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第16話 同じ笑顔

「タロウセンセ!今日もお願いしますね!」


「ああ、いいけど…………また、練習するのか?剣の稽古はいいのかい?」


「平気よ、剣は特別な稽古なんて、もう無いんだから。それより、アレ……うーん、ブ、ブウラメン?……あれをマスターするの、あたし!」


「ああ、ブーメランね。じゃあ、今日は、こんなのも作ってみたんだけど、やってみるかい?」



 ボクは、ここ数日、毎日彼女の“ブーメラン修行”に付き合っている。ちょっとずつコツなんかを教えているが、まだまだ上手く行かない。

 合間を見て、3枚バネのブーメランや大きさを変えたものを幾つか作ってみた。



「わーー、3枚の羽根みたいね、これ!…………今日は、これを投げてみていい?」


「ああ、好きなようにやってご覧ん……ボクは、ここで見ているから」



 アルティシアは、3枚羽根のブーメランを手に取り、羽根の1本を右手で握って、前方に向かって頭の上から振りかぶって縦に回転するように手首でスナップを利かせた。



 縦回転のブーメランは、真っすぐ前方に飛んだ後、20メートルぐらい先で大きく左に旋回してこちらに戻って来た。

 アルティシアは、自分の体をブーメランに合わせて正面に構え、両手を高く上げた。

 そして、回転しながら戻って来たブーメランの両側面を同時に両手で挟み込んだ。


「やったーー!センセ、取れた、取れた!わあーーーい!」


 大喜びのアルティシアは、捕まえたブーメランを持って、ボクに抱き着いて来た。


 よっぼど、嬉しかったと見えて、涙を流しながら喜んでいた。あんなに鋭い目をして剣を振っていたとは思えないほど、子どもらしい笑顔だった。

 そう言えば、アルティシアは、まだ14歳なんだと思い出した。



「ねえ、ねえ、そっちのやつも貸してセンセ!全部取れるように練習するから、見ててね!」


「大丈夫、見てるよ!」



 今までも、元気な女の子だとは思っていたが、きっとジョンディアが望んでいたのは、こんな笑顔をする娘の姿ではないのかと思った。


 ボクは、その時、虹ヶ丘幼稚園の子ども達の笑顔を思い出した。そう言えば、あの子達もあんな笑顔をしていたなあ……。



(つづく)

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