第63話 奇跡の魔法
「……セ…セ!…っかり!…ンセ!…が…ばっ…!…ダイジョウブ………あたしが……けるから!!」
ボクの耳にまた、アルの声が聞こえてきた。いったい、どうしたんだろう……?
「センセ、タロウセンセ!今、あたしが直してあげるから……頑張って!頑張って!……」
直す?何の事?……ここは、いったい?……ボクは何をしてるんだ?
「センセーーーー!タロウセンセ―――――!直れ!直れ!直れ!直れ――――!」
何を叫んでいるんだ?アルー?アル―?…………何をしてるんだー?
両手を翳している………………………
…………ボクの体に向かって、手を当てがって、叫んでいるんだ……
…………何だか、体が…………気持ちいい…………軽くなる………
…………痛みが無くなっている……………頭もはっきりしてきた……
…………そうだ、あのコウモリみたいな奴の攻撃を受けたんだ………
……あ!アル!アルは…………無事みたいだ…………よかった………
……ここは?……空が見える…………洞窟の外までアルが運んだのか?
……助かったんだ………………………
「センセ?センセ?::>_<::……大丈夫?.·´¯`(>▂<)´¯`·. ……」
「ああ、大丈夫だ!……痛みも無くなってきた……ありがとうアル(*^_^*)……
…………………できたんだな(⊙o⊙)…………ヒールの魔法」
「うっわあああああああーーーん!よかっーーたあーーಥ_ಥ!
センセが、しゃべったーーーーーーー!」
アルは、手を翳したまま、とめどなく溢れる涙を拭おうともしなかった。泣いてはいたが、全身で喜びを表していることは、ボクにもわかった。
「センセが、グスッ……センセが……死んじゃったら……あたし、あたし……ウエエエエエエエエーーー」
「アル、アル……もう大丈夫だから……そんなに泣くなよ……ボクも悪かったよ……これからはもっと気を付けるから…………」
「あたし、あたし……もう、センセと離れないから…………絶対、いつでも一緒にいるから…………ね、ね、ね…………センセーーーーウエエエエエエーーー」
いつまでも泣き続けるアルだったが、ボクはまだ体の自由が利かなかったので、抱きしめてあげることができないもどかしさを感じていた。
(つづく)
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