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第3話 復帰の起点

 ボクは、次第に体も回復してきた。3日目には、もう自分で歩き回れるようになった。


「アルティシアさん、いろいろありがとう。お陰ですっかり良くなったよ」


「何をおっしゃいます、アル……タロウセンセ。助けていただいたのはあたしなんですから。」

 しっかり体が回復するまで、ボクは付きっきりでアルティシアの世話を受けた。


 彼女は、キャンディス家の一人娘だ。年齢はまだ14歳なのだが、賢くてとてもしっかりしている。

 ボクは、自分のことを山口太郎と名乗ったので、この家のみんなは、タロウと呼ぶことにしたらしい。ケガのせいで、一時的に記憶が混乱しているものと思ったみたいだ。




「さあ、今日の治療をしましょう。多分、これで最後です。後は、運動をして筋力を戻せば、元のように動けるはずです」


 ケガの治療にあたってきたのは、アルティシアの母、ハーティだった。

 ハーティはエルフで、多少の魔法を使えるそうだが、特にヒールの名手だそうだ。しかし、ある時から、ヒールは意識のある者でないと効果がなく、しかも、回復のスピードも遅くなったと彼女は言っていた。



「ごめんなさいね~、私の魔法は、ケガを一度には回復させられないのよ。少しずつ毎日ヒールをかけないといけなくて………」


 おっとりした優しいそうな笑顔の母親は、安心できるものだった。




 この部屋のベッドに横になって、もう7日ほどになるだろう。ボクは、その間寝たままではあるが、周りの様子を気にかけて見るようにしていた。



 丸太を重ねたログハウスのような家の壁、ボクが知っているような電気製品は全く無い。

灯りは蝋燭だけ、移動は馬を使っているようである。

 窓から見える景色は、田舎の田園風景のようで、少なくともこの家の住人は、きちんとした服装はしているが、派手さは全くない農民のようだった。


 それでいて言葉も丁寧で、生活態度も一種優雅さを感じるところもある。




「これで、もうすぐタロウセンセに、いろいろな事を教わることができますね!」


 アルティシアは、ヒールを終えベッドで半身を起こして座っているボクの手を握って、嬉しそうに微笑んでいた。


(つづく)

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