第92話 やっぱり野宿?
「センセ!早く、早く……もうー……薄暗くなっちゃったじゃない!」
「大丈夫だよアル…………そんなに急がなくっても、宿屋は無くならないから……」
「ええー?……ホント?」
「それにさ、最近では、アルも大分夜に慣れたらしくて、前みたいに暗くなってもすぐ眠らなくなったしなー」
「もー、センセったら~……あたしだって、だいぶ旅に慣れたんだからね!」
「はいはい、…………よーし、プッピの町に入ったぞ!」
まあ、思ったほど大きな町じゃないかもな。
オオスヘール山の登山口というか、東の大陸へ渡る唯一の峠道へ続く町っていうだけで、この辺りは目だって作物も取れる訳じゃないし、珍しい動物がいる訳でもないからなあーー。
この町は、単なる通過点でしかないのかなあ。
「センセ、あったよ、あそこに大きな宿屋が…………」
「うん、じゃあ入ってみようか?」
「あれ?センセ…………入り口に何か貼ってあるよ!」
『……満員……空き部屋なし……』
「え?センセ、泊まれる部屋が無いの?」
「……う……ちょっと聞いてみるか?」
この町の入り口にあって、2階建ての大きな建物で、入り口に『宿屋』って、書いてある。周りを見ても、他に宿屋らしいものは見当たらない。
こりゃ、困ったぞ…………ここまで来て、野宿か?
とりあえず、この宿屋へ入って、店の人に聞いてみることにした。
「…………泊まりたいのかい?
……ああ、今、うちはお客さんでいっぱいなんだ。
ただでさえ、部屋がないので、知らないお客さん同士でも、空いているベッドがあったら、同室にしてもらってるくらいなんだよ。
……………他の宿屋かい?
…………ウチの町は小さいからね。宿屋っていっても、商売にしているのは、ウチだけなんだ…………。
あんた達は運が悪いよ!
ここ、数日オオスヘール山の天候が悪くて、峠の道が通れないんだ。だから、お客さんが、こんなに詰まっているのさ…………」
「ダメだよアル…………ここは、泊まれないよ!仕方ないよな、今日こそは野宿だな」
「ええ?……お風呂は?……うううううう」
「まあ、そんなにがっかりしないで、どっか食堂にでも入って、まずは腹ごしらえをしような」
「ううううーー、どっか、泊めてくれるとこないかなあ…………」
(つづく)
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