プロローグ
僕の事を知っている人はおはようございますorこんにちはorこんばんは!!
知らない人ははじめまして!! 風の双剣使いと申します!
今まではMH小説のジャンルのみでの活動をしてきましたが今回から晴れてオリジナル作品を書かせて頂きます!
……まぁあらすじからも分かる通り、「とある魔術の禁書目録」の影響をかなり受けてますが(汗)
ではでは『×(クロス)並行(パラレル)』早速始まります!
……どうぞ!
――西暦20XX年・7月15日(木) 日本・東京シティ23――
ここは東京シティ23、通称『科学の街』。
元々この街は東京23区と呼ばれていた。
しかし近年の急激な科学技術の向上により開発されたある発明品により科学者の権力が飛躍的に向上し、結果国内勢力が政治家中心から科学者中心となり、力を誇示しようとした科学者達が明治維新時の廃藩置県よろしく突然名前を変更した。
その為現在はこのような名前になっているのだ。
街の中の様子は『科学の街』と呼ばれる割には街の至る所に木や花など植えられており、かなり緑が多い印象が見受けられる。
その上、街で使用される電力の大部分も街のほぼ全ての建物に設置されている『ソーラーパネル』によって造られているようだ。
科学科学と言っている割には意外にもエコロジー精神が強い街である。
ちなみに昔で言う所の「千代田区」は『エリア1』・「新宿区」は『エリア4』・「目黒区」は『エリア10』と名前が無くなり代わりに区の番号そのままで呼ばれるようになったそうだ。
◆◆
――PM03:41 一区、旧・中野区ことエリア14、
「……さ~て、そろそろそっちも覚悟は決まったわよね?」
エリア14内のとある大通りで高校生ぐらいの少年と少女が何故だか対峙していた。
少年の方は髪は黒髪・目は黒目、服装は上が半袖のYシャツで下は薄い生地でできた紺色のスラックスズボンに革靴、左腕には緑色のデジタル腕時計と何の変哲もない普通の夏服学生。
少女の方も上は半袖ブラウス・下は少年のズボンと同色のプリーツスカート+革靴と至って普通の夏制服姿で、髪型は背中の中ほどまでは届くであろう長い茶髪を髪留め用のゴムを使って括ったポニーテイルになっている。
後、何故か胸元には少年の腕に巻いてあると同じ形のデジタル腕時計(青色)がある。
どうやらネックストラップ用の紐で首から下がっているようだ。
「……あのなぁ、さっきからずっと言ってるけどわざわざこんな大通りでいきなり闘らなくてもいいだろ? 目立つし面倒くさい」
少年が如何にも面倒くさそうに頭をかきながら言う。
「少し目立つのぐらい構わないじゃない? 寧ろ目立った方が観客が増えて気合い入るわよ!」
少女が少年の言葉を一蹴するように言い放つ。
「なんだなんだ?」
「喧嘩?」
「多分そうじゃないか?」
「面白そうだな」
そうこうしている内に少年と少女の周りが騒がしくなってきた。
どうやら二人が言い合いをしている内にいつの間にか野次馬が集まってしまったようだ。
「観客が増えてきたけどどうする? ってか周りがこんだけ注目しているのに逃げるなんてできないわよねぇ?」
少女がニヤリと笑って少年に聞く。
「……ハァ、面倒くさいけど仕方ねーかぁ……」
少年はそう言うと左腕を前に突き出しそれを右手で支える様な構えをした。
「ようやくやる気になったわね……。 じゃあいくわよ!!」
少女はそう言うと首から下げていたデジタル腕時計を外して前に構える。
「「召喚!!」」
少年と少女が同時に叫ぶ。
――ヒュオオォォォォォ――
――パシャァァン――
二人が叫んだ直後、音を立ててそれぞれのデジタル腕時計からそれぞれ2mほどの大きさの何かが飛び出した。
「キュオウ♪」
まず少年のデジタル腕時計から現れた方だが……真っ先に目につくのは白い巨大な皮膜の翼、次いで白蛇のような長い首と尻尾、翠色の鋭い爪が備わった四脚、それらの凶暴そうな外見とは不釣合いな大きくクリっとしたエメラルドのような眼、その眼と同じような翠色の角が生えた面長な顔。
その特徴から察するにどう考えても『白いドラゴン』以外に表現のしようがない生物だ。
「シャァァァ!」
少女の方から現れた方はドラゴンのような特殊な生物ではないから一瞬で何なのか分かる……シャチだ。
ただし普通のシャチとは違い、本来黒い部分が全て水のように透き通った青色をしている。
その上どういう理屈か宙に浮かんでいた。
二体の生物が現れると野次馬の方から「おお!」といった歓声が上がる。
「スパイラル! 早速かましちゃってぇ!」
「シャァァァ!」
少女が叫んだ直後、青いシャチは一鳴きしてから勢い良く尾びれ振るい大海原を泳ぐような感じで突進しだした。
狙うは少年が出現させた白いドラゴンだ。
「ウィン! 迎え撃て!」
「キュオッ!」
ドラゴンは少年の声を聞くや否や突進してくるシャチを受け止めようと身構える。
――ドゴォンッ――
激しい衝突音が鳴り響くと同時にシャチとドラゴンが勢い良く激突する。
その衝撃で周囲に突風が駆け抜けた。
◇◆
コレが先の説明でも出てきた『急激な科学技術の向上により開発されたある発明品』だ。
名前は『元素生物』、
水素〔H〕からレントゲニウム〔Rg〕までの全111種類の様々な原子を組み合わせて生成されたエネルギー生命体だ。
その特性は様々でありある者は風の操り、ある者は水を動かし、ある者は炎を発生させ、またある者は電気を自由に扱う事ができる。
またその姿も様々であり、犬・猫・鳥・虫といった普通の動物から、木・花などの植物、Tレックス・マンモスなどの絶滅生物、延いてはペガサス・ドラゴンなどの想像上の生物まで数々の種類が存在している。
そして先の戦闘でその元素生物を召喚させたデジタル腕時計だが、コレは『元素デバイス』と言う名の元素生物生成用端末だ。
コレには先にも出てきた全111種類の元素すべての情報が組み込まれており、使用者が「召喚」と言うだけで元素生物を生成・召喚可能である。
更にこの元素デバイスには電話・メール・カメラ・インターネットなど現代で言う所の携帯電話と同じ機能も備えている為、この時代には携帯電話にとって代わり世界中で普及していたりしているのだ。
◆
――PM04:52、
場所はさきほどの大通りから数mほど離れた一般道、先ほどの二人が並んで歩いていた。
「ハァ~……だから言ったんだ、あんな大通りで戦り合う必要なんてないだろって……」
少年の方が盛大に溜息をついて言う。
少年の名前は疾風 大地(はやかぜ だいち)。
この東京シティエリア14の高校に通う普通の高校一年生だ。
「……うっ……。 そのなの別にいいじゃない!! 結局そんなに怒られずに済んだんだし」
少年の言葉に少女が口調こそ怒り口調でありながらも明らかに慌てたように言う。
少女の名前は月読 葵(つくよみ あおい)。
大地とは幼馴染で同じ学校に通う普通の女子高生だ。
現在、二人は一緒に賃貸マンションもといそれぞれ自宅へと帰る途中だったりする。
「『そんなに怒られなかった』って……お前良くそんな事言えるな?」
大地が軽く頭を掻きながら疲れたような感じに言う。
ちなみに何故二人はそんな会話をしているかと言うと、先ほどの衝突の後の事すぐに警察の人が来て一時間近く厳重注意されたからだ。
多分野次馬の内の誰かが心配したか何かで通報したのだろう。
まぁ、言動を聞く限りでは葵はあまり堪えてないように見えるが……。
「……まぁ確かに今考えるとアレはまずかったかなぁ~って思ったりはするけど……」
訂正、一応は反省しているようだ。
「けどなんで突然戦闘ふっかけてきたんだ? いくら傍若無人なお前でも普段はあんな『バトル狂』みたいな事しねーじゃん?」
大地が不思議そうな顔で聞く。
「……今何か聞き捨てならない言葉が聞こえた気がするけど? けどまぁいいわ。 実はあの時丁度シンクロ率が60%超えそうな感じになってたのよ。 で、『戦闘』でもして一気にLvUPさせようかな~って思った訳よ」
「お! マジか? シンクロ率60%って事スパイラルってもうLv12になったのか? スゲェな!」
「ふふん、まぁね~♪」
葵の話を聞き、大地が多少大袈裟ではと思えるほどに驚いた。
その様子を見た葵は嬉しいのか無邪気に笑って言う。
葵は顔ならちょっとしたアイドル並みに良い為笑顔でいるとかなり絵になる。
ちなみに友人などからも「いくら幼馴染とはいえなんでこんなに可愛い子が疾風みたいに何の特徴も無い普通な奴といつも一緒に居るんだ?」と不思議がられるらしい。
◇
ちなみに先の話の中で出てきた『シンクロ率』と『戦闘』についてだが、まず『シンクロ率』についてだがこれは簡単に言ってしまえば元素生物とその使用者がどれだけ息が合っているかを表す数値の事だ。
先の説明にも出てきた元素生物ごとの特殊能力なのだが、その能力の強さはシンクロ率の高さによって変化しするのだ。
更に能力の強さはシンクロ率の最大出力によって、能力Lv1~Lv20の二十段階に分けられている。
そして『戦闘』だが、こちらは文字通り元素生物同士によるの戦闘の事だ。
先にも表記されている通り、シンクロ率とは『使用者と元素生物の息の合い具合』を表す数値だ。
そして実戦形式で戦う事には使用者と元素生物の息を合わせやすく作用があり、その為シンクロ率を向上させるには戦闘させるのが一番効果的なのだ。
ちなみに元々はその様な目的で行われ始めた戦闘だが、今ではレジャーの一種として認識が強かったりする。
◆◇
そんな大地と葵はその後も取り留めもない雑談をしながら歩いた。
そしてそうこうしている内にいつの間にか目的地のマンションへと辿り着いく。
「ん~……そう言えばお前ン家って今日親いるの?」
大地はエレベーターの前で『3』と書かれたボタンを押しながら不意に思い出したように聞く。
その言葉に葵がニヤリ、と不敵な笑みを浮かべ、
「あ~……そうなのよ。 今日親仕事でいないのよね~……」
と前を向いたまま言い、チラチラと大地の顔を見ながら、
「アタシ料理とか苦手だからこのままじゃ晩ゴハンはカップ麺とかになっちゃうのよね~……」
ハァ~、とワザとらしく大きな溜息をつくきながら言う。
大地が葵の様子に呆れながら、
「ハァ……。 分かった分かった分かりましたよ、今晩はオレん家で飯食ってけ」
と、若干諦め気味な声で言う。
「やったね♪ ……じゃなくて、そんなつもりじゃないに悪いってば~♪」
葵が満面の笑みで社交辞令を告げる。
と、同時に――チーン――と言う有り勝ちな電子音がしてエレベーターが開いた
「……面倒くさいからそう言う分かり易い演技は止めろ。 じゃないとさっきの晩飯の話取り消すぞ」
大地がそう言いながらフラっとエレベーターに乗り込む。
「ちょっと~! 流石にその態度は酷くない?」
そう言いながら葵もエレベーターに乗り込んだ。
◇◇
その後の事は至って単純だ。
まず誰もいない2LDKの一室に葵が「おじゃしま~す」とか言いながら二人で一緒に入り、一緒に(もちろん大地が作った)晩ご飯のカレーライスを食べた。
ちなみに何故大地の部屋には誰もいなかったかと言うと、両親は普段二人とも海外の研究機関で働いている為、現在の大地が実質一人暮らし状態だからだ。
カレーを食べた後はリビングのソファに二人で一緒に座ってテレビを見たりして時間を潰し、9時頃になったら葵が「じゃあそろそろ帰るね」と言って出ていった。
――PM11:30、
「ん? もうこんな時間か。 ……そろそろ寝るか」
すでに寝巻への着替えを済ましていた大地は手元の元素デバイスを見てそう言うとゆっくりとした足取りで8畳のリビングから隣の4畳の部屋に行き、その部屋にあるベットの上に倒れ込みタオルケット一枚だけ被って寝た。
□■
――PM11:45 木造建築二階建ての家の屋根の上、
「――ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、……」
真夜中の暗闇の中で屋根の上を純白のフード付きローブで全身包み込んだ謎の人物が駆け抜けていく。
「いたぞ! 捕まえろ!」
全身白ローブの人物の後方で男の野太い声が轟く。
どうやらこの白ローブの者はその声の主から逃げているようだ。
「っく、もう追手が来たの?」
白ローブのフードの内側から少女のようなキーの高い声の呟きが聞こえる。
というかこの声からすると多分女の子なのだろう。
その呟きの直後、ローブ少女の後方から赤っぽい色をした球体状の光が勢い良く飛んでいき、唯一ローブから出ていた少女の足に当たった。
「くあっ!」
赤い物体が少女の足に当たると同時に少女は悲痛に満ちた叫びを上げる。
赤い物体が当たった部分は皮膚が焼け爛れたようになっている。
赤い物体がどう作用してこうなったのかは分からないが、このままでは逃げる事など出来るハズがない。
「くぅ、細胞再生魔法をしなきゃ」
ローブ少女はそう言うと、焼け爛れた場所に自分の両手を当て、小さく「白魔法No,001」と呟く。
すると少女の手が白い光を放ち、その光に触れた部分のケガが除々に治っていく。
まだまだ皮膚自体は焼け爛れたままだがとりあえずその下にある細胞が治った時点で少女は一端足から手を離す。
完全ではないものの歩ける程度までには治った自分の足を見て少女が「フゥ、」と息を吐いた。
「――もう鬼ごっこは終わりか?」
直後、白ローブの少女の背後から先ほどの追手男の声がした。
少女はその声にビクッ、と肩を震わせ、恐る恐るといった様子で振り向く。
――そこには少女と同じようにフードで顔全体が覆われたローブを着た……ただし少女とは対照的に漆黒に染められたローブの身長2mはあるのではと思われる大男が立っていた。
更にその後ろにも大男と同じくフードの付いた漆黒のローブを着た者が数人いる。
「足が治ったとはいえこの状況では逃げられはしないだろう。 諦めて我々に捕まれ。」
黒ローブの大男が静かに、冷静に、告げる。
それに対して少女は暫く何も答えずに黙って、
「確かにこのままじゃ逃げ続けるのは無理なの……」
と、静かに呟く。
「そうか……やっと諦めたk……」
「……でも……諦めないの!」
黒ローブ男が気を抜いたように言おうとした瞬間、白ローブ少女が立ち上がり、言語であるのかどうかすら不明な言葉を口ずさみ始めた。
すると少女の体の周りを赤・青・緑・黄・白・黒の6色の光が包み込む。
「貴様っ! 何をする気だ!?」
黒ローブ男が焦ったように言い放つ。
「……悪いけど奥の手を使わせて貰うの。 時空の扉よ今開け、『次空間移動魔法』発動!」
少女が叫ぶと同時に少女を包んでいた光が一層激しく光り輝いた。
――そしてその光が消えた直後、先ほどまで確かにその場に居た少女の姿は何処にも無かった。
と、言う訳で如何でしょうか?
先に言っておきます。
ハッキリ言うと多分今回のプロローグはこれから先の本編の一話一話よりも長いです(苦笑)
最後に元素生物とそれに関係する単語の解説を書かせて頂きます。
~ 元素生物とは ~
・専用端末・元素デバイスから出現させる何らかの生物の姿を模したエネルギー体生物。
・数種類の元素を組み合わせて体を生成しており、発火・雷の発生・水流操作・風の操作などその個体ごとに様々な特殊能力を発動できる。
・元素生物の能力の高さは使用者とのシンクロ率の高さによって変化し、その最大出力によって、能力Lv1~Lv20と表される。
ちなみに今現在記録にある最高能力Lvは『シンクロ率:78.9%・能力Lv15』で、能力Lv16以上の元素生物は確認されていない。
・元素生物の召喚にはまず元素デバイスに使用者のDNA情報を登録する必要があり、それによって姿や能力が決まり同時に使用者以外の人物が勝手に命令できないようになっている。
・名前はアニマルとなっているがその姿は犬・猫・ゾウなどの普通の動物から、木・花などの植物、Tレックス・マンモスなどの絶滅生物、延いてはペガサス・ドラゴンなどの想像上の生物まで多種多様。
・召喚する元素生物の大きさ・数は使用者の任意で変える事が出来るが実寸大以上の大きさにする事はできない(想像上の生物の場合はその生物が出てくる物語りなどを参考にしてサイズを決定している)
・ちなみに元素生物にも多少だが知性や自我がある。
~ 元素デバイス ~
デジタル腕時計のような形をした元素生物を召喚させる為の端末。
使用するにはまず使用者の髪や皮膚などをデバイスの中に取り込み、そのDNA情報を登録する必要がある。
電話・メール・カメラ・インターネットなど現代で言う所の携帯電話と同じ機能も備えている為、この時代には携帯電話にとって代わり世界中で普及している。
~ 戦闘 ~
元素生物同士によるの戦闘。
元々は実戦形式で戦う事により使用者とのシンクロ率を向上させる目的で始まったものだが、今ではレジャーの一種として認識されている。