第76話 勇者の証
「え?こ、これは……」
アルは、驚いた。父親から手渡されたのは、勇者の剣だった。
アルの父、ジョンディアが“悪魔の1年”で魔王と戦った時、勇者の証として王様から授かったものだった。
「こんな大切なものを…………あたしなんかが使っていいの?」
「何を言っているんだ?
……お前は、ワシの跡を継いで、次世代の勇者『エアルマ』を探すんだろう?
もう、お前は立派に“今の勇者”なんだぞ!
自信をもて……そして、その自信を自分の為ではなく、仲間や弱い者の為に使うんだ。いいな!」
「はい、分かりました、お父様。
この剣は、大切にお預かりします。きっと、あたし達の身を守ってくれるでしょう。ありがとうございます」
「それから、タロウ先生。君には、これをあげよう」
「え?ボクにもですか?」
「これは、この間、町へ行った時に作ってもらったものなんだ。
君のブーメランは、木で作っているだろう?
……わしは、形はそのままにして、硬い石を削って作ってもらったんだ。町の近くの山では、とても硬くて丈夫な石が採れるんだ」
きれいに磨かれた石でできたブーメランを受け取ったボクは、とても驚いた。
「うっわー、なんて丁度いい重さなんだろう。
石だから重いかなと、思ったのに、木よりも少し重いだけだ。この重さなら、攻撃力が上がるし、扱いやすさが格段によくなる」
「そーか、そんなに気に入ってくれたか?よかった」
「こちらこそ、本当にありがとうございます」
「それに、これはブーメランを収納する入れ物だ。
剣で言えば、“鞘”みたいなものだ。
……後は、手袋。
これは、石でできているから、素手で持つと怪我をする場合があるんでな」
「本当に、何から何までありがとうございます」
すると、ハーティが大きな背負いカバンを引きずってきた。
「タロウセンセ、はい、これ!」
「こ、この大きなカバンは、何ですか?」
「これは、旅の必需品を入れたり、倒した獣を運んだりできる“魔法のカバン”よ。
…………今、アルが準備ものだけちょっと入れてきたわ、ちょっと持ってご覧なさい」
「え?でも、こんな大きなカバン持てませんよ!ボクは、そんな力持ちじゃありませんから」
「大丈夫よ、いいから背負ってご覧なさい!」
そう言われて、タロウは渋々肩掛けに両腕を通して、腰に力を入れて立ち上がろうとした。
すると、勢い余って家の屋根の高さまでジャンプしてしまった。
「うっおおおおおーーー!何ですか、この軽さは?
軽いっていうより、ボク自信の重さが無くなったみたいで、何も持たないときより高く飛べますーーー!」
「ああ、はいはい。
タロウ先生、もういいからジャンプするのを止めてもいいわよ~うふふ。
…………これはね、私が少し魔法をかけてあるの。でもね、他の人が持とうとしても、重さが100倍になって決して持てないの。
だから、盗まれることはなくてよ!」
「凄いです。これなら何でも入りそうです。しかも、持つのが軽くて最高です!」
「あっはははは……タロウ先生、あんまり変なもの詰めないようにな……できれば、お土産だけにしてほしいもんだな。あはははは」
これで、旅の準備は整ったな……明日は出発だ!
(つづく)
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