第73話 旅立ちの決意
やがて、スヘールが溶けた。
風も暖かくなってきた。
庭の大きなチェラシ―に小さな緑の葉が見え始めた。
「…………もうすぐなのね…………」
アルは、窓から外を眺めて、そんなことを呟いた。少し前までなら、どことなく迷いが感じられた様子だったが、あの吹雪の夜以来、アルの目はしっかりと前だけを見つめていた。
この世界に来て、ボクはアルに助けられたと思っている。ボクの迷っていた心は、アルの導きで目標をしっかり見ることができている。
ボクの目標は、アルの目標なんだ!
アルが、一人前になって喜べるようになるまで、しっかりと支えていくつもりだ。
それが、今のボクにできることなんだ。……きっと、みんなも喜んでくれるはずだ。
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暫くして、アルの16歳の誕生日が開かれた。
「……みなさん、ありがとうございます。あたしは、16歳になりました。ここで、みなさんとお約束をしたいと思います。
あたしは、王都を目指します!
そして、王都騎士団に入れるようにがんばります。それから、王都迄の道のりで、できるだけ“エアルマ”を探します。少しでも、魔王復活を阻止するために、あたしは力をつくしたいと思います。
あたしは、まだ未熟ですけど、ここでみなさんと約束することで、頑張れるような気がします。
どうぞ、あたしのことを覚えていてください。お願いいたします!」
アルの決意を聞いて、誕生会に集まった人達は、みんな励ましの言葉を送った。
「アル!頑張ってな!オレが村を守ってやるから安心しな!」
「アルお姉ちゃん!ヤミューがあるから、大丈夫だよ!」
「アルちゃん、しっかりおやんなさい!お父さんやお母さんのことは、心配いらないからね!」
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今年の誕生日は、村の人が全員集まった。
そして、アルは、最後にとても大切な事をみんなに知らせた。
「あたしは、お願いしました。タロウセンセに、一緒に行って欲しいって!
あたしは、まだまだ修行が必要なの……でも、一人じゃ無理!
あたしのわがままなんだけど、お願いしました。
センセが、一緒だとあたしの願いも果たせそうな気がしたんです」
「ボクも、お願いしたんです。一緒に連れて行って欲しいと。
ボクは、守りたいんです。みなさんのアルティシアを。
ボクも、この村が好きです!アルの家族が大切です!
だから、必ずアルが願いを叶えられるように、手助けします。信じてください!」
「「よろしく、お願いします!」」
その瞬間、アルの誕生日会に集まった人達から盛大な拍手が沸き起こった。
(つづく)
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