第33話 魔法の威力
なんと、翌日からアルは、魔法の特訓も始めたのだった。
魔法と言っても、雪球を投げると、多少破壊力が増すぐらいなのだが、今までとは比べられない楽しさが、ベルにはあるようだった。
例えば、雪球を投げた後、右に曲がって欲しいと考えるだけで、雪球は曲がって進むのである。ただ、思ったように曲がるかと言えば、まだそうは行かない。
急に曲がってしまい、とんでもない方へ行く事もあれば、逆に曲がってしまうこともある。
また、雪球を投げた時、球の飛ぶ距離も伸びてきた。今では、ベルが見える範囲には飛ばせるようになってきた。
「おーい、ベル~、ここまで投げてごらーん!」
「えー?でも、ユキ球がセンセに当たったら、痛いわよ~」
「ダイジョーブ!……ボクは、この楯を持ってるから、これを狙ってごらーーん!」
「だってー、楯なんか見えないわよ~……センセが、やっと見えるだけなんだから~」
「いいから、やってごらーーん!」
「もー、どこに飛んでも知らないわよ!……ソーレ!エイッ!」
よーし、来た来た来た!……あ!光ったぞー!…………ボファン!
「センセ~ダイジョーブー~」
「おー、大丈夫だ!アル!…………凄いぞ!…………見事、楯の真ん中に命中したぞ!しかも、途中で、光っていたぞ!」
「はあ、はあ、はあ、はあ……センセ、ホント?……届いたの?」
「ああ、君の魔法は、確実に雪球に乗っかっていたよ!この調子で稽古を続ければ、そのうち木の一本ぐらい、雪球でへし折ってしまえるんじゃないかなあ~」
「え~、ホントかなあ~……あはははは、そうなったら、嬉しいな~」
こんな調子で、冬の間はボクが作った雪像に、アルが雪球をブツケルという稽古を繰り返していた。
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そして、次第に風も暖かくなり、雪が溶け始めた頃には、アルの雪球は、平気で木の2,3本は貫通するぐらいの威力を備えていた。
「アル、もうすぐ雪も消えてなくなってしまうな。雪の代わりに、これをちょっと投げてみないか?」
「センセ、これ石ね……」
「ああ、雪が溶けて、下からはもう石が見えているんだ。雪球と同じように投げることができたら、すごい破壊力になると思うんだ」
「うん、やってみるね!……エイッ!……ポト……もう一回、エイ!………ポト………………センセ、やっぱりユキ球みたいには上手くいかないわ……」
どんなものでも飛ばせる魔法じゃなかったのかな~雪球しかダメか……冬じゃないと使えない魔法か~
(つづく)
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