第2章の総集編と主な登場人物紹介
≪第2章のおはなし≫
山口太郎は、自分では何もすることがなく、ただ毎日アルティシアの稽古を見守るだけだった。
ある日、暇に任せて太郎は、落ちていた木の枝を削ってブーメランを作る。思いのほか、アルティシアが気に入り、ブーメランの稽古を始めるが、なかなか思い通りには飛ばせない。
そんな時、2人は家の手伝いの為に、近くの森へ枯れ枝を拾いに行った。森には魔物が住んでいると言われるが、特に昼間はあまり姿を見せず、居たとしても小さな弱い物しかいないと聞いていた。
ところが、まだ森へも入らないうちに、入り口のところで、フォクサーという魔物に遭遇する。アルティシアは剣を持っていなかった。太郎は、魔物に驚いて腰を抜かしてしまう。とても危険な状況に陥った。
フォクサーは小柄な4本足の魔物ながら、動きが速くてすばしっこい。
加えて、アルティシアは初めて魔物と戦うということで、内心はとても怖かった。しかし、自分が太郎を守らなければ、また大怪我をさせてしまうと、気丈にも振舞っていた。
動けない太郎を庇いながら、木の枝を剣代わりに挑むアルティシアだったが、どうにもならないところまで追い込まれてしまった。
太郎は、自分の不甲斐なさを悔いながらも、必死でアルティシアを守る作戦を考え、見事二人でフォクサーの意表を突き、倒したのだった。
家に戻ってから、そのことを両親に話したが、二人とも娘達を信用しているのか、平気な装いを崩さなかった。
自分を悔やむ太郎にも、頑張ったことを褒め、自分の持ち分を考えるようにアドバイスを送っていた。
ただ、今後のことも考えるとアルティシアの実践が必要な事は、明白だった。
これから、少しずつ実践を交えた訓練をしていく事にし、父親と母親から、それぞれ剣と防具を授かり、準備を整えた。
さて、この先、二人は、近くの森で魔物と戦いながら、実践の経験を積むことになる。
まだ、魔物の動きは目立ったものではないが、何やら不穏な空気も感じてきたジョンディアは……………。戦闘場面も増え、躍動的な第3章へと続く。
≪主な登場人物≫
★山口 太郎男 22歳
・私立虹ヶ丘幼稚園教諭 新任教員
・事務仕事は苦手だが、子どもと遊ぶことは大好き
・勤めて3ヶ月目で、園庭の滑り台から転落した後、なぜか異世界で目が覚める
・異世界では、ジョンディア一家で暮らすことになる
・ジョンディアの一人娘のアルティシアの家庭教師になるが、特段教えることなく、毎日することも無く暮らす
・みんなから“タロウ”と呼ばれ、村の一員として親しまれている
・遊ぶことに関して、手先が器用で、よく遊び道具を手作りしていた。
・木の枝を削ったブーメランを作り、アルティシアともども練習する
・戦いの中で、助け合うことになるアルティシア。もうそれは家族同然だから“アル”と呼んで欲しいと頼まれる
★アルティシア・キャンディス 女 14歳 (ハーフエルフ)
・明るく元気な女の子
・父親から剣の手ほどきを受け、腕は抜群。ただし、実践経験は全くない
・タロウを自分の先生として慕う
・タロウを守らなければならないという意思は固い
・タロウの作る道具を喜んで使う
・タロウに、他の家族と同様に“アル”と、呼んで欲しいと懇願する
★ジョンディア・キャンディス 男 (人族)
・アルティシアの父
・元王都騎士団 セブンエアルマ(7人の勇者)で剣の達人
・20年前の“悪魔の1年”の戦いで活躍、戦いの後、次世代の勇者を探す旅に出る
・近くの村を見回りしたり、突然現れる魔物を退治したりしている
★ハーティ・キャンディス 女 (エルフ)
・アルティシアの母
・“悪魔の1年”の後、生き残った魔物に村を襲われた時、ジョンディアに救われる
・その戦いで大怪我をしたジョンディアを治癒魔法で助けたが、無理をしたので魔法の能力が低下してしまった
・しかし、そのことが切欠で、ジョンディアとハーティは、結ばれ一緒に生活するようになる
・武器や防具に魔法を掛けて、戦いやすくする
☆スウィーソ・ドラゴン 魔物
・ハーティの村を襲った魔物
・“悪魔の1年”の生き残りで、あちこちの村を襲っていたが、ジョンディアに退治された
☆フォクサー 魔物
・四つ足で、素早い動きをする
・通常は、夜に作物などを荒らすが、森からはあまり外に出ない
☆シュノミ 果物
・赤い実で、トマトのような味がする
☆サクシー 果物
・球体で、中身が赤くて甘い
・外側の皮は、硬いので、持ち運びは便利
☆マスケット 果実
・親指ぐらいの球体で、外側の薄い皮の中に、甘い実が入っている
◆◇次話からは、第3章「あと1年」へつづきます。
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