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第59話 決断の勝利

「まずいアル、逃げろーーー!」


 1羽のロプロテスが、大きな口を開けてボク等にねらいを定めた。今にも火炎弾を吐き出そうという時、アルがそのロプロテス目掛けて突進して行った。



「アルーー!やめろ!奴は、火炎弾を吐くぞーーー!」



 ボクの声が届いているはずなのに、アルは真っすぐに突っ込んで行った。


 奴が大きな口を開け、長い首を捻りながら、アルを威嚇するために穴の開いた翼を思いっきり開いて羽ばたいた。



「いっくぞ――……ヤアアアーーー…………」



 アルは、走りながら腰に挿した剣を抜いた。身軽なアルは、ロプロテスの長い首の真横に回り込みジャンプした。

 丁度首の一番細くなっているところを目掛けて、真上から剣を振り下ろすと、ロプロテスの首がスパッと切断された。



 ウギャアアアアアーーー




 悲鳴が届いたが、ちょうど吐き出そうとしていた火炎弾が行き場所を失い、自分の腹の中で爆発炎上してしまった。



「ソレ!……次行くわよーー!」



 アルは、振り下ろした剣を両手に持ち替えて2羽目のロプロテスの首をすくい上げるように剣を振った。

 これもまた首が切断され、お腹の火炎弾が爆発した。



「アル!……後ろーーー!」


 ところが、3羽目がアルの隙を突いて後ろから襲おとしていた。



 ボクは、背中のフォルダーからブーメランを抜くと、生き残ったロプロテスに向かって思いっきり投げた。その瞬間、ボクはありったけの声で叫んだ!




≪イッケーーーーーーーーーー!≫




 あの雪球と同じように、ブーメランに気持ちを乗せて、体全体で渾身の力を込めた。


 ブーメランは、高速回転でロプロテスの目の前に飛んで行った。奴はよけようとして首を後ろに捻ったので、ブーメランは当たらなかった。


 その瞬間、ボクはアルに向かって大声で叫んだ!




「アル!今だ!やれーーーーーーーー!」



「うおりゃあああああああーーーーーーーーーー!!!」



 アルは、自分の全体重を乗せて、剣もろともロプロテスの捻られた首に目掛けて反転切りを食らわせた。


 ウギャアアアアアーーーー



 3羽目のロプロテスも首に致命傷を負い、喉まで出かかっていた火炎弾を自分の体の中で爆発させてしまった。









 ヒューーーーーウーーーーーーーー……………





 湖を渡る涼しい風が、戦いの汗を癒してくれた。



「アルーーーー!」



「センセーーー!」




 ボク達は、お互い走り寄って手をとり合って喜んだ!






 しばらくして、落ち着いてからボクは、アルのオデコを人差し指で軽く弾いて言った。


「こら!アル。あんな危ない真似したらダメじゃないか!危うく火炎弾にヤラレルところだったんだぞ!」



「うへへへ、ごめんなさいセンセ…………でもね、あたしセンセの作戦を信じてるから!絶対間に合うって思ったもん!作戦通りだったでしょ!」


 いつものアルらしく、ニコニコしながら、自慢げに言うのだった。



「でもね……………センセ………………」


「ん?どうした?アル……どこかケガでもしたか?」





「…………センセーーー…………お腹スイターーー!!」


 あーあ、やっぱりいつも通りのアルだーーー。



(つづく)


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