出す寸前といった顔で大地の事しっかりと見据え、
「……だから……だからダイチは逃げてなの!」
……そう叫ぶ。
そこまで言うとミライは俯き今度は完全に沈黙する。
どうやら言うべき事はすべて伝え終えたらしい。
ミライの説明が終わって数秒程して、
「……ちょっと待て? つまりお前、自分はその『魔法界』って言うパラレルワールドから……えぇと……確かじ、じく……」
「……『次空間移動魔法』なの」
「そうそれ! その『次空間移動魔法』を使ったらたまたまオレの部屋に来た……。 お前はそう言いたのか?」
どうにか頭が正常に働きだした大地は多少気が動転したまま聞く。
突然家に現れた謎の少女・魔法・狂ったような魔法使い、コレだけの非現実をすでに幾つか見てきていると言うのに、その上まだ色々な非現実を目の当たりにしなきゃならないのか?、……と……。
「……うん、そうなの。」
しかしそれに対してミライは俯いたまま静かに肯定の言葉を告げた。
(……ま、マジ……かよ……。 まさかパラレルワールドなんモンが実在してて、その上また何か訳わかんなんねー魔法の事まで信じなきゃなんねーとはな……。 その上こんな風になってる女の子まで目の前にいるし。 ……ったく、どんだけ面倒くせぇ状況だよ?)
大地はそんな事を考えながら、しかしニヤニヤと不敵な笑みを浮かべていた。
「……?? ダイチ、どうしたの? 何か変な顔してるの?」
ミライは自分突然少し不気味に感じるほどの笑顔を見せた大地の事を心配して聞いてくる。
大地にとってはあまりにも非現実的すぎる話ばかりで大地の人格が壊れたのかと思ったのだろう。
「ん? いや、オレは大丈夫だ。 そんな事より確認してーんだけど、まだ俺に説明してないお前の事情ってのはもう他にはないんだよな?」
ミライの弱々しい声で正気に戻った大地が質問する。
「えっと……多分、もうないの」
「……そうか……」
大地の予想外の回答にミライは多少たじろきながらも小さく答える。
そうれを聞いた大地は満足したような顔になり、
「つまりこれ以上訳分かんねー事は多分起きねーつー事だな? それ聞いてやっと安心した」
そういうとゆっくりと大地は立ち上がり、ニヤリと笑うと、
「さってと……まだ完璧ではないにしろ状況も飲み込めてきたし、面倒だけどそろそろあの黒ローブ不気味野郎を迎撃する策でも考えますかぁ~……っと……」
大地はさもそんな事はどうでもいい事だ、とでもいうような程無気力な感じに言う。
ミライはその言葉を聞き、口を半開きにしたまま暫くポカンと大地の事を見ていたが、不意にハッとなり、
「ちょ、ちょっとダイチ!! さっきの私の話ちゃんと聞いてたの!? ってかなんなのその軽いノリは!!」
「ん? どうかしたか?」
ミライが「信じられない!」とでも言うように驚いた顔で叫ぶ。
それに対して大地は大地で「ミライの奴何でこんなにキレてんだ?」といった感じにキョトンとしている。
「『どうかしたか?』じゃないの!! 私はもうこれ以上関わらせる訳にはいかないからダイチは逃げてって言ったの!! それなのに一体何考えてるの!?」
ミライがつい数十秒前までの弱々しい姿が嘘であるかのごとく力強く叫ぶ。
しかし、それもそうだろう。
なんせ目の前の少年が自分の必死の訴えをまるで他人事のような様子で軽~く無視したのだから。
「いや、ちょっと考えてみたんだけど今更それは無理だろ? 俺、さっきあの黒ローブに敵対宣言みたいなモンしちまったし。」
大地が軽い調子のままそう告げる。
それを聞いてミライは――あっ――と声を漏らすとそのまま黙り込んでしまった。
その頬は穂のかに紅く染まっている。
「それに奴の技を見る限りならこっちが勝つ算段はある。 なんせこっちのはウィンもいるしな!」
そう言うと大地とミライは一制にこれまで話の輪から離れていた白いドラゴン……ウィンの方を見る。
そのウィンはというとミライが自分から降りてからは路地の入口から周りを見回していた。
話に入れなかったから自分でやるべき事を考えたのだろう。
「そう言えばダイチ、さっきから気にはなっていたんだけどこの竜は一体何なの? なんかさっき竜巻みたいなの使ってたけど?」
ミライが不思議そうな顔でウィンの事を見る。
警戒こそしてないものちょっと怖っかなビックリな感じだ。
「こいつは俺の相棒元素生物でウィンだ。 風を操る力を持ってる見ての通り白いドラゴンなんだ。」
「キュイ♪」
「わぁ! ちょ、アハハ、くすぐったいの~!」
大地が紹介するとウィンが楽しそうな鳴き声を上げてミライに擦り寄っていく。
ミライもいきなりウィンが寄ってきた事には多少驚いたようだが、甘えられている内にいい感じになってきた。
ただ、このままでは話ができないので大地はウィンの自分の方に呼び、一端ミライからはなれさせる。
ちなみに余談だがウィンの体は全身鱗で覆われているにも関わらず感触は人の肌をほとんど変わらなかったりする。
「……ふぅ……。 ……ところでその元素生物ってのは私達の所でいう使い魔みたいなモノの事だって聞いたけど……それがどうして勝てる要因になるの?」
「ん? ああ、それはだな……、」
ミライが再び不思議そうな声で聞いてくる。
それに対して大地は自信満々といった様子で説明を始めた。
◇◆
――PM04:40、
同じ頃、大地達のいる路地から僅か数mほどの裏通り、
「……さ~て……どぉ~こにい~るのっかなぁ~♪、っと……。 ん~~……こっちかな~?」
先ほどの黒ローブの男が大地達に迫っていた。
その距離、僅か数m……。
ああ、相変わらず感想も何もない(凹)
おっと、すいません今回はいつもより文字が少ない分、帰ってくるのが早い事をすっかり忘れていた為、ちょっと気を抜いてました(苦笑)
それでは早速……、
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