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第82話 毎日のこと

「センセ………………」


「ん?どうしたアル?」




 朝日が差し込む宿屋の部屋で、ボクは大きく伸びをしていると、アルがベッドに腰かけたまま、力なく問いかけてきた。

 初めて家を出て旅をするアルには、慣れないことも多いはず。


 家が恋しくなったかと、ボクは少し心配したんだけど…………。






「……減った…………」


「え?減った?」




「センセ~お腹減ったよ~~」






 アルが、少し涙目になって、ベッドに突っ伏してしまった。


「あ、あははははは……」


 ボクは、思わず笑ってしまった。







「あ!センセったら、何笑ってんの?……ひっどい~」


「あははは………ごめん、ごめん。そりゃ、お腹も減るよね……だって、昨日のお昼のお弁当を食べてから、何も食べてないもんね」




「そうよ!あたし、おかなペコペコなの!」


「だって、アルは、暗くなったらすぐ寝ちゃうんだもんなあ……これからは、少しは夜になっても起きていてくれなきゃ困るんだけど?」




「えええ?だって、家じゃ夜になるとすぐに寝てたじゃない!お母様だって、暗くなる前に必ず晩ご飯作って食べてたし!」




「まあ、家じゃ、夜には何もすることが無かったからなあ…………でもさ、旅に出ると、夜のうちに準備しておかなきゃならないことが、たくさんあるんだ。

 アルも、少しは頑張ってほしいなあ」




「……うん……わかった。センセ……。だから、何か食べたい!」


「はいはい、分かりましたよ!…………でも、その前に、身支度を整えようか?」






「あ、そっか!そう言えばお母様が言ってたわ!

『毎日、顔洗って、下着だけは取り換えなさい』って!

 …………そして、アレを持たせてくれたの」





「あー『シャボン草の粉』だね」


「そう、あのシャボン草をあたしが採取して、根を磨り潰して乾燥させて作った粉よ!」


「そう言えば、家ではハーティさんが、作っているところを見たことがあるなあ。

 ……この粉を少し手にとって、水を付け、擦り合わせると白い泡が出るんだよね」





「そうそう、そして、気持ちのいい匂いがするのよね~」






「部屋の外に洗面所があったから、そこで顔を洗ってこようか」


「うん。…………ついでに下着も洗っちゃおうかな~…………センセのも一緒に洗う?」


「え?いいよ!……自分の物は自分で洗濯しような」


「う、うん……まあ、いいけど…………一緒にした方が面倒くさくないよ~」


「いいの!アルは、アルの分をやればいいから、ボクの方は気にしないで」






「じゃあ………♪顔洗って、♪早く何か♪食べたいなああああーーー♪」




(つづく)


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