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第62話 試練の洞窟

「……ここだわ、中は真っ暗ね。

……家からそんなに離れていないのね、驚いちゃった!家から見た山は、もっと遠くにあるような気がしてたのに…………ねえ?センセ!……あ!そっか!」
















・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 いつもの癖で、アルはボクに話しかけたんだ……でも、今のボクは、いないんだよね。

え?ボク?ボクは、タロウだよ…………今は、アルに分からないように、少し離れたところにいて、隠れているんだ。



 アルが、言っていたように、この洞窟のある小高い山は、家からそんなに離れていないんだ。ボクの足でも、走ればあっという間に着くんだ。

 だから、アルにもすぐに追いついた。



 でも、折角のアルの頑張りを邪魔しないように、ボクは物音ひとつ立てないように、アルの観察をしている。まるで、探偵にでもなった気分だ。
















・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「よし、松明をもって中に入ろう…………これなら、洞窟の中もよく見える。

 …………けど松明の灯りが届かないところは、やっぱり真っ暗だ。

 …………怖いよ~センセ!…………やっぱりダメか、いつもだったら、センセが勇気をくれるのになあ~……センセ~」
















・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 アルは、やっぱり心細いんだなあ。誰もいないのに、ボクの名前を呼ぶなんて…………聞かされるボクの身にもなってよね、うーー恥ずかしいーーー。













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「お母様の話によれば、“魔法の泉”は、ずっと奥の方だって言ってたけど…………」


 ポチャッ!


「キャッ!…………何?……水?……あ、天井からだ!…………ひょっとして、こういう水が溜まった場所があるのかな~」
















・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 どうした?……はー……天井からの雫だ…………脅かすなよ~アル~…………どこまで行くんだー……















・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ん?……何かいる?…………虫?…………鳥?…………痛い!…………」
















・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 どうした?アルが松明を振り回してる?…………ん?……何か変だぞ!















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「うっわ!……エイッ!……ヤー……エイッ!……モー……何?これ?……切りがない!」














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 うっわ、これは、コウモリみたいだな!


 …………だから、アルは松明を振り回しているんだ…………でも、逆効果だぞー。

 コウモリだったら、松明を振り回したら近寄ってくるんだ…………んーどうしようか?


 本当にコウモリなら、そんなに危険はないけど、ボクのしらない魔獣だったら大変だなあーー。
















・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「イヤッ……モー……次から次へと……キャアッ!

 何、天井にびっしり……逆さまにぶら下がっている。

 …………尖った嘴、真っ黒い体、天井にぶら下がっている時は翼を畳んでいるんだわ!

 …………うっわ!こっちに飛んで来た…………そんなに大きくないけど、あんなに数が居たら気持ち悪いわ…………」
















・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 もー、いったいアルは何をやっているんだ…………。

 灯りを消して、あのコウモリ達を落ち着かせるんだよ~。

 …………あーあ……剣を出したぞ…………まさか、コウモリと戦うつもりか?

 ダメだ…………これは、やっぱり止めた方がいいなあーー















・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「よーし、こうなったら、やっつけてやるーーー!こい、エイ!ヤア!トオー!

 ……………あれ?……何だか、あたし狙われてる?

 ……あいつらが、騒いでる!うわああああーー一斉にこっちに向かって来たーーー

 …………キャアーーーーー助けてーーーーセンセーーーーー!」


「アル! 松明を消すんだ!……早く!」


「え?センセ?……どうして?………………う、うん!」


 ボクは、アルの傍に掛けより、松明の火を消させた。

そして、彼女の体を庇いながら、洞窟の隅の岩の裂け目に彼女を押し込み自分の体で蓋をした。

 幸い、背中を外側にして彼女に覆いかぶさったので、奴らの攻撃は背中に受けることになった。



「センセ!センセ!……大丈夫?痛くない?」


「ああ……ウッ!……大丈夫……ウッ!……大丈夫だ……ウッ!……」


 松明の灯りは無くなったのに、まだ奴らは攻撃をしてくる。もう少し、このまま辛抱しよう。たぶん……しばらくしたら……収まるだろう……………。



「センセ、センセ…………ダメ!……センセが、死んじゃう!……早く、あたしを出して、あたしが戦うからーーー!」



「アル…………辛抱だ…………静かに…………騒ぐと、敵に気づかれる!…………も、もう、す、す、少しだ……………待………つ………ん………だ………」



 ボクは、奴らの攻撃の痛みで、気を失いそうになっていた。そんなボクを気遣いながらも、アルはボクの胸にしがみ付き、必死に攻撃に耐えるボクを励ましていた。



「うぃえーーん!センセ!ガ、ン、バッテ!……フェーン……センセ……大丈夫?……しっかり!…………………」



 そのうちに、アルの声が聞こえなくなってきた…………ボクは……守れるのか……………アルーーーー………




(つづく)


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― 新着の感想 ―
急に「ベル」と呼び名が変わってますけど、そんな話ありましたっけ? (・–・;)ゞ
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