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第87話 旅の夜は

「ほうら、出来上がったよ!たくさんお食べ…………今晩はお代はいらないよ!」

「え?いいんです?おばちゃん」


「あったり前よ!こんなに新鮮な干し肉をたくさんもらったら、お釣りが来るわよ!他の食べ物も飲み物も注文しておくれ!ぜーんぶタダにしてあげるわよ!」

「わーー、ホント?おばちゃん!…………じゃあ、あたしね、あの人が食べてる黄色いのがいいな。それに、甘い物が飲みたい!」



「はいよ!あのブラタマライスだね!あれは、シュノミで味付けたご飯をブラッキーの卵で包んだんだ。最近、よく売れてるよ。ジュースは…………マスケットの搾ったのを持ってきてやるよ!」

「うん!ありがと、おばちゃん!」



「おや、あんたは何か飲むものがいるんじゃないのかい?」

「センセ!お酒、頼みなよ!」

「え?でも、……」



「美味しい“シードレ”が入ったよ。少し甘くて、ピリッとするやつだ。どうだい?」

「じゃあ、お願いします」


「あいよ!何かお摘みも作ってやるよ!」

「はああ。ありがとうございます…………アル?ボクがお酒を飲んでも大丈夫か?」




「え?何を心配してるの?」



「だって、お酒を飲んだら、酔っぱらうんだぞ」

「いいじゃん、別に酔っても。センセ、うちでもお父様とお酒、美味しそうに飲んでたじゃん。それに、酔っても、寝てるだけだったじゃん」



「まあ、ボクは酔うとすぐに寝てしまうんだけど…………まあ、ここなら家の中だし、大丈夫か……」

















「ほら、できたよ!じゃあ、ゆっくりお食べ!」


「わーーー、ありがと、おばちゃん!…………」




 アルは、脇目も振らずブラタマライスを美味しそうに食べた。驚いたのは、あのブラッキーの卵が美味しいということだった。

 色といい、大きさといい、てっきり自分は“カラス”と同じかと思ったんだけど、肉の味を考えると“ニワトリ”に近いのかもしれない。



 それに“シードレ”は、炭酸飲料だった。まさに“甘いビール”のような感じだ。そっか、シャンパンに近いんだ!とっても美味しかった。思わず、大きなコップ2杯も飲んでしまった。





「……センセ!……センセ!……起きて!」

「フニャ……ウン……アア……アル?……どうしたの?」


「もう、部屋に帰るわよ……歩ける?」

「あふけるよ~」

「うーん……ダメね!…………あたしが、連れてくわ!」




「おや、お嬢ちゃん、大丈夫かい?」

「あ、おばちゃん、大丈夫よ、これくらい!……それに、美味しかったわ、センセもお酒、とっても気にいったみたい!」




「そりゃ、良かった!…………ブラッキーの干し肉、ありがとうよ!また、干し肉が手に入ったら、うちへもってきておくれ。高く買うからさ!」

「うん、わかったよ、おばちゃん!…………さあ、センセ、行くよ!」




 その時は寝ていて分からなかったが、ボクはまるで荷物のように担がれていたと、あとで店のおばちゃんに聞いた。まったく、アルの力持ちには、びっくりする。




 今度は、眠る前にお酒は止めようと思った。








「〔ドサッ〕

……さ、センセ、部屋に着いたよ……って、言っても分からないわね。

これじゃお風呂も行けないから…………センセ、着替えて先に“お休みなさい”ね。

……あ、そうそう、今日買った寝間着を着せて…………っと!

…………じゃあ、あたしはお風呂に行ってくるね」



 スースー……フガアア……スースー……フーフー…………



(つづく)


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― 新着の感想 ―
あらら、センセはすぐ寝ちゃうんですね。 干し肉の価値が高いのは保存技術の少なさからでしょうか? (´・ω・`) そういや過去に雪下で保存したような描写もありましたね~。 (*´ω`*)
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