第12話 その後の戦い
ボクは、ジョンディアの話を聞きながら不思議に思った。
「あのー、魔王は倒したんですよね。魔王が居なくなったのに、なぜ、また魔物が復活しているんですか?」
ジョンディアは、少し悲しい表情を浮かべ、釣り糸の先に目を落とした。
「魔王は、まだ生きているんだ……」
「どういうことですか?魔王を倒したから、この平和な世界になったのではないのですか?」
ボクが、この世界のことを知らなかったといはいえ、見当はずれの事を言ったのは後でわかった。
つまり、20年前のあの“魔眼城の戦い”については、有名なことで皆が理解していたのだ。
「ああ、タロウ先生がそう考えるのは無理がない。……でも、あの時の激しすぎる戦いの中では、これしかできなかったんだ。…………魔王を封印することしか……」
普段は元気で活力に溢れたジョンディアだが、この時は見る影もなく息消沈しているように見えた。
ボクは、恐る恐る尋ねた。
「封印って、どこに封印したんですか?」
「…………ああ、王都じゃ。
王様が自らの魔法の力で、王都に封印したんじゃ。
……王都なら王様自らが監視できるし、できるだけ自分の近くに置いておく方が安心だと言ってな……」
そして、ジョンディア達7人の勇者が、王様と交わした約束について話してくれた。
『魔王の封印は、必ず解ける。魔王が眠りについてからは、すべての魔力を自己修復に費やすだろう。
世の中は魔物が減り、大人しくなって平和になるが、いつか魔王が復活すると、魔物はまた力を付けて我々を襲って来るに違いない。
今度こそ、魔王を倒さなければならない。
その為にも、我々も力を蓄えるのだ。新しい力を!』
「王様は、そう言って、我々セブンエアルマに次代の勇者を探すよう命を下した。そして、我々は地上のあらゆる場所に散らばっていったのじゃ」
「それで、見つかったんですか?」
「わからん、連絡の取りようがないんだ…………」
「あの~…………ジョンディアさんは、どうなんですか?」
「わしは…………探せなかったんじゃ…………」
そう言った後、ジョンディアは徐にシャツの前を広げて、胸にある大きな傷跡をボクに見せた。
(つづく)
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