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第51話 新しい武器

「いや、もっといい物があるんだ!」


「え?センセ!何?何?……早く教えてよ~」


「まあ~アル、待ってくれよ。その武器は、今はここに無いんだ」


「えええ?……じゃあ、どうするの?……」





「大丈夫だ…………ボクに少し時間をくれ!すぐに、いい武器を作ってやるかからさ!」


「ホント!……あたし、空飛ぶロプロテスに勝てる?」


「ああ、勝てるさ、任せときな!…………武器が完成するまで、アルはこの木の枝を投げて、的に当てる練習をしていてくれるか?」




「う~ん?この木の枝?…………新しい武器に何か関係あるの?」


「大ありだ!この木の枝が、的に刺さるように投げることができたら、とっても役に立つぞ!」


「うん!分かったよ、センセ!……あたし頑張るから!」




 アルは、またいつもの笑顔になり、練習を始めた。細くて長い木の枝を思いっきり投げたアルは、枝がまっすぐに飛ばずにガッカリしていた。


 それでも、何度も何度も枝を掴んで、的を目指して投げ込んでいた。


 アルは、本当に素直でいい娘だ。自分のやることがはっきりすると、脇目も振らず、ひたすらに頑張るんだ。似たような木の枝を自分で集めてきたりもしていた。いちいち投げた枝を拾いに行かなくてもいいように考えたようだ。


 そんなところも前向きなんだ。




 ホクは、そんなアルの努力に答えようと、武器に相応しい木の枝を森の入り口のところで、探し回った。

 そして、見つけた枝を削ったり、切ったり、表面を擦って平らにしたりと、試行錯誤を繰り返した。



 




 そんなことを1週間ぐらい続けたボク達だったが、ようやく新しい武器のお披露目をする時が来た。


「タロウセンセ、これが新しい武器なの?……どうやって使うの?」


「これは、こうやって使うんだ!」




 ボクは、ある程度薄く削った木の枝を楯に左手で持ち、その両端に括り付けた細い丈夫な蔦を右手で思いっきり引っ張った。

 そして、引っ張った蔦に細く削った真っすぐな木の枝を引っかけて、右手の蔦を手放した。



 シュシュシューーーーーーーーーピューーー



 見事に矢は前に飛んで行った。


「センセ!凄い、凄い。速いね~」

 アルは、手を叩いて喜んだ。


「うわああーー、ボクのシュリケンよりも速いし、遠くまで飛んでいったね」


 メルもびっくりしていた。


 そこへジョンディアがやって来た。


「お!タロウ先生も!“ヤミュー”を使えるんだなぁ」


と、感心して傍にあった矢を手に取った。ボクは、昔遊びで作ったことがある弓矢だったが、こっちの世界にも似たようなものがあるんだと、少し驚いた。


「ジョンディアさん、この武器を知っているんですね!使った事があるんですか?」


 ボクは、この弓矢をもっと強力なものにする手掛かりがもらえるかもしれないと思い、すぐに尋ねた。

 

 すると、ジョンディアは、少し申し訳なさそうに頭を掻きながら


「いやあーすまんな。わしは、剣しか使ってなかったから、ヤミューはもってないんだ。ヤミューは、主に騎兵隊の中でも、魔法を使う者がよく手にしていたなあ~」


「……そうなんですか………………」


 ボクが、ガッカリしたような声を出したので、ジョンディアも慌ててこんな話をしてくれた。


「センセの作ったヤミューは、まだ魔力を加えていないだろ?……これに、ハーティのヒール魔法を掛けてもらったらいいよ!そうすると、壊れにくくになって、威力も増すと思うんだ!」


 あ、そうか!弓と弦の強化をすれば、当然矢の威力も増すんだ!



「ありがとうございます、ジョンディアさん!これで、きっとロプロテスに勝てるぞ!」


「センセ!ホント!……あたし勝てるの?」



「ああ、絶対大丈夫だ!……アルだって、いっぱい稽古してたじゃないか!」



 ボクは、数セットの弓……こっちの世界では“ヤミュー”だったな!……この手作りのヤミューをハーティさんに強くしてもらおう!

 そして、アルには、本格的にヤミューの稽古をしてもらうんだ!



(つづく)


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