第42話 アルの宣言
「あ、あたしも……お父様の後を継ぎます!」
ジルの話を聞いていたアルが、突然に宣言した。少し緊張した表情も見せていたが、目はしっかり前を向いて揺るぎない自信のようなものも感じた。
「おいおい、アル……急にどうした?後を継ぐと言っても、わしなど何もやっていないんだぞ?」
驚いたような顔をしているが、ジョンディアは、それでも落ち着いているように見えた。
「なあ、アル……お前はあと1年で大人だよ。
……自分のやりたいことができたなら、頑張ればいい。
ただ、自分一人で決めるんじゃなくて、必ず周りの人に相談してほしい。父さんだって、母さんだって、お前のやりたいことは応援するよ。
それに、お前にはタロウ先生という大切な“師”がいるだろう?」
「ええ、お父様、お母様…………わかっています!
…………この間、ジルの家の畑が魔獣に襲われたことがありました」
「うん、オレが農作業をしている時にウルファ―が襲ってきた時だね」
「うん、あの時思ったの。
…………お父様の言う通り、魔獣の動きが活発になったということは、魔王の復活が近いんじゃないかって……」
「そうだな。今は、魔王だって封印されているだけなんだ。決して、復活しないという保証はないから……」
「そうなの…………あたしお父様の昔の事はよく分からないわ。
でも、今、何を頑張っているかはよく分かっているつもり。
…………だから、あたしもお父様の助けになるようなことをして、魔王の復活に備えたいの!」
「おいおい、アル、わしは何もしてないぞ。
今は、魔獣が出現した時、できるだけ被害が出ないように見張っているだけさ、あははは……」
笑顔のジョンディアは、笑いで緊張を解そうとしていることがよく分かった。
多分、アルの話を真剣に受け止めてしまうと、益々アルの決意が固くなってしまうと考えたのだろう。
「そうね、お父様は、セブンエアルマとして勇敢に戦っていたわ。
でも、セブンエアルマは、後を継ぐようなものじゃないわよね。
セブンエアルマは、新しく生まれるの。
復活した魔王を倒すために、新しいエアルマが、きっと今どこかで活躍するのを待っているんだもの」
ハーティも笑顔で、アルの跡継ぎを受け流した。やはり、彼女もアルが魔王と戦おうとしているのを心配しているのだろう。
ボクも、何とかアルに、そんな大それたことを考えるのは止めるように言おうかどうしようか迷っていると、アルが慌てて否定した。
「え?え?違うのよ、みんな!
……あたしが魔王と戦うエアルマを引き継ぐんじゃないの!……そんなのあたしには無理よ、無理、無理」
「え?アル?……アルが、お父さんの後を継ぐって、そう言う事じゃないの?」
ボクも、アルが魔王と戦いたいと思っていたので、びっくりして確認してしまった。
「センセ!あたしの剣じゃ、無理でしょ!
……この間のウルファ―だって、センセの作ったブーメランのお陰よ!あたしは、タロウセンセ無しじゃ、何もできないわよ!」
「それじゃ、何を引き継ごうって言うの?」
「それはね、お父様がやっている“エアルマ探し”よ!
…………あたしが、いろんなところを旅して新しいエアルマを探すの。そして、魔王退治をお願いするのよ」
「なーんだ、びっくりしたよ!アル!……それなら、少しは役に立つかもね」
「そ!わかった?
…………あたしは、“エアルマ探し”をしながら王都を目指すの!
そして、新しい“セブンエアルマ”を助けるために、王都騎士団に参加するの!」
「ええええ!やっぱり、戦うんじゃないか?アル~」
「いやーまったく、お前は、面白いことを考えるな~あははははははは……」
再びジョンディアは、アルの考えを笑い飛ばしていた。
「もー、お父様ったら~……ぷー」
アルも少し笑顔で、拗ねたような顔を見せたが、その後、この話題はテーブルには上がらなかった。
(つづく)
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